女性No.1

解説

「ブーム・タウン」「少年の町」のスペンサー・トレイシーと「フィラデルフィア物語」「素晴らしき休日」のキャサリン・ヘップバーンが主演する映画で、リング・ラードナー・ジュニアとマイケル・カニンが共同執筆した脚本により「愛のアルバム」「ガンガ・ディン」のジョージ・スティーヴンスが監督した1943年作品である。助演者は「マーガレットの旅」のフェイ・ベインダー、「最後の地獄船」のウィリアム・ベンデイックス、「心の旅路」のレジナルド・オーウェン「ブルースの誕生」のマイナー・ウトスン等で、撮影は「フィラデルフィア物語」のジョゼフ・ルッテンバーグが監督し、音楽は「断崖」のフランツ・ワックスマンが作曲した。

1943年製作/アメリカ
原題:Woman of the Year

ストーリー

サム・クレイグとテス・ハーディングはニューヨーク・クロニクル紙の記者である。サムはスポーツ欄を、テスは国際ニュース欄を担当している花形記者で、二人の記者は大きな見出しで報道され、互いに人気を競っていたが、一度も会ったことはなかった。ところがある日、ふと顔を合わせて互いに愛情を抱くようになって結婚した。ニューヨークの立派なアパートメントで結婚生活が始められることになるが、結婚当夜から二人の職業が邪魔に入ってくる。その夜突然テスを訪ねて来たセルビアの亡命政治家のために、新婚の二人きりの大切な時間がつぶされてしまったのである。初めからケチがついた二人の結婚生活は、時が立つにつれ融和するどころか、ますます食い違いが出来て来た。妻のテスが新聞記事を書くことに没頭すると、良人のサムがいやいや台所で食事の仕度やら皿洗いをしなくてはならないような始末である。こんな有様で二人の気持ちさえも落ち着かないので、テスは打開策としてギリシャの亡命少年クリスをアパートに引き取ってくる。ところがたまたま世論調査の結果、テスは「ナンバー・ワン女性」に選ばれて、ますます仕事が多忙となりクリスを顧みる暇もなくなる。子守までも背負い込まなければならなくなったサムは、クリス少年をギリシャ亡命少年援護所に返し、やけ酒に浸り出す。ある日、サムはマディソン・スクエア・ガーデンで行われるボクシング試合の記事を取ることになっていたが、内助の功を立てるつもりでサムに断りなしにテスが見に行ってスポーツ知識ゼロの記事を作り、サムの担当欄に発表した。そのためサムは同業者の物笑いのになって全然くさってしまう。しかしテスが良人に代わって手柄を立てるつもりだったと知ると、彼も笑って妻を許したのである。テスはこれを機会に新聞記者生活をやめて、家庭の人になろうとするがサムはそれに反対した。今までのやり方を改め、お互いの専門の立場を理解し合って、生活と職業を計画的に秩序立ててゆけば、円満に記者生活が続けて行けるというのである。

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映画レビュー

5.0女性No.1を目指すためには、家庭は邪魔なのでしょうか?

2023年7月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1942年米国公開、白黒作品

女性No.1は女性にあらず

これがテーマです
はてさて現代の女性が本作を観てどのように受け取るでしょうか?

鼻持ちならない男性至上主義の映画であると憤るのでしょうか?
女性蔑視も甚だしいと

それとも本作のラストシーンに納得するのでしょうか?

共働きの新婚夫婦なんて21世紀の日本では珍しくもなんともありません
本作みたいに妻の方がバリバリ働いて社会的地位も上で稼ぎも上なんて夫婦も多いでしょう

その上で家事もこなし、子供も育てなんてすごいことです
大谷祥平にも負けない二刀流です
いや妻、母、ビジネスパーソンの三刀流です

妻も夫も社会でNo.1なんて目指していたら、家庭なんて邪魔なだけです
正直足手まといです
子どもなんて構ってられるはずもありません
本作と同じように家庭崩壊して、子供はネグレクトされてしまうでしょう

誰もがスーパーマン、スーパーウーマンではないのです

中庸でいいのだというのが本作の結論でした

あなたはこれに腹を立てますか?
女性がNo.1を目指したら悪いのか?
夫がもっと協力すべきであると

でもそれで夫婦が成り立つのでしょうか?
家庭が成り立つのでしょうか?
子供を愛情を掛けて育てられるのでしょうか?

神父さんが述べる結婚の言を噛み締めたいものです

とうせこの世は男と女だけ
お互いに惹きつけあって愛しあって夫婦になるのです
愛し合えば子供が産まれるのです
そして子供には父と母が愛情を注いでくれる過程が必要なのです

それがNo.1を目指すために邪魔ならば、結婚なんてできません
してはいけないのです

それが未婚者が増えている21世紀の日本の社会なのかもしれません

でもそうだったら、次の世代は生まれず日本には未来が無いと言うことだとおもうのです

お互いに思いやりを忘れ好き勝手に自分の都合を優先する様には、自分達のことを揶揄されたかのような痛みを覚えました

いちいち小ネタのギャグいくつも挟んで笑わせます
終盤の台所のドタバタは腹を抱えて笑わせます

素晴らしい名作です

スペンサー・トレイシーは42歳
キャサリン・ヘプバーンは35歳
これくらいの年齢で初婚なんて最近だと珍しくもありません
むしろ適齢期なのかも知れません

二人の共演は本作が初で、9本も共演作があります
以後、この二人は私生活でも深い仲となり、スペンサーが67歳で死ぬ1967年まで不倫関係をつづけました
スペンサーに事情があり離婚出来なかったのです
キャサリンはスペンサーの葬式には彼の妻に遠慮して出れなかったそうです

そのような事も頭の隅に入れて本作を観るとまた感慨が深くなります

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