マリー・アントワネットに別れをつげて : インタビュー
レア・セドゥー×ブノワ・ジャコー、ベルサイユ宮殿での撮影語る
マリー・アントワネットの朗読係を務めた少女の視点から、フランス革命時ベルサイユ宮殿で繰り広げられていた歴史の裏側を描き、フランスでもっとも権威あるフェミナ賞に輝いたベストセラー小説を映画化。ハリウッドからの注目も高い、主演女優レア・セドゥーとブノワ・ジャコー監督が絢爛豪華なベルサイユ宮殿での撮影を振り返った。(取材・文・写真/編集部)
「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」「ミッドナイト・イン・パリ」など、アメリカの大ヒット作でも抜群の存在感を見せている仏若手女優のレア・セドゥー。本作では世界でもっとも美しい建造物のひとつと言われるベルサイユ宮殿を舞台に、王妃に心酔する朗読係の少女シドニーを演じる。
世界遺産でもあるベルサイユ宮殿内でのロケを敢行、衣装やメイクも当時の豪華さを再現し、マリー・アントワネット役のダイアン・クルーガー、ポリニャック夫人を演じたビルジニー・ルドワイヤンというベテラン女優らと共演したセドゥーは、「宮殿に私たちだけしかいない、というのが得難い経験でした。私たち俳優は、ベルサイユを自由に歩きまわって過ごすことができたのです」と振り返る。
フランス革命勃発後、ベルサイユ最後の3日間で王妃と王妃の寵愛を受ける貴婦人、そして使用人という3人の女たちの愛と駆け引きを描く。セドゥーはそれぞれの役柄に階級があったことが、女たちの自然な距離感を表現することにつながったと話す。ジャコー監督は「私が現場で言っていたのは、シドニーがこの物語の主人公で、アントワネットが中心人物だということ。2人の女優もこの映画という馬車があるとしたら先導しているのはレアだと知った上で参加したのです」といい、「私は、演技指導には興味がありません。それよりも、女優同士がどういう距離感をとりあって、私が望んでいるような効果を生みだしてくれるのか、そういうことを想定して役者を選んでいます」とキャスティングについて語った。
大手映画会社の会長を祖父に持つセドゥーだが、女優になったきっかけを問われると「映画一家に生まれたから女優になったということではなく、私の個人的な理由です」ときっぱり。学生時代に知人である俳優の人生が自由に満ちていると言うことを知り、女優を志したのだと明かす。仏映画界の大先輩にあたるカトリーヌ・ドヌーブをはじめ、マリリン・モンロー、イングリッド・バーグマン、ペネロペ・クルスらを尊敬している女優として挙げる。これまでに影響された作品はジャン・コクトーの「美女と野獣(1946)」やチャールズ・チャップリンの作品だそうで、「最近の映画も好きですが、古典映画を好んで見ます」と話してくれた。
ふたりは今作が初タッグとなるが、セドゥーにとって「ブノワとは初めて一緒に仕事をする気がしなかったんです。すべてがナチュラルでした。一瞬で相互に理解できたのです」と息の合った撮影となった。ジャコー監督も「我々は、本当に話す必要がなかったのです。共通の感情を持てるということは素晴らしいことです。レアは、街で偶然出会ったら後を追いかけてしまいたくなるような女性。今回それをカメラを使って行ったということです」とセドゥーの魅力を絶賛した。