テキサス無宿

解説

「七日間の休暇」「勇者ならでは」に次ぐゲイリー・クーパー氏の主演映画で、オー・ヘンリー作の短篇を「命を賭ける男(1930)」の原作者オリヴァー・H・P・ギャレット氏が改作しダニエル・N・ルービン氏が脚色し、「巨人」「命を賭ける男(1930)」のジョン・クロムウェル氏が監督、「ロマンスの河」「撮影所殺人事件」のヴィクター・ミルナー氏が撮影したもの。相手役は「恋の素顔」「サンダーボルト(1929)」主演のフェイ・レイ嬢が勤め、「導火線」のエマ・ダン嬢「半分天国」のオスカー・アッフェル氏「エヴァンジェリン(1929)」のジェームズ・マーカス氏等が助演している。

1930年製作/アメリカ
原題または英題:The Texan

ストーリー

テキサス州で五百ドルの懸賞付のお尋ね者リャノ・キッドは乗馬と射撃の名手であるばかりでなくスペイン語が巧みで何うかするとスペイン人或いはメキシコ人に間違われる位だった。或時彼は乗馬の蹄鉄を修繕して貰う間、酒場でニックと呼ばれる若者とカルタをしニックがインチキをした為めに争いを始め相手を射殺して了った。蹄鉄を直した鍜冶屋はブラウンという信心深いシェリフで、リャノ・キッドに愚弄されたことを憤り譬へ世界の果てまででも彼を捕えに行くと誓った。キッドは列車に跳乗り車中でサッカーという悪代言人と知合い、サッカーに勧められるままに南米ブエノス・テラスの豪家グラナダス・イバラ家に失踪中の嗣子ドン・エンリケと偽って乗込むことなった。ドン・エンリケは十歳の時手首に刺青をして貰って叱責された為め家出して以来杳として消息がなく、当年25才になってる筈の青年で、サッカーはグラナダス・イバラ家の未亡人ドナ・マルゲリータの依頼をうけ千ドルの懸賞付で捜索中だったのである。サッカーは船中でキッドに刺青を施しすっかりドン・エンリケに仕立てた。キッドは老夫人から最愛の息子として迎えられた。そこには英国留学中だった夫人の姪コンスエロの美しい姿も見出された。キッドは牛を売りに旅行して帰って来ると如何に自分がコンスエロを愛しているかを悟った。其の日は彼が始めて来た時から丁度二カ月目で港には便船が着いているのが見えた。キッドはグラナダス・イバラ家の有金残らず攫って此の船で高飛びすることをサッカーと約束していたが、彼は老夫人の心中を思い遣ると到底これは出来ないのでサッカーに破約を申込んだ。帰邸するとかの鍜冶屋シェリフのブラウンが彼を逮捕すべく待っていたのでキッドは観念し、老夫人が就寝するまで待って呉と頼んだ。其晩サッカーは無頼の徒を率いて襲撃した。キッドはブラウンと共に銃火を交へ、遂にサッカーを金蔵の前で射殺した。ブラウンはコンスエロとキッドに向い、五百ドル懸賞付きのリャノ・キッドは此奴だと死んだサッカーを指さした。

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