八日目の蝉のレビュー・感想・評価
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誘拐犯を母と慕った4年間、人生をめちゃめちゃにされた娘の20年。
不倫相手の妻が妊娠して子供を産んだ。
一目見ようと訪ねた家のベビーベッド。
野々宮希和子(永作博美)に新生児は笑いかけた。
咄嗟に抱き上げて連れ去る。
希和子はこうして乳児誘拐逃亡犯になった。
逃亡生活は4年間で、希和子の逮捕で終わる。
実父母に戻された秋山恵里菜(薫=井上真央)は20歳に成長して、
実家を出てアパートで大学生としてアルバイトに明け暮れている。
過去(希和子との逃亡の日々)そして現在の恵里菜の生活が
交互に頻繁に行き来して描かれる。
薫(恵里菜)は実父母に戻されても、
「知らないおじちゃんとおばちゃんと暮らす自分」に馴染めず、
実母(森口瑤子)は、苛立ちを隠せず叱ったり怒鳴ったり、
恵里菜には安住の家はどこにもなかった。
その恵里菜が妻子ある予備校講師の男(劇団ひとり)の子供を
妊娠する。
そしてこの映画で重要な役割を演じる
ルポライターの安藤千草(小池栄子)が狂言回しとして、
物語を動かして行く。
この安藤が恵里菜に接触して来て、過去の記憶を聞き出し、
孤独な恵里菜の友達になって行くことと、
実際に4年間の希和子と薫の足跡を辿って行く。
駆け込み寺だった「エンゼルホーム」
そこから小豆島の製麺所。
希和子と家族写真を撮った写真館。
そうすることで、恵里菜の薫としての記憶は鮮明に蘇って来るのだった。
この映画で、悲しく無い人は誰もいない。
誘拐した希和子も、
誘拐された恵里菜も、
その実母も実父も、全てが不幸の中にいる。
題名の「八日目の蝉」の意味は、
蝉はこの世に孵化してから7日間しか生きられない。
もし8日目を生きる蝉がいたら、その蝉はただ一匹だけ、
みんなの知らない世界を見てしまう。
それが幸せなことなのか!不幸なことなのか?
その蝉が恵里菜(薫)なのだ。
恵里菜もまた不倫の子を妊娠する・・・
この設定はどうなのだろう?
千草と恵里菜の2人で育てると決めるけれど、そんなに簡単に
育てられるかも分からないし、少しエゴかな?とも思う。
薫にとって誘拐犯の希和子との4年間は、
もしかしたら宝物のような日々で、
母親に無条件に愛された記憶、
なかもしれない。
だがそれは、洗脳された、とも言えなくは無い。
(鮮烈な映画でした)
ラストシーンが圧巻
10年前に観た映画の再鑑賞。
人によって語るべき論点や視座はたくさんあるだろうけれど、個人的に特に刺さった点について。
他人の子を拐って自分の子として育てた母。
「この子にもっと綺麗なもの、美しい景色をたくさん見せてやりたい」という思いは、親の持つ子への愛情そのもの。(個人的に10年の間に自分が親になり我が子に似たような感情を抱いたことから、より一層強く感じた。)
小豆島の美しい風景、伝統や文化。その風土に根付いた人々の暮らし。それらを映し出した映像の素晴らしさが、母と子のやり取りにに説得力を与えて、観る人の感情を揺さぶる(決して長くは続かないことが分かっている関係で、それを知っていたからこそなおさら響く)。海の前でじゃれ合って抱きしめ合っているシーンは、本当の親子であったらどんなに良かっただろうと心揺さぶられる。
憎むべき犯罪者と言い聞かされ封じ込めていた「確かに自分が愛されていた」という記憶。古い写真の現像液のネガから浮かび上がってくる描写。決して会うことが許されないその女も写真を取りに来ていたと告げられた事実。思わず坂道を走り出して、自分のお腹の子への愛情を吐露するラストシーン。
10年前に観たときから本当に良いシーンだなと感じたことを、今回また改めて感じた。
メリハリのついた脚本は秀逸で、難しい役どころを演じた永作さんと井上さんの演技は素晴らしい。本当に良い映画と思いました。
重い余韻が残る作品。 偽りの親子でありながら全ての母性をもって子ど...
重い余韻が残る作品。
偽りの親子でありながら全ての母性をもって子どもに愛を注ぐ母親役を永作博美が鬼気迫る熱演。
井上真央もかわいい見た目に反した影のある役を上手く演じている。
あと小池栄子が少し風変わりな役を好演している。
劇団ひとりはいらんかったわ。
現在と過去を切り替えてのストーリー展開も人物への感情移入が深まり良い。
エンジェルホームの不気味な雰囲気や瀬戸内の穏やかな日々等、情景のコントラストが印象的。
誘拐した犯人側の視点で描かれ美談のようにまとめられているが、子どもを誘拐された実の母親の心労を想像すると胸が痛む。
不倫男がクズ。
子供の頃を思い出す。 親の愛は無条件で、大事に育てられた記憶が、大...
永作博美の演技がすごすぎる
封印されていた薫の記憶が呼び起こされる
原作小説は10数年前に読了。そのため記憶の怪しい部分があるが、今作は原作以上に素晴らしい出来栄えだと思う。
忌まわしい事件の記憶を封印していた薫が、かつて自分が過ごした場所を訪れることで徐々に記憶の封印を解いていく。そして忌まわしい記憶という認識は誤りだったことに気づく。薫は普通の家庭で育って無いから、これから生まれてくる子供にどう接していいか分からなかった。しかし、実は自分が希和子に愛情をもって育てられていたため、子供にも同様に接すればいいのだと気付いた。そのため薫は、これまでのくすんだ灰色に見えていた自分の人生が、急に彩りを持ったように見え方が大きく変わったのだ。
希和子を演じる永作博美の演技が、文句のつけようが無いほど素晴らしいのがさらに感動を誘う。地域のイベントに参加したり、近所の子ども達と話したりする姿は、まさに愛情に溢れた優しい母親そのものだった。写真館の無愛想な店主も、色々察しているはずだがそれを態度や言葉に出さないところが、人それぞれの人生があることを理解しているように感じられてしみじみとする。
さらに、小豆島の美しさが素晴らしい。山の上から見える夕焼けに染まった海や山林の眺望や、ヒグラシの鳴き声が日本の夏を感じさせる。これらの映像が、希和子と薫の過ごした時間と合わさって、2人の色褪せない思い出になっているのを感じられる。
『見上げてごらん、夜の星を』
女性視点なので好きな作品。 女性陣の演技が圧倒的に凄いので、見応え...
生き抜く生命力‼️…え?!
犯人視点だときれいなストーリーに見えてしまう
1985年、自らが母親になれない絶望から、希和子(永作)は不倫相手の子を誘拐してわが子として育てる。4歳になり初めて実の両親の元に戻った恵理菜(井上)は、育ての母が誘拐犯であったと知り、心を閉ざしたまま成長する。やがて21歳になった恵理菜は妊娠するが、その相手もまた家庭を持つ男だった……。(解説より)
希和子(誘拐犯)視点に立つと本当の愛だとか、子への愛とは、というものを考えるところがあるが
本来であれば感情移入するのは恵津子(本当の母)視点であって、そう考えるとなんともいえない誘拐犯の歪んだ愛のストーリーだなと感じてしまった。
希和子が子へ注いだ愛は確かなものであると思うが、そもそも誘拐されてなければ恵津子もきっと今とは違った育て方、コミュニケーションが取れたのだろうと推察する。
どなたかが他のレビューでおっしゃっていたが、某朝鮮国の拉致と何ら変わらないのではという意見を拝見し、確かにそうだなと納得してしまった。
最後のシーンも「え、ここで終わり?」というような尻切れ感が否めなかった。
キッツい、たまんねー
やっとタイトルの意味を理解。
間違った環境で本当の愛を受け取ったら人はどうなるのか
つくり手の視点
どうしても比べてしまう
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