面影(1976)

解説

ハリウッドの『キング』クラーク・ゲーブルとブロンドの大スター、キャロル・ロンバードとのドラマチックなロマンスを再現した恋愛映画。製作はハリー・コーシャク、監督は「ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実」のシドニー・J・フューリー、脚本はバリー・サンドラー、撮影はジョーダン・クローネンウェス、音楽はミシェル・ルグラン、編集はアジル・ネルソン、衣裳デザインはイーディス・ヘッドがそれぞれ担当。出演はジェームズ・ブローリン、ジル・クレイバーグ、アレン・ガーフィールド、レッド・バトンズ、メラニー・メイロン、ジョアン・リンヴィル、キャロル・マクギニース、モーガン・ブリタニーなど。

1976年製作/アメリカ
原題または英題:Gable and Lombard

ストーリー

1942年1月17日、アリゾナ州の山岳地帯に旅客機が墜落した。この旅客機にはキャロル・ロンバード(ジル・クレイバーグ)が乗っていた。彼女こそ30年代を代表するスターであり、また当時『キング』クラーク・ゲーブル(ジェームズ・ブローリン)の最愛の女性でもあった。現場に飛んだゲーブルは、飛行機が落ちたという山頂を見守り続け、キャロルとの波瀾に富んだ関係を想い出していた……。1930年代のクラーク・ゲーブルは、まだ週給100ドルも稼げないうだつのあがらぬ俳優だった。ある日、彼は珍しくビバリー・ヒルズの大邸宅で開かれるパーティに招待され、出かけた。しかし、MGMの宣伝部長イバーン・クーパー(レッド・バトンズ)から服装を注意され、体よく追い返された。その帰り道、彼の車は反対方向から飛ばして来た救急車を避けそこね、街路樹に衝突して動かなくなってしまった。仕方なく邸に引き返したゲーブルが見たのは、救急車から出て来た金髪の女性が「一杯食わせたでしょ!」と集った人々を相手に得意気に叫んでいる場面だった。その女性こそ、パラマウント映画のドル箱スター、キャロル・ロンバードだった。車を壊され、怒ったゲーブルはキャロルに抗議するが、反対に一発殴られた。そしてキャロルは車の修理代として300ドル、ボクシングのレッスン代として10ドルをゲーブルに投げつけた。この日、ゲーブルは、キャロルの名を心に深く刻みつけた。それから数年、「或る夜の出来事」で爆発的な人気を得たゲーブルは、今や押しも押されぬMGMの看板スターだった。そんなある日、ゲーブルとキャロルの共演映画が製作されることになった。ゲーブルはかつてのパーティのことを思い出し厭がったが、社長命令で、しかたなく昼食会に出かけた。果たせるかな、2人の再会は散々な結果に終った。2人はののしり合い、子供のように食物を投げつけあった。帰りの車の中で、ゲーブルは同行していたクーパーに「明日の朝の9時までにキャロルをものにしてやる」という賭けを申し入れた。その夜、キャロルの出席するパーティにゲーブルも出席した。そして、あらかじめ雇った3人の暴漢に襲わせ怪我をした。狂言とは知らないキャロルは、彼を手当てするために自分の家へ連れて行き、2人は一晩一緒に過ごした……。2人のトップスターの恋愛は、MGM、パラマウント両社にとって大問題だった。ゲーブルには別居中とはいえリア(ジョアンヌ・リンブル)という妻がいるため、不倫の恋は世論が許さなかったからだ。会社側の強い説得で、2人は一度は諦める決心をしたが、とうとう郊外に2人だけの家を借りて、つかの間の逢瀬に身をこがした。一方、リアも一度は離婚を承知したものの、ゲーブルとキャロルのゴシップが新聞や雑誌に書きたてられたため、離婚話をくつがえした。そんな時、ノリーン・ワトソン(キャロル・マクギニース)というナイトクラブのホステスが、4カ月になるお腹の子供の父親がゲーブルであると、承知訴訟を起こした。ゲーブルは今度こそ、映画俳優としての自分の将来が断たれたことを覚悟し、今やキャロルの名を守ることだけに専念した。全米の注目を集めて裁判が始った。そして、その最終日、キャロルが自ら証人台に立ち、自分とゲーブルが長い間同棲生活を送っており、ノリーンが訴えている問題の夜も、一晩一緒にいたことを証言したのだった。結局、キャロルの証言が利いたのか、ゲーブルは無罪となった。そして2人は、映画界を捨て、2人だけの生活を見出すべくハリウッドを去る決心をした。だが、映画界や世論は、2人の恋と勇気ある態度を支持し、大歓迎したのだった。その後、ゲーブルはリア夫人に離婚を承認させ、1939年3月20日、アリゾナの小さな町で、静かな結婚式を挙げた……。長い回想が終り、ゲーブルは現実に戻った。生存者は発見されなかったようだった。ゲーブルを乗せた車は静かに遠去かって行った。

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