戦いのあとの風景

劇場公開日:

解説

第二次大戦末期、ナチス強制収容所からアメリカ占領軍の監視下に移されたポーランド囚人たちの一人である主人公の苦悩の青春期を描く。監督は「鉄の男」のアンジェイ・ワイダ、脚本はワイダとアンジェイ・ブジョゾフスキ、原作はタデウシュ・ボロフスキ(『収容所番号119198』)、撮影はジグムント・サモシウク、音楽はジグムント・コニエチヌイ、美術はイェジー・シェスキ、製作監督はバルバラ、ぺック・スレシッカが各々担当。出演はダニエル・オルブリフスキ、スタニスラヴァ・チェリンスカ、タデウシュ・ヤンチャル、イェジー・ジェルニックなど。

1970年製作/105分/ポーランド
原題または英題:Krajobraz Po Bitwie
配給:欧日協会
劇場公開日:1983年9月15日

ストーリー

第二次大戦も終わろうとする1945年。ドイツのナチス強制収容所のポーランドの囚人たちは、アメリカ軍によって解放され、元ナチスの親衛隊の兵舎に移された。しかし、彼らの身柄は依然としてアメリカ占領軍の監視下にあった。束縛されたままの不安な日々を送る囚人たちの中に、本の収集に専念し自らも詩を書く繊細な青年がいた。囚人番号105番のダニエル(ダニエル・オルブリフスキ)である。彼は軍事訓練をサボり食事のまずさに反抗する。彼は共産主義のシンパの若者、初老の少尉補などと絶えず口論をくり返す。ある日故国を捨てた難民の一群がこの兵舎に到着した。その中に、ユダヤ系の若いポーランド娘のニーナ(スタニスラヴァ・チェリンスカ)がいた。彼女は積極的で愛国心に燃えたエネルギッシュな娘で行動的だった。ダニエルはニーナと森ヘ散歩に行き、お互いに収容所での苛酷な日々を告白し合い、小犬のように森をかけ回ったりした。散歩から帰る途中、二人は兵舎が閉鎖されたことを耳にする。ダニエルの反対を押し切って様子を見にいくニーナ。彼女は、その時、監視兵によって誤って射殺されてしまう。ショックを受けるダニエル。その夜、ドイツ軍の敗北を祝うパントマイムが盛大に上演された。ニーナの屍体の前で号泣するダニエル。彼は故国ヘ帰る決意をする。翌日彼の乗った引き揚げ列車の車体には“ポーランド万才”というスローガンが書かれているのだった。

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映画レビュー

4.0アンジェイ・ワイダ監督の描く戦争と恋愛

2023年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

戦争によって抑圧された青年の姿と恋愛を描いたアンジェイ・ワイダ監督作。 戦争と恋愛を描いていることから『灰とダイヤモンド』を連想するが、本作の描き方は中盤までは安定した素晴らしさだったのに、終盤に至って「劇団風景の混沌とした風景」&「神父の余計な発言シーン」が意味不明な感あり、とても惜しい作品に見えた。 物語は、第二次世界大戦の終わる頃、ドイツのナチス強制収容所に入れられていたポーランド囚人たちがアメリカ軍によって解放される場面から始まる。この冒頭シークエンスは、登場人物たちの姿を淡々と描き続けるカメラ、そしてセリフの無い場面としているあたりが素晴らしい。 そして、ポーランド囚人たちは、アメリカ軍の監視下にあり、戦争は終わったものの不自由な生活が続く。そのポーランド人の中にタデウシュという文学青年もいた。 そこに祖国を捨てた難民たちが連れて来られて、その中にユダヤ系のポーランド娘ニーナもいて、行動的なニーナに誘われてタデウシュは収容所を抜けて散歩に行く。ニーナは「遠い西側に行こう!」とダニエルを誘うのだが、なかなか難しい。 二人は、抜けてきた収容所が閉鎖されたとのことで見に行ってみると、収容所付近は危険な雰囲気。収容所を見に行ったニーナはアメリカ軍兵士に誤って銃で撃たれ……という戦争が終わったのかどうか疑問の風景が見られる。 インテリ青年も「ナチスが米兵に置き換わっただけだ…」などという痛烈な言葉をアメリカ兵に話す場面からも、終戦となってもポーランド人たちが辛い思いを続けていたことが伝わってくる。 本作では「♪英雄ポロネーズ」が流れる場面があり、どうもこの曲を聴くと学生時代に毎週見ていたテレビドラマ「赤い激流」を思い出してしまう。このドラマでは水谷豊が殺人犯として追いかけられるのだが、ピアニストの役で宇津井健から指導されるのがこの曲だった。水谷の恋人役は竹下景子、「赤いシリーズ」ではあるが山口百恵はゲスト出演のみ。 話が逸れたが、このアンジェイ・ワイダ監督作は、それなりに見応えあり、観て良かったと思える映画であった。

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たいちぃ