麦秋(1934)
解説
「南風」「シナラ」の監督者キング・ヴィダーが独立製作した映画で、自ら原作監督に当たったもの。脚色にはエリザベス・ヒルが任じ、「断崖の砲火」「素晴らしき人生」のロバート・ブランクが撮影を担当した。主演は「肉鎧」「暗黒街の顔役(1932)」のカレン・モーリー及び「熱血撮影隊」「ロッキーの彼方」のトム・キーンで、「ストリート・シーン」のジョン・T・クウェーレン、「僕はカウボーイ」のアディスン・リチャーズ、ジョージ・ホワイトのレヴューに出演していたバーバラ・ペッパー等が助演している。
1934年製作/アメリカ
原題または英題:Our Daily Bread
ストーリー
ジョン・シムスと妻のメリーは全く都会生活から見放され、部屋も今日明日中に追い立てられようとしていた。この時来あわせた伯父は、ジョンに都会を離れ田舎に行くことをすすめた。それは無価値に近い担保の荒れ地を2人に使わせようというのだが、ジョンは喜んで伯父の命に従った。その土地は全く荒れ果てた荒地だったが、早速シャベルをジョンは土に入れてみた。しかし都会の生活になれたジョンには大変な努力を要した。汗ばかり出て土地は一向に耕されない。その所へ畑を取り上げられて当てなく移住しようとしているクリスに助力を求めた。翌日から経験者を得て荒れ地にくわが入れられ、1日の内にかなりの地面が耕された。その所でジョンは考えた。1人でこれだけの仕事が出来るなら10人では…と。ジョンの「耕作人募集」の立て札で大勢の人が集められ、いよいよ大たい的耕作が開始された。人々は大きな1家族なのだ。もちろん収穫は等分に分配される。やがて小さな芽が土の間から顔を出し人々は喜んで踊り狂った。しかし土地は州の名において競売されたが、耕作村の手に安く買い取ることが出来た。ある雨の夜、サリーという都会の女が父親の屍を自動車に乗せて耕作村に紛れ込んできた。サリーは人々の親切にすがってこの村に止まることになったが、村の一員ルイはそれを喜ばなかった。その内にジョンが次第にサリーに心を引かれ始めた。麦はすくすくと伸びていったが、村の食料は次第に欠乏し、麦がとれない村は金の入る道がなかった。見兼ねたルイは自分を警察へサリーに連行させ、懸賞金を取らせた。ルイは重罪犯で懸賞付お尋ね者であった。ルイの犠牲によって食料の危機から脱したが、日照りが続いて麦は日増しに弱っていった。ジョンはサリーを連れてこの地を逃れようと自動車を駆ったが、村から2里離れた川に水の音を聞き、サリーを振り切って一目散に村に帰った。ジョンは川から水を引くために警鐘を鳴らして村人を集めた。麦が死ぬまでにはまだ4日ある。人々は夢中になって鶴橋を振り上げた。ついに溝は麦畑まで続いた。川から水はどっと麦畑に突進した。人間はついに自然を征服したのだ。麦畑にひたる水を見た人々の感激、ついに村には再生の喜びがおとずれた。