ドーヴァーの白い崖
劇場公開日:1949年8月
解説
「ママの思い出」のアイリーン・ダンが主演する映画で、アリス・デュアー・ミラー作の長詩「白い断崖」に基づき、「ミニヴァー夫人」のクローディン・ウェスト及びジョージ・フローシェルがジャン・ラスティグと協力して脚本を書き「仔鹿物語」「町の人気者」のクラレンス・ブラウンが監督し「育ち行く年」のジョージ・フォルシーが撮影した1944年度作品。主役ダンを助けて「征服」のアラン・マーシャル「町の人気者」のフランク・モーガン「姉妹と水兵」のヴァン・ジョンスン「激闘」のロディ・マクドウォール「哀愁」の故C・オーブリー・スミス「ミニヴァー夫人」のディム・メイ・ホイッティ「聖処女」のグラディス・クーバー「嘘つきお嬢さん」のピーター・ローフォードが主演するほか、新人スターのエリザベス・テイラーが端役で出演している。音楽は「育ち行く年」の故ハーバート・ストサートが作曲指揮した。
1944年製作/アメリカ
原題または英題:The White Cliffs of Dover
劇場公開日:1949年8月
ストーリー
燈火管制で暗黒の1942年のロンドン。スーザン・アッシュウッドは前線から送られて来る傷病兵達の姿を窓ごしにながめつつ、過ぎ来し20数年の我が生涯の思い出にふける。それは1914年、若く美しいスーザンは父と彼女を恋したっているサム・ベネットと共にアメリカから英国見物に来ていた。霧深いロンドンの気候に持病を起こした父は、1日も見物に出られず宿に閉じこもって英国をのろっていた。予定の滞在日数も過ぎる日の前夜、同宿の老大佐に伴われて、スーザンはウェイバリー伯爵夫人の舞踏会へ出席した。そこで名門のサー・ジョン・アッシュウッドと楽しく踊り、かつ語らった。美しいスーザンに心奪われたジョンは翌日、彼女の宿を訪れ、デヴォンの彼の荘園に招待した。頑固な父は反対したが、スーザンは招きに応じてデヴォンへ赴いた。しかしジョンの母親をはじめ人々はアメリカ人を好まないらしく、冷たい態度であったし、ジョンにはヘレンという花嫁候補者があることを知ってスーザンは帰国を決意して去った。しかしジョンは追って来て出帆間際の船にかけつけ2人は結婚した。ところが新婚旅行の夢も大戦勃発で破れ、ジョンは出征した。ジョンの弟レギーも出征し、勇ましく戦った。かくて不安な月日が3年たち、出征軍人の妻にフランスへ行って夫に会う許可が下りた時、スーザンも渡仏し、ジョンに会い楽しい4日間を共に過ごした。ジョンは戦線へ、彼女はデヴォンへ戻って銃後生活を続けるうち1子ジョン・ジュニアが生まれた。やがてアメリカも参戦し、スーザンはアメリカ兵の行進をロンドンへ見物に行った。それから間もなくスーザンは夫の戦死の報を受け取り、悲しみのどん底に落ちた。せめて我子のジョンだけは戦争で死なせまいと彼女は固く決心したが、イギリス魂を受けついだジョン2世は勇敢な青年に成長した。それから数年ナチの侵略が始まり、父から帰国を勧めて来たので、スーザンはジョンと共にアメリカへ帰ろうとした。ジョンはいった、死んだお父さんは戦争が怖くてアメリカへ逃げ出すことを喜ぶでしょうか。スーザンは一言もなくデヴォンへ引き返した。やがて第二次大戦となり、ジョンは亡父の部隊と同じ部隊の一将校として出征した。スーザンは今、赤十字の看護婦長で傷病兵に看病に休む暇とてない。しかも当時間前、重傷したジョンは若い命を祖国にささげて死んだのである。夫と息子の2つの面影を抱いてスーザンは窓辺にほおをよせた。アメリカ軍の行進の音が響いている。ナチ屈服の日は近いであろう。夫と息子の血潮はやがて尊い永久の平和をもたらすであろう。
スタッフ・キャスト
- 監督
- クラレンス・ブラウン
- 脚色
- クローディン・ウェスト
- ジャン・ラスティグ
- ジョージ・フローシェル
- 製作
- シドニー・フランクリン
- 撮影
- ジョージ・J・フォルシー
- 音楽
- ハーバート・ストサート
- 作詞
- アリス・デュアー・ミラー
受賞歴
第17回 アカデミー賞(1945年)
ノミネート
撮影賞(白黒) | ジョージ・J・フォルシー |
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