「古典的なゴシックホラー」ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
古典的なゴシックホラー
時代は、暗鬼が漂う19世紀末のイギリス。誰も住まなくなった、さびれた古城の様な館が舞台。ホラーと言っても、スプラッター的な血生臭さはなく、暗闇から忍び寄る、得体の知れないものへの恐怖が描かれている。その館の忌まわしき過去の事件から端を発した、怨念や亡霊を巡る古典的な、ゴシック・ホラー作品となっている。
庭は荒れ果て、館には蔦が這い回り、蜘蛛の巣がかかり、正に、ホーンテッド・マンション。おまけに、サン・ミッチェルのように、干潮時しか渡れない孤立した島に建つ館。普段は脱出も不可能というの密室空間の設定も、恐怖を煽る。そこを訪ねるのが、若き弁護士・アーサー役のダニエル・ラドクリフ。
妻を亡くし、失意のどん底のアーサーは、幼い息子を家政婦に託して、ある夫人の遺言状の見つけ出す命を受け、田舎町に出かける。その夫人の家こそが、例の館。ところが、その近隣の街では、子供の失踪事件が相次ぎ、それは、館の亡霊に連れ去られたと、まことしやかな噂が広まっていた。
遺言状調査の為に訪れた、アーサーに対しても、住民は敵意を剥き出しにし、ようやくたどり着いた館は、異様な霊気を漂わせ、謎めいた黒いドレスの女の姿を度々面にすることになる。この女の正体は何なのか…?館での調べが進む中で、アーサーは、その館に纏わる恐ろしい呪縛に巻き込まれ、館に取憑く亡霊と対峙していくことになる。
とまぁ、内容は、それほど目新しいモノでもなく、ゴシック・ホラーにはよくある、古き館の呪いに纏わるもの。但し、アーサーと息子のラストシーンは、「エッ」と思わせる、ちょっとサプライズな終わり方でもあった。
この作品が公開されたのが2012年。ラドクリフも、『ハリー・ポッター』時のイメージを払拭して、新たに大人の男としての役作りに挑み始めた作品であったと思う。でも、どうしてもハリーの姿を彼に重ねて観てしまうのは、子役として活躍してきた、彼自身が背負った非情な運命なのかもしれない。