クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち

劇場公開日:

クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち

解説

デビュー作「チチカット・フォーリーズ」(1967)以降、現代社会のさまざまな場所や問題を切り取ってきた米ドキュメンタリー界の巨匠フレデリック・ワイズマンが、世界的にも有名な仏パリの老舗ナイトクラブ「クレイジーホース」にカメラを向けたドキュメンタリー。幻想的できらびやかなショーの模様から、そこで働く女性ダンサーたちの姿、スタッフや舞台裏、オーディションの風景なども収められている。本編の最後には、著名振付師フィリップ・ドゥワレによる最新ショー「DESIR」も披露。

2011年製作/134分/R15+/フランス・アメリカ合作
原題または英題:Crazy Horse
配給:ショウゲート
劇場公開日:2012年6月30日

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映画レビュー

4.560余名で緻密に造り上げられる究極のエロス

2012年11月3日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

知的

映画が始まり、しばらくして驚いた。「え? ワイズマン監督なのに音楽?」監督といえば、ナレーションなし、字幕なし、音楽なし。素っ気ないほど淡々としたつくりでありながら、映像は饒舌にテーマを語り出す…というのが持ち味のはず。80歳を越えて心境の変化が?と戸惑ううちに、あっさりと謎は解けた。今回の題材は、パリの歴史あるナイトクラブ、クレイジー・ホース。映像に似合いすぎるその音楽は、舞台上の音楽だったのだ。やはり、ワイズマン節は健在。にやりとさせられた。 洗練されたヌードダンスを夜な夜な披露しているクレイジー・ホース。このような機会がなければ、この種のショーに触れることはまずなかっただろう。ワイズマン監督は、相変わらず冷静に、一流のエロスを創造する人々を追う。ダンサーたちを選ぶ規準は、踊りの資質ではなくボディライン。映画の初めから終わりまで、踊る彼女たちの裸体が繰り返し映し出される。他人のお尻や胸を、こんなにアップで様々な角度からまじまじと見たことはないかも…と思うくらいに。けれども、そこにいやらしさは全くない。あくまで、エロスを造り出す要素のひとつ。そんな彼女たちの身体は美しく、しなやかで力強かった。 いつもながら、様々な人や場所へ丹念にカメラが向けられる。ミーティングでの舞台監督と衣装係のバトルなど、定番とはいえスリリングで息を飲む。舞台監督が産みの苦しみやひらめきの大切さを説いても、「創造はあなたの仕事。私の仕事をしっかりやらせて。」と臆せず言い切る衣装係。思わずゾクリとした。「芸術だから」でなんでも許され、可能になるわけではない。ショーには、ビジネスとしての側面もあるのだ。彼らは、お客だけでなく、株主さえも納得させる必要がある。そして、彼ら自身に対しても。異なる立場からショーにかかわる以上、激しいぶつかり合うことは時に必至だろう。しかし、目指すところは共通。そこにプロの厳しさ、爽快さを感じた。 加えて印象的だったのは、ダンサーたちがロシアの有名バレエ団のビデオをわいわいと眺めるシーンだ。小さなミスを見つけては笑い転げる彼女たち。しかし、ふとあるダンサーがつぶやく。「床が滑りやすいのね…踊りにくそう。」そんな悪環境は、クレイジー・ホースではまず考えられないことだろう。彼女たちには、常に最高の舞台が用意されている。選び抜かれ、研ぎ澄まされた音楽、照明、衣装…。ダンサーが気に入っている衣装さえ、照明が当たると身体のラインが映えないからと作り直される。そして、昼夜問わず街頭に立つドアマンや、黙々と舞台道具を設置し、舞台を掃除するスタッフ。そんな一人ひとりの存在を、ワイズマン監督は余さず際立たせる。 最高の舞台をめざし、地道な継続と改善を積み重ねていく人々。舞台がいかに複雑で緻密か、痛感させられた。瞬く間の134分、久しぶりに充実感ある映画を観た。 (ちなみに…以前、地方で同国の某有名バレエ団の公演を観たことがある。公演前に、ホール近くのファミレスで団員らしき女性たちが食事をしていて驚いた。さらには、音楽は運動会のBGM並みの大雑把さ…。そんなことを、ふと思い出した。)

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cma

2.0尻、尻、尻

2018年6月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1951年創業の老舗ナイトクラブ「クレイジーホース」の裏側に迫るドキュメンタリー。ヌードショーの為、本編中ほぼ女性キャストはほぼ全裸で舞台やバックヤードにいる。が基本的に芸術を説明されるとさめるなあ、アートでございのドヤ感で二時間はキツイ。スタイリストのフィフィと振付演出家のフィリップのやり合いはピリッとしてて良かった。躍りの官能的さと裏腹に、歌が入った時のずっこけ感よ。

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mimiccu

5.0100年後の人のために

2013年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

ワイズマンのダンス三部作(勝手に名付けてすいません)、『アメリカン・バレエ・シアターの世界』『パリ・オペラ座のすべて』『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』は、ほんと観てて飽きない。好きなシーンを何度も繰り返し観てしまう。 『アメリカン〜』だったらライモンダのシーン、『クレイジー〜』だったらロープダンスとトウシューズのシーンかなあ。 これらのダンスシーンは一朝一夕に出来上がるわけでもなく、鍛錬と伝統に支えられている。 連綿と続くダンスの長い歴史の貴重なワンカットを観ているような気がしてくる。 -- ワイズマンのダンス三部作、実は100年後200年後の人のために作られたんじゃないかなあと思う。 私は、『クレイジー〜』のダンスの大本となった、例えば200年前のマリー・タリオーニのダンスが観てみたい。現代にも引き継がれる芸術がどのように産み出されたのか、当時どんなだったのか、もの凄く観てみたいのだが、叶わぬ夢だ。文献でしか知る事ができない。楽譜は残っていても、その当時の情熱を観ることはできない。 パリ・オペラ座やクレイジーホースは、形を変え、どんどん未来へ引き継がれていくと思う。(もしかしたら無くなってしまうかもしれないけれど、クレイジーホースというものがあったという記録は残るだろう。) 100年後200年後の人も、私がタリオーニを観たいと思ったように、フェリを、ルグリを、そしてクレイジーホースを観てみたいと思うのではないか? ワイズマンはその人たちのために、このドキュメンタリーを撮ったのではないかなあと思う。 圧倒的な身体の存在感を、舞台という一瞬ではなく、映画という永遠にしたかったのではないかと思う。

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小二郎

3.5ありのままを写し撮った映画

2013年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

萌える

カメラマンと監督の好みがよくわかります^^ 初めのほうのダンスシーンが、ずーとおしりのアップばかり映されて、 全然ディティールとか全体の雰囲気がわからない!! ダンスが見たいのに~、ともどかしい気持ちになりました。 後に行くほど、『局部のアップのみ』や『胸のアップのみ』という事はなくなり、きちんと舞台全体が見れます。 もしかして、最初にアップを流すことでアブノーマルな感じを印象付けたかったのかも知れませんね。 全裸に近い状態の女の人がいて、そんな人が踊っていたら、どこに目をやるか? そりゃ当然胸かおしりで、そのことを映像で疑似的に表現したかったのかも知れません。 表舞台と対をなす、夜の舞台クレイジーホース。 ダンサーが憧れるもう一つの場所です。 エロスを表現することだって、立派な芸術。 気になる公演形態ですが、すべての席は舞台に向いていて、飲み物は元からテーブルに用意されている。各席に番号があり、きちんと予約番号の席に観客は着く。 映画館とか劇場に近いかんじですね。 食べ物はたぶん出ないのではないでしょうか? きちんとした身なりでないとちょっと気圧されるような雰囲気。文化人が見に来る『夜の芸術』って感じがします。 そんなクレイジーホースの舞台裏が取材されています。 ・舞台制作会議 ・衣装合わせ ・ダンサーの楽屋裏 ・ダンサーオーディション ・ダンス練習風景 ・照明練習 という感じです。あとはチラッとパリの街並。 ダンサーたちが歌うへたっぴな「クレイジーホースはパリにある」という曲と、それに合わせて舞台で踊るシーンがあり、 ダンスは良いかもしれないけど、その歌じゃエロスの雰囲気が台無しじゃない?とある意味楽しめたりします。 「I am a good girl」が踊られていて、『バーレスク』ファンの私は興奮しました。 キラキラしてて、いい舞台ですねえ。一回くらい見に行ってみたい。

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いずる

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