『館シリーズ』でお馴染みの綾辻行人原作のホラー・ミステリー小説の実写化。2011年発刊の作品が、今尚、文庫本のベストセラーとなって店頭に並び、新シリーズの『Another 2001』も3年ほど前に発刊され、再び、夜見山北中学校の3年3組に起きた、新たな惨劇に注目が集まった。
主人公・榊原恒一は、父の仕事の関係と、本人が胸の病を患ったこともあり、東京の私学から実家のある夜見山町に移り住み、夜見山北中の3年3組に通うこととなる。そこで、恒一は、学校に漂う不思議で、不吉な空気感に気づく。また、存在が希薄なクラスメイト見崎鳴が気になり始めて声をかけるが、そのことでこのクラスに纏わる恐怖の扉を開くことに繋がってしまう。
実はこの学校には、26年前に起きた生徒の死に纏わる呪縛があり、3年3組に関わる多くの人が死ぬという『災厄』(映画では特にこの名称は出てきてなかった)が起こると伝えられていた。そして1998年の今年も、その『災厄』の年に当たり、一人また一人と恐怖の殺戮が始まった。
そんな重苦しい空気が漂う中、恒一と鳴は、開かずの旧校舎で、以前の『災厄』の年に一人の卒業生が残した、『災厄』を防ぐ方法が吹き込まれたメッセージテープを見つける。そのテープの内容を元に、以前の『災厄』を喰い止めた舞台である古き合宿所へ、恒一達、3年3組全員で乗り込んでいく。しかしそこでまた、互いに疑心暗鬼となったクラスメイト同士が惨劇を引き起こしてしまう。
上下巻合わせて800ページを超える大作である為、それを1時間50分に凝縮すると、かなり端折った内容となっているのは否めなかった。但し、この作品のお宝映像は、何と言っても主演の恒一を演じ、今や日本映画界のトップスターに上り詰めた、山崎賢人の中学生時代の演技だ。そして、凛とした美しさの中に翳りを湛えたヒロイン見崎鳴役に、橋本愛が務めているのも、合わせてお宝である。2人ともあどけなさが残る初々しい演技が、微笑ましく感じた。また、クラスメイトの1人に岡山天音がおり、既にこの時、『キングダム』の『信』と『尾平』のコンビが誕生していた。因みに岡山は、現在と全く同じ風貌だった。