ローマ法王の休日

劇場公開日:

ローマ法王の休日

解説

「息子の部屋」「親愛なる日記」のナンニ・モレッティ監督が、ローマ法王のつかの間の休日を笑いと涙を交えて描くハートフルドラマ。ローマ法王が死去し、新しい法王を選出するため各国の枢機卿がバチカンに集まる。全員が心の中では面倒な法王に選ばれたくないと思うなか、誰もが予想していなかったメルビルが新たな法王に選出される。メルビルはプレッシャーのあまりローマの街へ逃げ出すが、街の人々と触れ合うことで人生において大切なものや法王の存在意義とは何かを見つめ直していく。

2011年製作/104分/G/イタリア・フランス合作
原題または英題:Habemus Papam
配給:ギャガ
劇場公開日:2012年7月21日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第64回 カンヌ国際映画祭(2011年)

出品

コンペティション部門
出品作品 ナンニ・モレッティ
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映画評論

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(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011

映画レビュー

3.5居心地悪さを、じっくり丁寧に。

2012年10月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

知的

ナンニ・モレッティ監督とは、「親愛なる日記」以来のお付き合いとなる。ベスパに乗った姿は監督作品のトレードマークにもなり、今回も本編前に登場した。出来ることなら素知らぬ顔でやり過ごしたい、気恥ずかしさ、気まずさ、居心地悪さ。モレッティ監督は、日常に潜むそんなあれこれを、じっくりと丁寧に描く。今回も、彼の持ち味が存分に発揮され、幾度となくにんまりとした。(その点、邦題といい予告編といい、ちょっと、いや相当に!ずれている気がした。ドタバタコメディを期待した人は、かなりの肩透かしだと思う。)
まず、「画」は楽しく、愛嬌がある。赤い帽子にガウン姿(おそろい…のようで微妙に違う。スカパラこと東京スカパラダイスオーケストラのスーツのようでお洒落。)の枢機卿たち。一応は「オトナ」に振る舞いながらも、実際は「コドモ」全開。新法王の選挙にドキドキハラハラ、自分に火の粉が飛んでこないと分かった途端、あっさりお気楽モードになる。シュークリームが食べたい、ガラパッジョ展が見たいと外出したがる三人組には特に笑った。さらには、新法王のカウンセリングを皆で取り囲みワイワイガヤガヤ、アッパーもダウナーもごちゃまぜな愛用の精神薬談義、やたら盛り上がったわりに尻すぼみになるバレー大会。ありゃありゃ…と一瞬は呆れ、たしなめたくなるけれど、「うーん、なんか、わかるなー」という気持ちが勝ってしまい、苦笑い。…あ、そうだ。あの寺村輝夫の「ぼくは王さま」の王さまがいっぱい、と例えたらぴったりくるかもしれない。どこまでもマイペース。好奇心旺盛な半面、ちょっと臆病で移り気。無責任と言えばそれまでだが、憎めないのはコドモのような笑顔のせいだろうか。
とはいえ、物語全体は軽やかさからは遠い。法王という大役に怖じ気づき、街にさ迷い出たメルヴィル。ところが、この映画は、主役である彼を突き動かすような、決定的な出会いも出来事も用意していない。私たちの日常がそうであるように、悩める彼は、どこまでも孤独なままなのだ。
人は、そう簡単には変わらない。とはいえ、「今のまま」もあり得ない。小さなあれこれの積み重ねを経て、少しずつ新たな一歩を踏み出していく。周りの期待に応えるよりも、自分の気持ちを優先した彼の選択。それはむしろ、諸々の面倒を引き受ける覚悟が必要だ。彼を賞賛することもできないし、批判もできない。ただ、ほろ苦さと苦し紛れのほほえみが、余韻として残った。
それにしても、歳を重ねてなお、ミシェル・ピコリは面白い(年長者に生意気ですが…)。往年の彼はギラギラと毒が強いが、いかにも「人のいいおじいさん」といった風貌を手に入れてから、曲者ぶりが倍増した。「ここに幸あり」では性別まで超越するなど、新作の都度、驚かされる。大滝秀治さん亡き今、愛敬と毒を併せ持つ大御所俳優ピカイチかもしれない。これからも存分にはじけてほしい。

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cma

3.5何も書けない

2023年10月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.0根くらべ

2021年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 誰もがなりたくない法王。信者を導かねばならないという重圧に耐え抜かねばならないからだ。何度も黒い煙が上り、法王が決まらない。やっと決まったと思ったら、そのメルヴィルは倒れてしまう。そこから街へと逃げ出すメルヴィル。かつては舞台役者に憧れていたこともあり、ある劇団の稽古場にも立ち寄ることになった。チェーホフの劇については、映画の内容と絡んでいるのだろうけど、ちょっとわからなかった・・・

 コメディだという言葉は当てはまらないのかもしれないし、最後には大団円という結末を用意していないことからも、かなりシリアスな内容。人間臭さを表にだすために、枢機卿たちのバレーボール大会も描いていた。

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kossy

2.0前衛なんですか?お願いです、前衛だと言って下さい!

2020年5月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

カラックスの「ホーリー・モーターズ」や「ポン・ヌフの恋人」、あるいは奇才ルイス・ブニュエルの「銀河」を見終わった時の気分に似ている。

病む精神のサイケデリック・ムービーですな。

2000年の歴史を持つバチカンを舞台にしているが、ストーリーは破綻し、エピソードは関連性無く、伏線の回収にも興味は無く、唐突に映画は終わる。

その上、主人公の法王よりも監督自身の出番が長くて困惑。

(レビューを書き始めて気づいたが「ホーリー・モーターズ」には法王役のミシェル・ピッコリが出ている!)。

ははーん・・モレッティ監督は、カラックス寄りですね

「ブリキの太鼓」ですか?あの法王が不安から発する絶叫は。周囲を凍りつかせますが。
枢機卿たちの顔もコスチュームもバレーボールも抗精神薬も・・すべてのチャプターがサイケ。

期待を裏切ることを目的とした、たぶんこれは“前衛劇”なのだと思う。
それなら僕は至極納得する。

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おととし、システィーナ礼拝堂で天井画を仰いで5時間座り込みました。
ミケランジェロがデザインしたあのスイス衛兵のコスチューム。ちょうちんブルマはラブリーですよね♡

そして「コンクラーベ」を「根比べ」とは上手く言ったものです。

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きりん