ロボジーのレビュー・感想・評価
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ミッキーカーチスが好き or 嫌い!?
表題のとおりミッキーカーチス演じる老人が
好きになれるかどうかによってこの作品の評価は180°変わると思います。
良く見れば、他人にかまって欲しい寂しん坊、
悪く見れば、ただのわがままジジイ。
プロットからして古典的な“オチはどうなるのか”という事への
興味だけで観客を引っ張る。
この勢いは「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」では顕著に出ていたけど、
どうも「ハッピーフライト」から監督が“大人”になったのか、
中盤、話がキャラクターの肉付けに向かうため
一気にトーンが落ちてしまう気がします。
前述の老人に対する好き嫌いについても
老人の心情をリアルに表そうとするせいかどっちつかず。
中途半端感は否めないです。
どうも「スウィングガールズ」の時のように
“こんな女子高生いないよ”と思わず笑ってしまうような
もっと“アクのつよ~い老人ならば”もっと面白くなっていたかも。
しかし、色々注文を付けましたが、
面白かったと思います。
少なくとも同じく邦画コメディの「ステキ金縛り」より間違いなく好きかな。
しかし吉高由里子のクマ演技は凄かったなぁ。ハッとした(笑)
老後の人生と生きがい
ミッキー大暴れ
久々に個人プレーで魅せる矢口マジック
『ウォーターボーイズ』
『スウィングガールズ』
『ハッピーフライト』
と、団体芸で笑わせるプレーを十八番とする矢口史靖だが、金属をまとった偏屈爺さんという一人の強烈なキャラクターが周りを振り回す今作は、個人プレーの要素が強い。
スパイスに毒っ気を盛った『ひみつの花園』etc.初期の傑作を思い出し、監督自身の笑いの原点回帰とも云えよう。
西田尚美、田中要次、竹中直人、田畑智子etc.矢口映画の常連が脇を固めているのも長年のファンとして嬉しい仕掛けである。
アシモのぎこちない動きはデビュー当時から気になっていたが、最先端技術の華であるロボットの正体がヨボヨボ爺さんだったというアナログの極みを配置させ、キチンとエンターテイメント化する発想力と実行力の勝利やと思う。
アシモの中身がもし本当にFUJIWARA原西やったら…をストーリーにしたらおもろいやろなって単純なアイデアのそれ以上でも、それ以下でもではない絶妙なバランスに成り立っている。
皮肉の効いたギャグをテンポ良く注ぎ込む一方で、家族と疎遠となった老人の孤独や、嘘を突き通そうとする会社の隠蔽体質etc.洒落にならない深刻なテーマも躊躇なく盛り込み、ビターに仕上げ、笑いながら考えさせる世界観も矢口史靖やからこそ成せる名人芸技であろう。
業務すっぽかし、人を騙す事で頭が一杯なのは、ミートホープや吉兆に通ずる卑劣な行為そのものだが、嫌悪感より
「彼らも大変やな…」って同情が上回ったのは、騙す側も騙される側にも詐欺事件としての罪悪感が存在していないからやと察する。
つまり、みんなイイ人なのだ。
イイ人がイイ人を追い詰めていくのである。
せやから詐欺事件って無くならないんやろね。
苦し紛れの最たる手段ゆえ、誰でもすぐバレるのはわかりきっているため、コスプレショーの時点で物語は破綻してしまっているが、正月明けの疲労が溜まり、気楽に笑いたい今には最適な一本ではなかろうか。
オチのトリックが酷過ぎやけどね。
まあ、そういう有り得ないグダグダな味わいも矢口イリュージョンなのかもしれない。
『エンディングノート』に続いて波瀾万丈の老後を考えながら、最後に短歌を一首
『化けの皮 嘘で固めし カラクリは アタフタ前へ 骨折る未来』
by全竜
老忙爺、万歳!
予告で何度もお目にかかっていたのに(鈴木重光さんに)^^;
まさか彼を演じているのがM・カーチスだとは思わなんだ~!
五十嵐信次郎って誰よ?と思った人が多いと思うが(私もそう)
実はこの芸名、彼がずっと前から自分が俳優として活躍する
その日のために用意していた名前。奇しくも彼は俳優でなく、
ミュージシャンとして活動することを余儀なくされたので、
なかなか陽の目を見ることができなかったのが…ここへきて!
見事に爺ちゃん役をゲット!した彼。コレだから人生は面白い。
だから本作は、ロボットに入って脚光を浴びる鈴木さんと、
その鈴木さんを日本名で演じることが叶った五十嵐さんの、
幸せリンクの上に成り立っているのだ。老忙爺、万歳である。
さて…かなり評価が分かれるだろう本作。
いつも通り矢口監督はダメ人間を真っ当な方向へは導かない。
嘘に嘘を重ね(爆)平然とロボットの中に人間を入れるなんて
大それたことまでやらせる(しかも爺さんに、だ)
嘘をついて皆を騙すことが果たして成功へ繋がるのか…?と
疑問に思う余地をまるで与えず^^;あれよあれよと大人気に。。
困ったのは当人達で、一回のはずがそれで済まなくなってきて
人気に浮かれる鈴木さんをよそに、大学で勉強に勤しむことに。
ロボット工学。あぁそんな難しい分野^^;私にはサッパリだが、
今作に登場する学生さん達の、あの目のキラキラ感ときたら☆
いつも不思議ちゃんの吉高由里子が、かなりチャーミングvな
女子大生を演じる。彼女がいかに「ニュー潮風」に興味を抱き、
3人の社員にやる気を起こさせたかがとても心地良く描かれる。
これぞ嘘から出た誠。
鈴木さん、いいんだわぁ^^;
ホントそこら辺にいる、頑固一徹の、とはいえお気楽者であり、
娘や孫を気にかけつつも、うるせいっ!とっとと帰っちまえ、と
暴言を吐くクソジジイのお手本だ。そんな彼の素敵なところは、
出過ぎない。言い過ぎない。ところだろうか。監督の演出も常に
そんな感じなのだが、ストレートに強調しない部分がとても多い。
起承転結でいえば、起から結までが異様に長く^^;ダラダラする。
結で感動させるのだから、じゃあ承転も力を入れればもっと良い
映画になるかもしれないのに敢えてそうしないところが謎である。
おかしな行動をとる鈴木さんに「ああはなりたくないわね」なんて
老人仲間が陰口を言うのだが、そこら辺はすんなり下がる。
孫に逢うのも自分の偉業は明かさず、あくまで夢に沿い合わせる。
五十嵐さんの嬉々とした表情がロボットに見え隠れするのが愉快。
おそらくはこんな風に描いておいて、ロボット技術における未来や、
老人介護の明日、なんてものをサラリと言っているのだろう。
転んだ人ににサッと手を差し出せる人間が今どれくらいいるだろう。
どんな悪態をついていても、培われた人の良さは絶対に変わらない。
彼女(吉高)は鈴木さんの人間性(その動き)に惹かれちゃったのね。
エンドの「ミスター・ロボット」は私世代にはとっても懐かしい名曲。
1983年のスティクスのヒット曲、歌詞に使われた日本語が流行って
当時の日本のファンが喜んだ。…ドモアリガット、ミスター・ロボット、
ヒミーツを知りた~い♪←こんなこと言ってたわね、確かに^^;
それを今回(もちろんミュージシャンの顔を持つ)五十嵐信次郎が、
シルバー人材センターの皆様と共に高らかに歌い上げるのに感動!
最後のオチでニヤリとさせ、ラストの音楽で嬉しくなる不思議快作。
(ニュー潮風なんていう洗濯機なかったっけ?あれ、うず潮だったか)
ロボ型爺さん
予想した展開通りだけれど。
なんだかなぁ・・・
えっと…
大体の笑いのポイントは予告編で全てバラしてるのはどうなの?
だから予告で流れる笑い以上のもんがないのよ!
竹中直人のシーンって予告でやる意味あったの?
だってあのシーンって高い金額払って映画見に行く我々の特権ちゅーか
ご褒美的なもんじゃねえのかよ!
予告編以上の事がおきない映画ってなんなんだよ!
せっかく偽ロボットって言う面白い素材があんだからさぁ…
そもそも、監督のロボットに対する愛着の欠片もねぇのよ
吉高由里子が「ロボット馬鹿にしやがって」みたいな台詞を言うが
そっくりそのまま監督にお返しします。
良くも悪くもまぁまぁ。
新鮮味が…
ストーリーに新鮮味がなかったかなぁ。役者さんは皆良かったけど…。
お感じの方もいらっしゃると思いますが、クライマックスの記者会見の場面は、アイバン・ライトマンの「デーヴ」の雰囲気ですね。
機会があれば、観比べてみてください。
そこそこ面白かったけど、消化不良。
矢口監督なら、もっと面白くできた気がします。消化不良な印象。点数をつけるなら、
65点くらいでしょうか。
今回の作品の流れなら、「お爺さんと娘家族の関係改善」「城東電気三人組の成長」を通して
最後には「それぞれの再出発」に繋がるものだと思っていました。
だけど、その3つが全部中途半端なまま終わってしまった…。
もっと、グッと心に迫る展開にもできたんじゃないかなぁ。
突っ込みどころ満載!......楽しい映画でした!
最初、ちっちゃな会社での話かな?と思っていたら、意外と大会社っぽい...。この規模の会社で、社長の思いつきでやっては駄目でしょうという突っ込みは、さておき.....昨日まで営業やら梱包担当だった社員に3ヶ月で自立式ロボットを開発させるという....笑える設定。
当然、出来るわけがないが残り一週間にして、なんとなく出来ているから凄い!.....さらには、人が入れるように改造.....なんて優秀な社員なのでしょう!......ならば、一年くらい掛ければ、ちゃんと出来たかも......と、また突っ込んでしましました.....このように、突っ込みどころが満載なのが売りなのかも.....実に楽しい映画でした!
主演に五十嵐信次郎ことミッキー・カーチスが良いですね!
普段、あんなにダンディーな彼が、よぼよぼ頑固爺さんという役柄のギャップが面白い.....。
本当に入っているのだろうか?.....。
ロボットオタク学生役の吉高由里子も良い味を出してます.....
裏切られた時の目の下のクマと逝っちゃった感じ......笑えました.....。
最後、どうやって事態を収集させるのか.....ほんわか、心安らぐ感じで良かった....。
しかも、強い見方を得たはずのロボット開発チーム.....最後の落ちにも笑えました.....。
エンドロールに流れるテーマ曲.....ミッキー・カーチスやっぱ、カッコいい!
バレたらどうなる? ラストは正に最高の“オチ”
矢口史靖監督といえば、テーマの着眼点の面白さと、笑いを取りながらも事実を曲げない、ある意味、本物主義なオタッキーな作風で、今や矢口ブランドを確立。その新作は映画ファンとして楽しみのひとつだ。
今回は、工業技術の最先端、二足歩行ロボットが素材だ。ロボット作り未経験の素人チームが、ワンマン社長の号令で開発に臨むというのだから大変だ。まず、この無謀さが笑いを誘う。困った挙句に、展示会に出品するロボットに人間を入れようってんだから、これ以上の可笑しさはない。
と同時に、バレないのか? バレたらどうなる? というスリリングさを孕む。
要するにこの映画は、大筋を先にバラしたうえで話を進めるわけで、見どころは次の2つということになる。
1つ目は、中に入る人間が身体能力に勝る若者ではなく、明日にもボケようかという老人だということ。これは笑いだけでなく、ロボットの古ぼけた外観とともにペーソスを醸し出す。しかも人生経験豊かな爺さまは、やっと再就職口を見つけた恩もどこ吹く風、制御不能のロボットと化す。
今や日本中で話題のロボットとなった73歳の鈴木さん、心が離れぎみの家族や高齢者を取り巻く社会に対して自己アピールすることで、せめてもの老人の意地を見せる。その人間臭さが時に哀れであり、また、おちゃめで可愛くもある。
これはもうミーキー・カーチスこと五十嵐信次郎のワンマンショーといっていい。
若手の中でも独特な色を持ち、好きな役者でもある濱田岳と田畑智子だが、今回ばかりは影が薄いのも仕方あるまい。
もう1つの見どころは、いつバレるのかも含め、どこに落としどころを持っていくのか、この一点に尽きるだろう。話の大筋は分かって観に行くのだから、興味の殆どがラストの展開であり、矢口監督の手腕が最も活かされるのもここだ。
もちろんラストの顛末は伏せておくが、マジ?なロボット談議による誘い水といい、いくつかの伏線といい、これ以上の“オチ”はない。
五十嵐信次郎?
ロボットとボクシングの組み合わせもよかったけど、ロボットとジジィの組み合わせもイケテル。
木村電器のチビ・デブ・ヤセ。社長から無理難題。二足歩行ロボットの製作を命じられ悪戦苦闘。やっと形ができたロボットはキーボ-ドに液体で暴走。窓から落下。接続したPCもひきつれて落下。最後の命綱のケーブルもコンセントからはずれてPCがロボットに命中。一巻の終わり。
3バカトリオが考えた窮余の一策。当たっちゃいました。ロボットに入るジジィは立川流ミッキー亭カーチス。立川流では踊りも昇進基準にあるから、ロボットの踊りくらいは朝飯前、モーニング前、おちゃのこさいさい、へのかっぱ。ロボット博覧会で大活躍。女子学生を助けるシーンは笑いのドツボにはまってしまった。これは言語では表現できない本能なのです。
そんなこんなでしばしロボットの活躍。それをストーカーする女子学生。でも、蜜月は長く続かない。真実を知った女子学生。吉高は目の下にクマなんか作っちゃってキレ役バッチシ。
ロボットに人間が入っていることをわからせずに、ロボットを破壊して事を終息するというのは鈴木じいさんが考えた作戦だろう。「大誘拐」でも、なんとか刀自というばあちゃんが誘拐犯を手玉に取る。お年寄りあなどるべからず。
エンドのミッキー・カーチスの歌。まだまだいけるんちゃう。
バレそうでバレない滑稽な展開のなかに、主人公の老人が抱えた孤独な状況もうまく表現されていて、考えさせられました。
矢口監督は、こういう企業の裏ネタモノを描かせたらピカイチでしょうね。同じ「ジー」つながりで、最先端のロボット開発に関わるエピソードと老人問題をドッキングしてしまうストーリーを思いつくなんて天才的です。
誰が壊れたロボットの代わりに、ジジイが入ったかぶり物のロボットで、業界やマスコミの目やさらに、理大の学生までごまかしてしまうという途方も無い物語を思いつくことができるでしょうか。
チープに破綻しやすい設定は、当然ニセモノであることがバレそうになることを織り込み済みでした。けれども決定的なピンチで何度もバレそうになるそうになるところを、思いもつかないアイディアでかわしてしまうところは圧巻です。ユーモアセンスも抜群。紙一重でバレそうでバレない滑稽な展開のなかに、主人公の老人が抱えた孤独な状況もうまく表現されていて、考えさせられるテーマもきちんと描かれているところはさすがです。最後のピンチを切りぬけるドンデン返しも秀逸。2時間の劇中、隙間なく楽しめる傑作でした。
ロボット開発のスキルもない窓際社員の3人が、いきなり開発を命じられたのは、ひとえにワンマン社長の思いつきに過ぎなかったのです。初めは、何でも動くものをこしらえて、ロボット博で動かせば、広告宣伝費がない木村電器にとってただで宣伝できるぞという社長の寅算用だったのです。しかしなんとか作り上げたロボットは、お披露目を間近に大破させてしまいます。クビをおそれた3人が思いついたのは、ロボットの中に人を入れてごまかすことでした。
社長と1回キリの約束だったから、こんな無謀な賭に開発者の3人は打って出ることになったのです。
一方ロボットに入ることになる鈴木は、全くこの世界とは無縁の老人でした。妻に先立たれ、娘夫婦には偏屈さを疎まれて、一人暮しの退屈さから、たまたま気晴らしで応募したのが、開発チームが仕掛けた架空のかぶり物のオーディションだったのです。
すんなりと鈴木に決まらず、アクシデントによる辞退が出て、仕方なく体のサイズがたまたま合っていた鈴木に白羽の矢が立つというお膳立てには、納得しました。
開発チームにとっての不幸は、鈴木の老人としての動きが、ロボットの動きにはまり過ぎたということです。ロボット博での余りの好評ぶりに気をよくした木村社長は、勝手に“ニュー潮風”を使った企業PRキャンペーンを決めてしまいます。
しかし彼らにとって、もう一つの不幸は、鈴木が頑固で偏屈で、人の言うことを全く聞かない老人だったということ。社長命令を渋々飲み込まされた3人は、再度ロボットになって貰えるよう鈴木の元に交渉に行きますが、インチキの片棒などできないと言下に断られてしまいます。「誰があなたがロボットだったなんて信じるものですか」の罵られた鈴木は、腹いせに老人会のメンバーに、新聞記事に載っているロボットはオレなんだよとネタバレを囁くものの、みんな鈴木が惚けてしまったものと相手にされないところが可笑しかったです。
もう一度自分の存在を社会に認めさせたくなった鈴木は、ロボット役に復帰。でも大変なのが鈴木の度がはずれたわがままぶりでした。全国のキャンペーンに駆り出される“ニュー潮風”に随行することになる鈴木は、高級ホテルの宿泊に、贅沢三昧の食事を要求。 会社の経理からも経費の使い道を怪しまれたことで、開発チームは財政面でピンチを迎えます。そんなピンチを救ったのがロボットオタクの女子学生・葉子でした。彼女は以前“ニュー潮風”に助けてもらったことがきっかけで、“ニュー潮風”のおっかけとなっていたのです。開発チームは、彼女の大学に特別講師として招かれることで、講師料として経費を賄うことに。しかし、並みいる理大の学生を前にして、技術的なことを全く答えられない開発チーム。意外な「助っ人」が、このピンチをチャンスに変えてしまうのです。
開発チームにとって最大のピンチは、鈴木が家族サービスのため独断で娘夫婦の自宅まで“ニュー潮風”のまま訪問してしまうこと。タクシーの運転手に顔出ししたところを目撃されているのに、バレずに済んでしまう絶妙な訳は、ぜひ劇場でご納得を!
また、就活に来た葉子を開発チームが無碍なく追い返してしまうことで、葉子は反発し地元のケーブルテレビ局に、“ニュー潮風”がインチキであることをリークしようとします。なぜ葉子が“ニュー潮風”ニセモノロボットと気付くのかというきっかけのシーンも可笑しかったです。
加えて局のキャスターの対応が傑作でした。ロボットの中に人が入っているなんて、そんな馬鹿げたことが本当なら、既に話題になっているはず。余りに馬鹿馬鹿しくて、誰も信じないのではというのです。どうもこのキャスターのいうとおり、誰もがあり得ないと勝手に思い込んてしまったことが、“ニュー潮風”の延命に繋がっていたのですね。
しかし、葉子の執念の証拠固めもあって、“ニュー潮風”がインチキではないかという風評が拡がります。木村電器は疑惑を晴らすために釈明会見を開催することに。会見ではキャスターの鋭い追及に答えられない開発チームは、今度こそ絶体絶命のピンチに陥ります。会場に駆けつける葉子の機転も手伝い、この危機から鈴木はどうバレずに切りぬけたのか、矢口監督の演出が冴えるラストシーンは必見です。
それにしても懲りないのは開発チームの面々。葉子がチームに参加することで、正真正銘の“ニュー潮風”の開発に成功するものの、またしても不注意でロボット博の直前に開発した新型ロボットを壊してしまいます。
となると…、次のシーンでは当然の如く、葉子も加わった開発チームの面々は、鈴木の自宅のベルを鳴らすのでした。どうやら話は、次回作に続きそうですね。
200人のリアル老人からオーディションで選ばれたのは、五十嵐信次郎ことミッキー・カーチス。彼はこの作品を機に新たな芸名を付けたそうです。五十嵐が演じる鈴木は、時間を持て余し、怒りっぽく身勝手で、娘や孫からも疎まれている点で、ある種の「じいさん」の典型といえる存在といえるでしょう。頑固さを湛える風貌は鈴木役にドンピシャリでしたね。
そんな鈴木が最後には鮮やかな活躍を見せ、自身も生きがいを取り戻すことが、本作のキモに当たります。高齢者の観客には、拍手喝采ものとなることでしょう。どっちかというと「ロボ」よりも、「ジー」がテーマだったのです。
日常の鈴木の所作も、どことなく“ニュー潮風”に似させる演じ方が上手かったです。主題歌も担当していて、なかなか味わいのある曲を聴かせてくれました。また葉子役の吉高由里子は、物語を小気味よくかき回して、コメディーとしての濃い味をよく出してくれました。加えて脇は、田畑智子や田辺誠一など矢口組の演技達者な常連俳優陣がしっかりサポート。息の合った芝居を見せてくれました。
最先端の現役ロボットも多数登場するロボット業界ネタ映画としても楽しめる本作。ロボットの敷居がグッと低くなるこの作品を見て、将来は自分も開発者になろうと考えるちびっ子が沢山出てくれば、日本の将来ももっと明るく変えられることでしょう。
味わい深い作品
この作品の劇場予告を見たのがちょうど「リアル・スティール」と同時期だったので、その落差に思わず「何で今更“こち亀”ネタなんだよ!」と心の中で叫んでしまった。そのためもあってあまり良い印象は持っていなかったが、映画ファンとしての最低限のモラル「まず自分の目で観てから発言すべし」と思って劇場へ足を運んだ。結果としては自分が思っていたのとは違い、ロボット偽装がテーマの軽いコメディーではなく、なかなか味わい深い内容の作品だった。
中小企業が人工衛星を作った東大阪市の「まいど1号」の例があると言っても、ワンマン社長がいきなりロボット工学もAIも知らない社員に、たった3ヶ月で人型ロボットを開発させると言うあまりに現実離れした設定は、いくら何でも受け入れがたいが、こうしないと老人が中に入るというストーリーが成り立たないので、ここは割り切らないと仕方がないのだろう。
この作品を観て自分が感じた一つは、老人問題がテーマではないかということだ。
ミッキー・カーチス改め五十嵐信次郎さんは、妻に先立たれ娘一家との折り合いも悪く、地域のコミュニティにもなじめない、やや偏屈な独居老人をリアルに演じて実に名演である。この鈴木老人が何もすることがなく、居眠りをしたりテレビを観たり公園で時間をつぶしたりしているのは、定年を数年後に控え、それ以後の居場所や生きがいを考え始めた自分にとって、実に身につまされる場面だった(明日は我が身かも)。
そんな孤独な老人がロボットに入ることで自分が必要とされる居場所を見つけ、共に(褒められるものではないにしても)目的達成に協力する仲間を得、間接的にではあるが娘一家にも自分の存在感を示すことができた。そんな経験の後老人は地域コミュニティにも溶け込む姿勢を見せ、人は人の中でこそ生きることを実感させてくれる。
そしてもう一つ感じたことは、日本のロボット開発に対するその暖かいまなざしと期待感である。ロボット展示会での各社のロボットの描写はもちろんだが、吉高由里子扮する「ロボガール」とも言うべき葉子を筆頭とする、ロボット大好き学生の描写にそれが表れている。自分も若いときはSF・特撮のファンクラブに入って駄文を書いたりしていたので、「好き故に欲得抜きでとことん打ち込む」という心情は理解できるし、多分現実にもこんな人々は存在するだろう。そんな中から実際にロボット開発に携わる人も出てくることも十分あり得る。
ただこのラストにだけは正直違和感がある。ロボット愛溢れる優秀な技術者が作ったのだから、こんな安易な扱いで壊れるようなことをするのは納得できない。
自分の好みとしては①ロボットのお披露目会に鈴木老人(とその娘一家)が招待される②その老人の所へロボットと葉子達4人がやってくる③ロボットがフェースプレートに手をかけ老人が驚く④ロボットがフェースプレートを開けて内部メカを見せ、老人と握手する。⑤その後ろで4人が握り拳に親指を立てたポーズで満面の笑みを浮かべる
みたいな方が好みだったが、所詮これは自分の勝手な思いでしかない。
とにかく自分と同じく「こち亀ネタか?」と思っている人には、是非観て欲しいと思う。一見の価値はある。
のんびり鑑賞できます
『ウォーターボーイズ』、『スウィングガールズ』、『ハッピーフライト』の矢口史靖監督最新作です。
期待しすぎて初日に行ってきました(^^)v
今回は老人&ロボットが主人公です。
ヒロインに吉高由里子とパッとしないロボット開発の3人組+社長。
地味な展開が待っているような・・・・・
ロボットものといえば『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』のような派手で変形したりしますが、これはいたってシンプルな人型ロボットです。動きもそのまんま人です。
名前も「ニュー潮風」と洗濯機?扇風機?エアコン?を連想出来る地味な感じです。
スピード感もありません。
老人が主人公ですから仕方がありません。許してあげてください。
ありえない展開ですが笑えます。
独特の間と動きで何度も笑わせてもらいました。
のんびりしたストーリーも落ち着いて観ていられます。
子供から大人まで楽しめるお勧めの映画です。
ぜひご覧になって下さい。
このユニークなロボット映画、ハリウッドにも見せてやりたい
何年か前の某老舗映画誌で矢口監督の事を“どんなバカも許される得な監督”と書いてあったが、思わず納得。
前作「ハッピーフライト」では少し大人になったような作品雰囲気だったが、この新作「ロボジー」では、子供心全開の矢口ワールドがまた帰って来た。
ロボット物の定番と言えば、最近ではVFX満載の変形ロボット・アクションやロボット版「ロッキー」、古くはロボット警官なんてのもあったし、日本では少年たちが巨大ロボットに乗り込んで戦う物がほとんどだが、爺さんがロボットの中に入ってロボットのフリをするというこの異色のアイデア(奇抜?おバカ?)、アナログ感いっぱいで、まるでアンチハイテクやアンチハリウッドVFXみたいで、アイデア勝ち!と思わずにいられない。
ストーリーはベタな展開とギャグで進んで行くのだが、まあ、それが矢口ワールド。安心して見れる。
ちゃんとヒラ社員の悲哀や企業の捏造もやんわりと描き(深読みし過ぎか?)、頑固爺さんの不器用な家族愛も描き、最後はきちんとオチをつけ、老若男女楽しめる娯楽映画にまとめている。
ミッキー・カーティス改め五十嵐信次郎の愛嬌たっぷりの存在感(エンディングの歌声はさすが!)、吉高由里子のキュート&アブナイ怪演、ダメダメ社員3人のズッコケぶり(チャンカワイ、好演!)、楽しませてくれた。
矢口監督、次はどんなユニークな映画を作ってくれるのだろう?
全84件中、61~80件目を表示