ある日曜日の午後

解説

「戦場よ去らば」「今日限りの命」のゲイリー・クーパーが主演する映画で、「六月十三日の夜」「暴風の処女」のスティーブン・ロバーツが監督したもの。原作はジェームズ・ヘイゲン作の舞台劇で、「歓呼の涯」「借りた人生」と同じくグローヴァー・ジョーンズとウィリアム・スレイヴンス・マクナットが共同脚色している。撮影は「恋の凱歌」「極楽特急」のヴィクター・ミルナー。 助演は「キング・コング(1933)」「肉の蝋人形(1933)」のフェイ・レイ、「紐育の仇討」「今日限りの命」のロスコー・カーンス、「恐怖の甲板」「十三号室の女」のニール・ハミルトン、舞台出身の新進女優フランセス・フラーの面々。

1933年製作/アメリカ
原題または英題:One Sunday Afternoon

ストーリー

ある日曜日の午後の事であった。とある田舎町で歯科医を営んでいるビフ・グライムス(ゲイリー・クーパー)は、妻のエミー(フランセス・フラー)を連れて散歩に行くところだったが、ペンキ屋のスナッピー・ダウナー(ロスコー・カーンス)と昔話に夢中になっていた。そこへホテルから電話がかかり、旅行者で歯痛を訴えている者があるとのこと。その旅行者とは、ビフにとって片時も忘れたことのない仇敵ヒューゴー・バーンステッド(ニール・ハミルトン)だった。今、患者としての彼を手術台上に迎えたビフの心は憎悪に沸き立ち、抜歯用の麻酔ガスを自由に嗅がせ、死に至らしめる事も出来るのだと思うと、落ち着かない。物語はここで昔にさかのぼる。ビフは実は、エミーの友達のヴァージニア(フェイ・レイ)を妻にと想っていた。エヴリイ・パークでヴァージニアの歓心を買いながら、女に関して自信のあるビフは、当然彼女と結婚できるものと思っていた。が、ヴァージニアは乱暴者のビフを嫌っていた。ビフがヴァージニアと逢う約束をした夜、彼女はビフの友達のヒューゴーと新婚の旅に出た。何も知らないビフは、約束の公園でヴァージニアを待っていた。町の人々は事情を知って、彼をからかおうと公園にやってきた。そこへビフをひそかに慕っているエミーが現れて、ビフが待っているのは自分だと言い、彼の窮境を救った。それでビフは、エミーと結婚することになったのであった。ビフはエミーを愛そうとつとめながらも、ヴァージニアを忘れられなかった。昼間は工場に勤め、夜は学校に通い、立派な歯科医となりヒューゴーを見返してやろうと思っていた。そのうちに、ヒューゴーがビフの勤めている工場の管理者として町に帰って来た。彼はビフをスパイにして、効率の上がらない職工を首にしようとする。ビフが断ると、首だと言うので喧嘩となり、誤って相手を負傷させたビフは、刑務所に送られた。そんな訳で、ビフはヒューゴーに重なる恨みがあったのだ。そのヒューゴーが今、自分の患者となって麻酔ガスで眠っている。遂に復讐の機会が来たのだ。そこへヴァージニアが、夫の後を追ってビフの前に現れた。彼女には、昔のヴァージニアの面影は微塵もなかった。厚化粧をした年増女の醜悪な姿がビフの空想の美しい楼閣を、一瞬のうちに打ち砕く。そのときビフは、昔と変わらないエミーの優しい心が、急に愛らしく感じる。ヒューゴーに対する憎悪も、思えば愚かしいものではなかったか。彼は無事にヒューゴーの歯を治療する。ヴァージニア等が帰ると、ビフは優しくエミーを抱きしめ、朗らかな気持ちで散歩に行くのだった。

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