死んでもいい(1962)

解説

義理の息子に恋慕の炎を燃やす王妃パイドラのギリシャ神話伝説は約2400年昔詩人エウリピデスの「ヒッポリュトス」によって知られるが、ローマの詩人セネカも同じテーマで「パエドラ」を書き17世紀にはジャン・ラシーヌが韻文劇「フェードル」を書いている。その同じ悲劇を現代の恋愛劇としたマルガリタ・リベラキのオリジナル・シナリオを彼女自身と「日曜はダメよ」のジュールスス・ダッシンが脚色、ダッシンが製作・監督したもの。撮影は彼とコンビで「恋人たちの森」のジャック・ナットー、音楽はギリシャのミキス・テオドラキス。出演者は「日曜はダメよ」のメリナ・メルクーリ、「さよならをもう一度」のアンソニー・パーキンス、「エル・シド」のラフ・ヴァローネ、オリンピア・パパドーカ、新人のエリザベス・エルシーなど。

1962年製作/アメリカ
原題または英題:Phaedra

ストーリー

ギリシャ海運王の娘フェードラ(メリナ・メルクーリ)は、同じ船舶業者で竦腕のタノス(ラフ・ヴァローネ)と結婚し、5歳になる男の子をもうけていた。フェードラを熱愛するタノスには、先妻との間に息子アレキシスがあった。ロンドンで経済学を勉強しているはずのアレキシスが絵筆に親しんでいるというので、フェードラが迎えに行くことになった。ロンドンの博物館でアレキシスと対面したフェードラは、ハンサムでナイーヴな、この10歳も年下の息子に一目で恋してしまい、アレキシスもまた、傲慢なまでに個性的な美しさを持つ義母に、深く魅せられるのだった。パリに飛んだその夜、憑かれたように愛の告白を口走ってしまうフェードラに、アレキシスも答えて恍惚の一夜を過ごした2人は、なおもすべてを忘れて数日を過ごした。が、所詮かなわぬ恋、アレキシスはロンドンへ、フェードラはヒドラ島の邸へ戻らねばならなかった。迎えがたいアレキシスへの恋慕と罪の意識におののくフェードラの心も知らず、タノスはアレキシスを呼び奇せた。そして、後継者として信頼を傾けるタノスは、義兄の娘エルシー(エリザベス・エルシー)とアレキシスを結びつけ両家の経済的結合をはかろうとした。若い2人の姿を見てフェードラは嫉妬に燃え上がった。父を訪ねて阻止を懇願したがそれもならなかった。絶望と怒りのフェードラは、遂にアレキシスを愛している、とタノスに告げて去った。タノスの驚きはやがて、激しい怒りに変わり、アレキシスを力の限り殴打した。すべてが終わったことを知ったフェードラは睡眠薬をあおるとベッドに横たわった。その頃、疾走するアレキシスのスポーツカーは、ハンドルを切り損ねて断崖を転がり落ちていった。宿命の恋につながれた2人の魂が昇天したのは、多分同じ時だったにちがいない。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第35回 アカデミー賞(1963年)

ノミネート

衣装デザイン賞(白黒)

第20回 ゴールデングローブ賞(1963年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) メリナ・メルクーリ
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