戦争と母性

解説

「名門芸術」に出演した舞台の名女優ヘンリッタ・クロスマンが主演する映画で、I・A・R・ワイリー原作の小説を「街の狼」「軟派ガール」と同じくフィリップ・クラインとバリイ・コナーズが共同脚色し、「肉体」「人類の戦士」のジョン・フォードが監督に当たり、「輝く西部」のジョージ・シュナイダーマンが、撮影した。助演者は「あめりか祭」のノーマン・フォスター、「懐かしの谷」のマリアン・ニクソン、欧州映画界の花形だったヘザー・エンジェル、「白馬王国」のチャールズ・グレイプウィン及びルシル・ラヴァーン、「お気に召すまま(1932)」のヘッダ・ホッパーその他である。

1933年製作/アメリカ
原題:Pilgrimage

ストーリー

アーカンソー州のスリー・シーダースという農村に住むハンナ・ジェソップは若くして寡婦となり、1人息子のジムを女の細腕ひとつで育てあげただけに、男勝りの気性で村の誰彼も彼女には一目を置いていた。ところが彼女が最愛のジムにはメエリイという恋人ができた。メエリイの父親ソーンダースは大酒家でった。ハンナは悪い親には悪い娘しかできない、と理屈をつけジムと彼女の交際を禁じたが、若い二人の仲はハンナの嫉妬をますます煽るように濃厚となり、ジムは母を捨ててもメエリイと結婚すると言い切った。ハンナは息子をメエリイに取られたくないばかりに、ジムの従軍届をしてしまった。かくてジムは出征した。出征の日メエリイは停車場に見送りに行き懐胎していることを告げた。ジムは出征を延期して結婚したいと思ったが軍律はそれを許さなかった。しかも不幸ジムはフランス戦線で名誉の戦死をとげた。メエリイは男の子を分娩したが、ハンナはなお許さなかった。息子と瓜二つの孫でさえ表向きには白眼視した。かくて10年の星霜を経た。ハンナは意地と勤勉とで富農となった。メエリイは愛するジムの忘れ形見の小さいジムの成長を楽しみに再婚もせず苦難の生活を続けていた。欧州大戦休戦10年祭にアメリカは戦死者の遺族をフランスへ渡航させ、その英霊を弔わせることとなり、ハンナも一行に加わった。しかし私が子に背かれたと思いこんでいるハンナは、無名戦士の慰霊式には参列したが、ジム・ジェソップの墓に詣ることは肯んじなかった。そして一人夜の街を彷徨してセーヌ河のある橋上に来ると、泥酔している1アメリカ青年に行き合った。ハンナはその青年を介抱したい気持ちになり、彼の住居までタクシーで送り届けてその夜は世話を焼いた。翌朝、その青年はニューヨークの富豪ワース家の一人息子ゲーリイであること、スュザンヌというフランス娘と恋していること、それを許さぬ母親がパリへやって来て彼をニューヨークへ連れ戻そうとしていること、をハンナは知った。そしてスュザンヌとも会って、彼女が良い娘であること、ゲーリイの胤を宿していることを知ったとき、ハンナは自分がジムとメエリイに対して間違ったことをして来たことを、初めて悟った。ハンナはワース夫人をホテルに訪ね、自分の経験談をしてゲーリイとスュザンヌの仲を許させた。そしてハンナはジムの墓詣でをして、地下のジムに許しを乞うた。それから戦地巡歴の旅を終えて帰郷するや、ハンナはメエリイとジミイが淋しく暮らしている小屋を訪れて、改めてメエリイに許しておくれと頼み、初めて孫を抱いてうれし泣きに泣いたのであった。

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