楽園からの旅人

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解説

カンヌ映画祭パルムドール受賞作の「木靴の樹」(1978)などで知られるイタリアの巨匠エルマンノ・オルミが、人生最後の長編映画として手がけた「ポー川のひかり」(2006)から5年、前言を撤回して新たに撮り上げた自身の集大成ともいうべき現代の黙示録。イタリアのある町で、取り壊されようとする教会に、長年にわたり神の愛を唱え続けてきた老司祭がひとり残っていた。そこへアフリカから長い旅をへてやってきた不法入国者の一団が訪れ、小さな村が形成される。やがて身重の女性が出産し、キリストの誕生を思った老司祭は祈りをささげるが、何者かにより不法移民の存在が密告されてしまい……。

2011年製作/87分/G/イタリア
原題:Il villaggio di cartone
配給:アルシネテラン

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映画レビュー

4.5まだまだ引退はありえない、嫌いだが、次回作も観たくなるオルミ監督作だ

2013年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

難しい

ここ最近仕事が忙しく、映画を観る時間が充分に取れずにちょっとイライラしていると、そこへ、「楽園からの旅人」の試写状を友人がくれたので、映画なら何でも観ると言う私は、喜び勇んで会場へと向かったのだったが・・・
観てびっくりだった。このファーストシーンは余りにもショッキングだった。
私は、それ程熱心なクリスチャンではないものの、一応は洗礼を受け、キリストを信じている人間である。ビルの解体業者のような人々によって、映画のセットを簡単に取り壊すように、教会の礼拝堂から、キリスト像が外され、次々と教会内にある絵画などが外され、あれよ、あれよと言う間に、教会はまるで、空き倉庫の様にガラ~ンと空っぽの廃墟に様変わりする。
その総てを何の手立ても無く只事の成り行きだけを見守る、老神父を   が演じているのだ。
別にクリスチャンでは、なくてもそんな衝撃的なシーンをゆっくりと見せ付けられたらかなり何故こんな事が起きるの?と誰でもショックを受けるだろう。
そして、この映画の監督は誰?と確認すると、何と「木靴の樹」を撮影したエルマンノ・オルミ監督作品ではないか!!!
大失敗をしたあぁと映画を観始めて後悔しても、もう遅いのだ。後悔先に立たずとは、この映画の事である。もう手遅れなのだ。
彼の作品を観るのであれば、私は覚悟を決め、睡眠を充分に取り、万全の体調を整えて臨まなければなるまい。
たかが、映画観賞をするだけの事なのだが、どうしてそこまで、決心をする必要が有るかと言うと、今から、もう30年以上も前の私がまだ学生だった頃に公開されたあの名作「木靴の樹」の残酷なラストシーンに驚かされて、あれ以来彼の作品を観る事を私は避けて来たからである。
いくら、イタリアンリアリズムを追求するような映画であっても、そこまで厳格に厳しい現実の世界の人間の哀しみ溢れる生活を映し出す必要もなかろうと、かなりの間「木靴の樹」を観た後は、落ち込んでいたからだ。
現実の世界の厳しさを容赦なく見せる監督のその姿勢は、リアルな現実世界の上をいく厳しい作家の目であり、その彼の凄さに圧倒されて以来、彼の作品は避けて来た。
刃物で抉り出す様に、この世の現実の不公平な世界をいとも簡単に容赦無しに、カメラに収めてしまうからだ。
大袈裟な様だが、映画とは、所詮は作り物ではないか、リアルに観える嘘で良い世界なのだ。しかし、彼の描く映画は、理不尽で、誰もこの世では望まない現実を、ゴロンと目の前に見せるのだ。今回も彼の厳しい目が、現実世界の矛盾点を観客の前に映し出す。難民と言う厳しく、誰も触れたくない問題を描く。安住する事無く、生き続ける哀しい運命の人間の尊厳を、またしても、切り取って見せ付けている。世界には、愛が不足していると言わんばかりに、彼の次回作は、一体どんな問題を描くのか興味の湧くところだ!

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Ryuu topiann(リュウとぴあん)
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