飼育

劇場公開日:

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解説

カンボジアのドキュメンタリー作家リティ・パンが、大島渚監督が映画化したことでも知られる大江健三郎の同名小説を、舞台を1970年代のカンボジアに移して再映画化した戦争ドラマ。カンボジア共産党クメール・ルージュの制圧下にある農村に米軍機が墜落し、1人の黒人パイロットが捕らえられる。クメール・ルージュにすっかり洗脳されていた少年ポンは、鎖につながれた黒人パイロットの見張り役を任されることになり……。2011年・第24回東京国際映画祭「アジアの風」部門に出品された。14年、パニュ監督の新作「消えた画(え) クメール・ルージュの真実」の劇場公開を記念した「虐殺の記憶を超えて リティ・パニュ監督特集」で上映。

2011年製作/110分/フランス
原題または英題:Gibier d'Elevage
配給:太秦
劇場公開日:2014年6月29日

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映画レビュー

4.5日本の小説をカンボジアに置き換え映画化

2019年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

大江健三郎の同名小説を、カンボジアに置き換え映画化した作品。ドキュメンタリー作家のリティ・パン監督にしては珍しい劇映画だ。舞台を、太平洋戦争時の日本からポル・ポト派が台頭するカンボジアに置き換え、戦争に協力する少年たちと墜落した黒人米軍兵の奇妙な関わり合いを描く。イデオロギーに洗脳された少年たちが屈託ない表情で黒人兵を虐待する光景が恐ろしい。 しかし、やがて少年たちと黒人との間に親愛の情が湧いてくるが、悲劇は襲いかかる。カンボジアの緑豊かな村で撮影しているが、出演している少年たちは現地の村の子どもたちだそうで、自然な佇まいは映画に強いリアリティを与えている。 カンボジアはかつて映画大国だったが、ポルポトの時代に多くの映画作家が殺された。リティ・パン監督は断絶した歴史をつなぐべく、本作に挑んだのだろう。東南アジアの現代史における悲劇を力強く描いた傑作だ。

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杉本穂高