エレファント・マン

ALLTIME BEST

劇場公開日:2020年7月10日

エレファント・マン

解説・あらすじ

19世紀末のロンドンを舞台に実在した奇形の青年ジョン・メリックの悲劇の人生を、「イレーザーヘッド」のデビッド・リンチ監督が描き、鬼才リンチの名を世界にとどろかせた名作。見世物小屋で「エレファント・マン」として暮らしていた青年メリックの前に、ある日、外科医のトリーヴスという男が現れる。メリックの特異な容姿に興味を持ったトリーヴスは、メリックを研究材料にするため、自分が勤める病院に連れ帰ることに。何も話さず怯え続けるメリックを、周囲は知能が低いと思っていた。しかしある時、メリックが知性にあふれた優しい性格であることが判明するが……。日本では1981年に初公開。作品誕生25周年を記念した2004年にはニュープリント版、本国公開から40年を迎えた2020年には4K修復版でそれぞれリバイバル公開される。

1980年製作/124分/G/アメリカ・イギリス合作
原題または英題:The Elephant Man
配給:アンプラグド
劇場公開日:2020年7月10日

その他の公開日:1981年5月9日(日本初公開)、2004年11月20日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第5回 日本アカデミー賞(1982年)

ノミネート

外国作品賞  

第38回 ゴールデングローブ賞(1981年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ジョン・ハート
最優秀監督賞 デビッド・リンチ
最優秀脚本賞 エリック・バーグレン
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(C)1980 BROOKSFILMS LTD

映画レビュー

4.5 醜さとは何か

2024年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

悲しい

難しい

デヴィッド・リンチ監督作品。

19世紀のイギリスで「エレファント・マン」と呼ばれた青年ジョゼフ・メリックの半生を描いた伝記的な劇映画。

本作の「エレファント・マン」の名は、ジョン・メリック(John Merrick)だが、それは医師のフレデリック・トレヴェスの表記に由来する誤記らしく、正しくは、ジョゼフ・ケアリー・メリック(Joseph Carey Merrick)。
また彼の半生もウィキペディアを出典とするが、本作とは大きく解離している。
そのためジョゼフ・メリックの半生をデヴィッド・リンチ監督が大きく脚色し、映画に翻案したものと考えた方がよさそう。
しかしそうはいっても、物語はかなり秀逸。

醜さとは何か。障害を扱う映画の常套句のようだが、それでも見事に描かれている。

ジョンを「エレファント・マン」として見世物小屋に出展させるバイツ。彼はビジネスパートナーとして、ジョンを承認するが、虐待をする。夜警のジムなんて一番最低な人物だ。人々から見物料をせしめて、夜な夜なジョンの病室に忍び込み、見世物をする。また上流階級の人も、大衆も酷い。好奇で畏怖する眼差し。あんな眼差しに常日頃から晒されるジョンの苦悩は想像に難くない。また医師のフレデリックも、バイツと自分自身を重ねる。彼はジョンを症例としてある種利用するのだから、完全な善人とは言えないだろう。院長や評議員もそうだ。

このように登場人物を非難する私ではあるが、ケンドール夫人や看護婦長、見世物小屋にいる小人のように振舞えるかと言えば、同意しかねる。

ジョンと対峙すれば、大衆と同様に好奇の眼差しや目を背けたくなるだろう。内なる醜さを再確認させられるようだった。

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共感した! 3件)
まぬままおま

4.5 これほど深く感動的な映画だったことに改めて衝撃を受けている

2020年7月27日
PCから投稿

今回の4K修復版は、その映像の美しさにただただ没入せずにいられない。今はもう亡きジョン・ハートが素顔を隠して放つ純朴な演技にひたすら心奪われ、アンソニー・ホプキンス演じる医師との友情にも胸迫るものを感じるこのひととき。映像が澄み渡っていることが手伝って、彼らの繊細な表現が他の要素と混濁することなく、より純粋に際立って伝わってくるかのようだった。また、今の時代に鑑賞することで、いかに医師が先入観を取っ払って、敬意と友情を持って向き合おうとしていたかがよく分かるし、彼が「私は興行師と同じなのではないか」と自問したり、病院内の世界を見世物小屋と比較するなど、リンチが意識的に盛り込んだ構造的なテーマ性も深く突き刺さる。終始に渡って映し出される大聖堂の模型が印象的だ。見えない部分を想像力で補って作り上げたその模型は、人間性や内面を真正面からしっかりと見つめることのメタファーとしても解釈できるだろう。

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共感した! 13件)
牛津厚信

4.0 頭巾を被ったジョンがあまりにも印象的で見事だったが、話の作り過ぎ感が…

2025年11月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

44年前の劇場鑑賞以来という、
本当に懐かしい作品がTV放映されたので
再鑑賞した。
特に記憶に残るのは、ラストの人間らしく
横になって亡くなるシーンだった。

産業革命の19世紀という時代を
背景としながらも、
このドラマの舞台としては、
その進歩性からは取り残されたかのような
雰囲気を醸し出す白黒フィルムでの映像は
素晴らしいの一言だ。
また、ジョンと医師の人間としての苦悩も
良く描かれていたように思う。

しかし、今回の鑑賞で気になったのは、
まずは、冒頭とエンディングを中心とする
母親の登場。
観る側の想像力を消し去ってしまうような、
また、誤解の招きと解説のし過ぎで、
彼女の登場は写真だけにして、
むしろ省くべき箇所ではなかったろうか。

そして、そんなことも含め、
ケンドール夫人の聖人君子的設定や、
何故ジョンの病室が
人目に付き易い1階なのだろうか、とか、
更には、見世物小屋の親方や病院の夜警らが
ジョンを海外へ拉致する場面などにも
史実とは異なりディフォルメ化したであろう
話の作り過ぎ感が気になった。

ところで、ジョンを理解するのが
上流階層であることに対して、
虐待したり、金儲けの対象としか見ないのが
下層階級という構図に違和感があった中、
海外に連れ去られた彼を救ったのが
見世物仲間としたのは、
そんな構図の修正だったのだろうか。

また、映像としては、
頭巾を被ったジョンの“絵”があまりにも
印象的な見事さで、
むしろ頭巾を取った彼が霞む位。
ここは、彼の一部を垣間見せるだけにして、
観客の想像にまかせる演出手法を取った方が
良かったのではないかと思ったが、
デヴィッド・リンチ以外の監督だったら
どう描いていただろうか。

そして、印象に残っていたラストシーン。
しかし、今回、何故か感動が薄かったのは、
最後にジョンが自殺したことにするために、
先に述べたように、
主役の2人以外の要素の話の作り過ぎ感
の結果、彼の死にそれまでの展開が
上手く収束していないかのように
感じてしまったためだったろうか。

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KENZO一級建築士事務所

4.0 自分を発見できた

2025年3月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

難しい

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カズユキ