劇場公開日 2011年5月28日

プリンセス トヨトミ : インタビュー

2011年5月23日更新
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中井貴一、デビュー30年を経て抱く“親父”への思い

俳優の中井貴一が、万城目学の人気小説を映画化した「プリンセス トヨトミ」(5月28日公開)に、お好み焼き屋「太閤」店主/大阪国総理大臣の真田幸一役として出演している。1981年の「連合艦隊」で銀幕デビューして以来、役者人生30年。3歳の誕生日を目前にした64年、松竹の看板スターだった父・佐田啓二さんを交通事故で亡くした中井が、「父と子の絆(きずな)」がテーマの同作に出演した経緯を静かに述懐した。(取材・文:編集部、写真:堀弥生)

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鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」に続く万城目の“関西三部作”の大トリを飾った原作は、直木賞候補にもなったベストセラー。中井は、テレビドラマ化された「鹿男あをによし」でオープニングナレーションを務めているが、万城目作品への本格的な出演は初となる。

ストーリーは、1615年の大阪夏の陣で断絶したといわれている豊臣家の末えいが今も生き続け、大阪の男たちは400年もの間、その秘密を守り続けていたという設定。国家予算が正しく使われているかを調査する会計検査院の精鋭3人が、ふとしたことでその事実を知ったことに端を発し、大阪の公共機関や商業活動など、あらゆる機能が停止する大事件に巻き込まれていく姿を描く。

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中井は、オファーを受けた際、同作が映画として成立するのか危惧したという。「邦画でも大掛かりなアクションなどが主流のなか、サスペンススペクタクルのような映画でありながらも、実はテーマに流れているのは『父と子』であったり『受け継ぐもの』であったり。人間のきずなをしっとりと描いてく題材であるがゆえに、お客さまにすんなりと受け入れてもらえるだろうか? という不安はありました」と話す。

そんな不安な気持ちを抱きながらも、堤真一扮する“鬼の松平”こと松平元と対じするクライマックスのシーンには強い気持ちで臨んだ。「僕の役回りは、最後に周囲を説き伏せるだけの説得力をもたせるかということ。激高して話すわけではなく、淡々としながらどういう風に山をもっていくかを意識しました。あとは、見てくださるお客さまに委ねるだけです」と振り返った。

劇中の真田は、無口でどこまでも職人気質な雰囲気を漂わせている。ひとり息子の大輔(森永悠希)には「立派な男になるんやで」と伝えているが、あろうことか大輔は「女の子になりたい」という悩みを抱えていた。そんな息子に対しても、真田はどこまでも静かな面持ちで見守り続ける。

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インタビュー2 ~中井貴一、デビュー30年を経て抱く“親父”への思い(2/2)
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