桑港

解説

「妻と女秘書」「支那海」のクラーク・ゲーブルと「ローズ・マリイ(1936)」「浮かれ姫君」のジャネット・マクドナルドが主演する映画で、「港に異常なし」のスペンサー・トレイシーと「征空重爆撃」のジャック・ホルトが共演する。原作はロバート・E・ホプキンスが書き下ろし、「港に異常なし」に参興したアニタ・ルースが脚色し、「ローズ・マリイ(1936)」「私の行状記」のW・S・ヴァン・ダイクが監督に当たり、「巨星ジーグフェルド」のオリヴァ・マーシュが撮影した。助演は「海は桃色」のジェシー・ラルフ、「高飛び成層圏」のテッド・ヒーリーおよびアル・シーン、新顔のシャーリー・ロス、「断固戦うべし」のマーガレット・アーヴィング等の面々である。

1936年製作/アメリカ
原題または英題:San Francisco

ストーリー

1905年大晦日の夜、サンフランシスコの歓楽地帯バーバリー・コーストで、メリー・ブレイクは火事で焼け出され、しばらくカフェ「パラダイス」の唄姫として職を得た。ここの持ち主ブラッキー・ノートンはこの辺切っての顔役だが、初めて近づいた堅気の娘メリーに真面目な愛情を感じるようになる。メリーも彼を憎からず思ってはいるものの、彼の粗野な態度は牧師の娘である彼女にはぴったりしない。そこへ上流社会の紳士ジャック・バーレーが現れ、メリーの志望がオペラ歌手になることにあるを知ってブラッキーとの契約を買おうと申し込んだが、彼はこれを拒絶した。バーレーは政治的にもブラッキーの敵党でコースとを火災の難から救うため、ブラッキーは建物改革委員として選挙に立候補する事になったので、それは地主側たるバーレーの利益と衝突するのであった。しかしブラッキーと少年時代からの親友マリン牧師は、メリーの才能を伸ばしてやるように説いたので、ブラッキーも契約を解いてメリーをバーレーに託した。まもなく彼女はティヴォリ座でオペラのスターと謡われるようになる。ブラッキーは彼女に1夜パラダイスで出演を頼み結婚を発表しようとしたが、マリンはメリーをコース戸に置くことを反対したので、ブラッキーは彼を殴りつけメリーに絶縁を言い渡した。こうしたことが2人の仲を離し彼女は愛されるままにバーレーとの結婚を承知してしまう。その内選挙が近づいた。ブラッキーは例年行われる舞踏競技会に一座を出し、賞金1万ドルを得て、それを選挙費に当てようと考えていた。ところがその前夜パラダイスに当局の手入れがあり座員は検挙されて出演不可能となる。これはバーレーの手はずでためされたことだたがメリーはそれを知らなかった。競技会の夜バーレーと一緒に見物していた彼女は、事情を知って敢然とパラダイスのため奮起して1等を得た。そこへ来たブラッキーは賞金を投げ捨て奮然と退出しようとする。丁度その時1906年4月17日、サンフランシスコは大地震に襲われ、バーレーも無惨な圧死を遂げた。ブラッキーは焼け野原のサンフランシスコをメリーを求めて徘徊した。マリンはメリのー無事を教え神に祈れとブラッキーをひざまづかしめてメリーの許へ連れて行った。こうした2人は新しいサンフランシスコのため、人々と共に雄々しく希望に満ちて立ち上がった。

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映画レビュー

3.0さすがクラーク・ゲーブルの圧倒的な存在感。一方、歌声での見せ場が多...

2021年6月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

さすがクラーク・ゲーブルの圧倒的な存在感。一方、歌声での見せ場が多いヒロイン役には最後まで魅力は感じなかった。地震のシーンは撮影された時代を考えると驚かずにはいられない、迫力満点だった。

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tsumumiki

4.0サンフランシスコへのエール

2020年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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odeonza

5.0恐らく史上初のパニック映画にして、永遠の手本

2019年11月21日
Androidアプリから投稿

サンフランシスコを聞こえたままに漢字で当字して桑方西斯哥港、略して桑港 1906年のサンフランシスコ大地震をクライマックスに据えています 地震のシーンは戦前の映画とはとても思えない見事な特撮で迫力満点です ちゃちいだろうなという先入観は良い方向に裏切られます きちんと当時の資料や記録を当たったりもしたでしょうし、製作当時の30年前の事ですから存命の人も多いでしょうから、その地震と大火災、避難所の様子など嘘ぽさは全く感じません 70年代のパニック映画と違うのは、その大災害のシーンが占める分量で、本作は冒頭でいつ起こるのかを宣言して、ドラマ部分のクライマックスにぶつけてくる形で全篇パニックをテーマにしているわけではないというところです 大災害に至るまでのドラマ、なぜその大災害がそのクライマックスに起こるのかのテーマ性がしっかりしているのが、本作を傑作としているポイントだと思います 聖書のソドムとゴモラにサンフランシスコをなぞらえて、悪徳の街が神の怒りに触れて破壊される それを人間は為すすべもなく、悪徳は打ち砕かれ、人々は改心して新しい街の建設にむかう 歌姫と2人の男の物語はそのテーマを物語にするためのものに過ぎないのです なので、本作の題名は桑港なのです 主人公はクラーク・ゲーブルではなく、サンフランシスコなのです タワーリングインフェルノや、本作の直系の子孫と言える大地震などには、このようなテーマ性は皆無です 只の見せ物映画になってしまってます 本作のような、なぜその時に大災害が起こったのか? その大災害は登場人物達の魂にどのような衝撃を与えたのか? その大災害は人間に取って一体どのような意味をもって神が試練を与えたもうたのか? このようなテーマ性を少しでも意識して継承できていたのは、ポセイドンアドベンチャーだけでしょう 日本は地震国であり、阪神大震災、東日本大震災は言うにおよばず、毎年何らかの大災害が起こっているのです このようなしっかりとしたテーマ性を持ったパニック映画で世界に誇れる傑作を日本映画こそ生み出すべきでは無いでしょうか? このテーマ性はキリスト教でなければ生まれ無いと言うものでも、宗教でなければならない事でも無いはずです 劇中、ヒロインがクライマックスで歌う、サンフランシスコの歌は、1980年代にサンフランシスコ市の正式な市歌になっているそうです パラダイス劇場のあるバーバリーコーストは、昔は下町中の下町のギャングや売春宿がゴロゴロする怖い繁華街だったそうです

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あき240

4.0その道目指して田舎から出てきたんだから、いくら相手がクラーク・ゲー...

2015年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

その道目指して田舎から出てきたんだから、いくら相手がクラーク・ゲーブルだろうが靡いちゃうよね。 大惨事をテーマにしているせいか、宗教色が強い。 色々と詰まりに詰まったミュージカルでした。

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伝馬町