愛の鳴咽

解説

「トパーズ(1933)」「地方検事」と同じくジョン・バリモアが主演する映画で、イギリス劇作家クレネンス・デーン作の戯曲に基づいて「バワリイ」「暁の砂漠」のハワード・エスタブルックが劇作家・演出家のハリー・ワグスタフ・グリブルと共同して映画脚色し、「晩餐八時」「栄光のハリウッド」のジョージ・キューカーが監督にあたり、「笑う巨人」「女性二重奏」のシド・ヒコックスが撮影したもの。主演のバリモアを助けて「晩餐八時」「昨日」のビリー・バーク、映画初出演の舞台女優キャサリン・ヘップバーンが共演する他、「女性暴君」「暁の砂漠」のデイヴィッド・マナース、「シナラ」のヘンリー・スティーブンソン、「ケンネル殺人事件」のポール・カヴァナー、「暴風の処女」のエリザベス・パターソンが助演している。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:A Bill of Divorcement

ストーリー

マーガレットは欧州大戦のみぎり結婚。夫ヒラリーが砲弾衝撃のために精神に異常を呈し、医者に不治を宣告されて余生を顛狂院に生ける屍賭して生存する様になっても、生み落とした1女シドニーと共に孤閨を守って貞節を尽くしていた。ところが3年ばかり前に知り合いとなったグレイ・メレディスと恋しあい、グレイに乞われるままに新制定の法律によって不治の精神病者たる夫ヒラリーと離婚する許可を得た。娘のシドニーは17歳になっていたが、母がグレイと再婚することにはもちろん大賛成で、彼女自身も友人キットと婚約をしていた。クリスマスの日のことだった。マーガレットとグレイは新年には結婚式を挙げようと喜んでいた。その時奇跡的に病癒えたヒラリーは顛狂院を脱出して10数年ぶりに私が家へ帰って北。ヒラリーは愛するマーガレットと楽しい結婚生活に再び入る喜びに燃えていた。マーガレットは苦しい心を抑えつつ、ことの次第をヒラリーに語ったがヒラリーはそれを理解できなかった。そして自分を愛してくれと哀願した。今はヒラリーに微塵も愛を感じないマーガレットであったが、その悩みと訴えを見捨てるには忍びず、意を翻してグレイとの結婚を思い止り、ヒラリーに仕えて一生を送ろうと約束するのだった。シドニーは父を見、父の振る舞いを見て、父の精神病が短なる戦争の影響に寄るものでないことを疑い、医者に問い訊してそれが遺伝であることを知った。彼女は恐るべき遺伝を絶つためにも愛するキットを諦めて婚約を解消し、母マーガレットをグレイと共ににがして、自ら淋しい父の一生の面倒を見ることを引受たのである。

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