映画レビュー
ひき逃げされた清掃員のおじさんはどうなった?
前作『公共の敵』の続編だと思っていたら、ソル・ギョングとカン・シニルが同じ役名で起用されているだけで、刑事から検事へとキャラ変更されている全く別の物語。韓国でもキムタク人気は凄いようだったし、『HERO』人気にあやかって検事を主人公にしたのだろうか・・・。いや、女性に人気のあるキムタクと、どちらかといえば男性ファンが多そうなソル・ギョングを一緒にしちゃまずいか。
とにかく、熱血、型破り、はみだし、などといった修飾語が良く似合う検事カン・チョルジュン(ソル・ギョング)。部下の命を守るためなら銃の使用もためらわない。そんな彼が遭遇した事件は、同級生でもあるハン・サンウ(チョン・ジュノ)が祖父の代から受け継いだミョンソン財団の資産を私財として売り払ってることと、彼の父親と兄を殺したのではないかという疑惑。チョルジュンが検事になるため猛勉強したのも、ハン・サンウに世の中の汚さを教わったためだったのだ・・・
冒頭では彼らの高校時代の乱闘事件、そして現在の暴力団摘発のための強制捜査と、かなり派手なアクションシーンでアドレナリンを上昇させられる。観客にはサンウの悪事を見せてくれているので、これらをどうやって立証し、対決してくれるのかと期待させるのですが、チョルジュンの推理がいきなり崩れ去って敗北。殺人事件は交通事故として処理されているので、立件は無理・・・じゃあ、どうやって??
結局は贈収賄やその他の経済犯として追求することになるのですが、このあたりの描写は不親切。そうこうしているうちに、部下の1人が兄殺しと同じように暴走族に襲われ、交通事故に見せかけて殺される。頭に血が上ったチョルジュンがサンウ邸に乗り込み、暴力を振るってしまい、転勤命令が下る・・・。と、よくあるパターンとなってしまうのです。
辞職覚悟で暴力に訴える検事・・・なんて、刑事をわざわざ検事に変える必要性も見当たらないし、法廷シーンももちろん無い(ソル・ギョングが熱弁を振るうなんて考えられない)。暴走族が捕まって、自白したんだから捜査令状取れよ!という願いも虚しく、轢かれた清掃員(チェ・ヨンシク)は報われないままなのだ。
それでもソル・ギョングは熱くさせてくれるし、アクションシーンは凄いものがあったし、ストーリーに不満を残しながら楽しませてくれる。カン・シニルとのコンビも上司・部下の関係を超えたチングといった雰囲気がとてもよかった。