不良の掟
劇場公開日:1956年9月11日
解説
「悪者は地獄へ行け」に次いで監督ロベール・オッセン、脚本・台詞ルネ・ウェレル、主演マリナ・ヴラディ(「恋愛時代」)のトリオが発表する、青少年犯罪映画である。ウェレルの原案からウェレルとオッセンが共同で脚本を執筆、撮影は「夜の騎士道」のロベール・ジュイヤール、音楽はアンドレ・ゴスランの担当である。出演はヴラディの他、「わが青春のマリアンヌ」のピエール・ヴァネック、「フレンチ・カンカン」のジャンニ・エスポジト、新星ベアトリス・アルタリバなど。
1956年製作/フランス
原題または英題:Pardonnez nos Offenses
配給:新外映
劇場公開日:1956年9月11日
ストーリー
宵闇が港町に迫る頃。男の子のような服装をしたデデ(マリナ・ヴラディ)は、痴話喧嘩に狂う父と継母を残して街へ飛び出す。彼女が加わっている不良団は、波止場の古い倉庫に本部を置いている。団長ルネ(ピエール・ヴァネック)は金髪の少年で十九歳、彼の下に十人あまりの少年少女が、煙草の闇取引やウィスキーの密輸に暗躍している。陰険な目付きの副官サラード(アンドレ・ルウィ)、税関吏の息子チョコット、会計係コンフィアンス、リュリュ……瞳の美しい姐御のデデ、彼女に片想いを寄せるジャン・ルウなど。悪質なサラードを除いては、稼ぎ溜めた金で売物に出ている白い船を買い、それに乗って貧しい生活から脱れようとあせっている子供達だ。その夜は、碇泊中の“グラスゴウ”号の水夫と示し合せて極上ウィスキーを幾箱か陸上げし、それを廃虚となったトーチカの中に穏すのに成功。だが翌朝、流れて来たジプシーの一隊が、この空地に陣取った。ルネは仲間を従えて空地に来て、ジプシーに立退きを命じた。しかし彼等は当然の権利と威嚇の前に平然。間もなく隠されたウィスキーを発見して大騒ぎになる。見張りのデデは、ジプシー青年ヴァニ(ジャンニ・エスポジト)に、品物には手を触れないでと頼む。彼はデデを見詰めて承知する。ヴァニの烈しい視線に、デデは生れて始めて胸のときめきを感じた。その夜、ルネは例の件についてヴァニと話し合うため、ウィスキー買取りを承知しているラピーヌ爺さんの酒場に来る。酒場の中で踊る男女の群。ヴァニはデデと踊り、やがて月光に照し出された波止場を恋人のように肩を並べて歩いた。二人は明日の再会を約束して別れる。この頃、酒場には“ママ”と呼ばれるジプシーの老婆(ジャクリーヌ・モラーヌ)と、娘のサシャ(ベアトリス・アルタリバ)が乗りこみ、ルネはジプシーが約束に背いてウィスキーを手に入れたことを知る。不良達は激昂。だが誰も知らぬ間に、サラードはサシャを倉庫に連れ込んで、ウィスキーの仕返しだと二人の仲間と暴行を加えた。泣きながら戻ったサシャを囲み、ジプシー達は復讐を誓う。翌日、何も知らずに約束の場所に赴いたデデはジプシーにキャンプへ連れ去られ、不良団は仕返しとしてヴァニを倉庫に拉置散々に制裁を加える。だが気を失いかけた彼の言葉からサラードの仕業を知った一同は愕然。デデはサラードの顔に、ナイブで卑怯者の印を刻みつける。デデは意識を取り戻したヴァニを追う。ジプシーはヴァニの恋人を受入れ、一隊の馬車は出発。空地で見送る仲間達に別れを告げるデデは、物かげに潜んだザラードのピストルに倒れ、ヴァニに抱かれて息絶えた。不良団とジプシーは殺人者を追跡し、急報に接した港湾警備隊は起重機に逃げ上ったサラードを射殺しだ。ジプシーは再び出発。ヴァニは去る直前、デデの死体をルネに手渡す。折柄、白い船が手に入ったという知らせ。だがルネや少年達の葬列は待ち構える警備隊員の方へ、黙々と進んだ。