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この「軽蔑」というタイトルですが、誰が誰に対しての軽蔑なのかが良くわからなかったです、どうしてこのタイトルにしようと思ったのでしょうか。
まずそもそものところなのですが、最初にトップレスポールダンスショーパブに一彦(高良健吾)が劇場内で騒動を起こして、そこからダンサーの真知子(鈴木杏)を連れ出すところからストーリーが始まります。何だか一彦は借金があって、その返済に困って(実際には一彦よりも兄貴分の方が困っているようです)その騒ぎを起こすのですが、これをやる事によってどうして借金がチャラになるのでしょう。仕組みというか、どうしてなのかがよくわかりません。
その後一彦たちは一彦の実家のある田舎(和歌山県?)に逃げます。一彦は資産家の息子のようで、お金のない一彦にとっては良い状況なのかもしれませんが、あまり実家からは歓迎されていないようです。そうだとしたら二人で全く違う土地で暮らした方が幸せになるのではないのでしょうか。一彦が実家の地元にこだわるのが良くわかりません。
顔見知りもいるのですが、若い時の悪友的な仲間で、真面目に働こうとしている一彦にとってはいい存在だとは思えません。
一彦の実家で歓迎されなかった真知子は一人新宿に帰ってダンサー業を再開します。ここで良く分からないのは、真知子を取り戻そうと新宿の店に来た一彦を黒服たちが捕まえて、一彦を痛めつけます。そのあとに何の事はなく、真知子のいる楽屋に出入り出来るのは何故なのでしょう。普通だったら、そんな騒動を起こした人間をそのダンサーの楽屋に入れさせてしまうセキュリティーの甘さというのはどういう事なのでしょうか。
全般的にセリフが聞き取りづらく、字幕をつけて見直しました。リアリティを追求するのは良いのですが、セリフが聞き取りづらいと内容が良く分からなくなります。
一彦の真知子の思いは良くわかるのですが、その割には親に包丁を持って襲ったり、ギャンブルで借金したりと自分で自分の墓穴を掘っているような部分が多く、真剣さが伝わりません。それが一彦のキャラといったらそれまでなのですが、その一彦についていく真知子まで頭の良い人には見えません。
全体的に肝心なシーンがかなり省略されていて、深いところまで感情移入が出来なかったというのが、実感です。
一彦がバカラで負けたシーンがないので、一彦が何故山畑(大森南朋)にあそこまで狙われるのかが良く伝わってきませんでした。
バカラを襲撃するシーンもその前後の計画性もなく、どんな金を目当てにしたのにそんなに金がなかったかが良くわかりませんでした。
仲間たちが山畑たちに襲われるところも、海岸のシーンの残酷さはわかるのですが、一彦に彼ら仲間がどうしてここまでされるようなことまでやったのかが分かりません。
アルマンのママで一彦の祖父の妾だった千代子(緑魔子)が本当の身内よりも一彦の事を心配しているのが、良く伝わってきました。
ラストには山畑にアルマンに火をつけられ、千代子はその火事で亡くなってしまいます。
そこまでする山畑というのは何者なのでしょう。
アルマンが火に包まれて、プレイヤーにレコードがかかって熱でひしゃげていき、その音楽の流れる中で死んでいく千代子は感動的でした。
鈴木杏さんは熱演しているのですが、身体が細いのでトップダンサーには見えないのは私だけでしょうか。