ロイドの活動狂
解説
「足が第一」に次ぐパロイド・ロイド主演喜劇で、例によってクライド・ブラックマンが監督したもの。原作はアグネス・クリスティン・ジョンストンがトイド喜劇専属のジョン・W・グレイ及びフェルックス・オルダーと共同して書卸し、「失われた抱擁」「赤新聞」とヴィンセント・トーレンスが脚色して台詞をつけ、監督ブラックマンが同じく専属のレックス・ニール及びフランク・デイリと共同して撮影台本を作った。カメラも専属のウォルター・ランディンがクランクしている。助演者は「犯罪者の掟」「ラスト・パレイド」のコンスタンス・カミングス、「新聞街の殺人」「天才の妻」のケネス・トンプソンを始め、シドニー・ジャーヴィス、エディ・フェザーストン、ロバート・マクウェード、ルイズ・クロッサー・ヘイル等である。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:Movie Crazy
ストーリー
カンサスの田舎町に住むハロルド・ホールは朗らかな活動狂でハリウッドでスターになることを無想していた。彼がある時プラネット撮影所に勇敢にも自分の写真を送ったところ、不円した間違いで他人の写真を送ってしまったために、撮影所からテストしたいから来てくれという返事が来た。喜び勇んでハリウッドへ行ったハロルドは間違いの儘テストを受けたが大失敗だった。その帰るさなか雨で、大慌てに慌てた揚句スターのメリイ・シアースの自動車に乗り、彼が膝に怪我をしたため彼女の家出手当てをしてもらった。メリイは相手役のヴァンスに恋想されて困っていた際だったのでハロルドをだしに使ってヴァンスに諦めさせようとした。それを彼女が自分に恋しているためと早合点したハロルドは困ったのである。何故ならばハロルドはメリイが目下出演中のスペイン劇の女主人公を見初めて恋していたからである。慌て者の彼は素顔のメリイと黒髪と濃艶な扮装、欧州訛りの強いアクセントの女主人公とを同一人とは考えられなかったのである。メリイはハロルドの純真さに惚れたが、彼が彼女自身よりも彼女の扮した女主人公の方にも大いに心を惹かれているのを知って彼に絶交状を遣った。ところがそれはプラネット撮影所長夫妻主催の宴会の招待状の裏面に書いたものだったのハロルドは裏は見ずに招待されたものと勘違いして宴会へ出掛け手品師の上着を間違えて着たため大失敗を演じ遂出されてしまった。ハロルドは始めて絶交状を招待状と間違えたことを知って悲観した。その翌日撮影所でヴァンスはメリイが恋を容れて呉れないのはハロルドのためと嫉妬して彼をノシてトランクの中につめ込んだ。この時例のスペイン劇の最終場面を撮ることとなり、ハロルドが入っているトランクも舞台に運び込まれて撮影が始められた。メリイとスペイン劇の女主人公が同人であることをこの朝ようやく知ったハロルドは、メリイの悲鳴を聞いて昏睡から醒め猛然とヴァンスに食ってかかり大格闘を始めた。その時偶然このセットに来合わせた所長はこれを喜劇と思い込み、名喜劇役者だと思ってハロルドを契約することとなった。メリイはハロルドの性格に心を惹かれて恋をしていたので、彼の成功を心から喜び結婚することとなったのである。