悪人のレビュー・感想・評価
全204件中、21~40件目を表示
何度見ても良い、最高の恋愛映画
恐らくtotalで7、8回は見てます。
見る度に切なくなるが、この感情を欲してまた見てしまう。
人を殺める描写だけが非現実的だが、その背景はとても生々しく、没入してる人は「あり得る」とすら思ってしまう。
田舎で解体業をしながら祖父母と暮らし、毎日が同じ事の繰り返しで、縋るモノを求める祐一。
また、違う田舎町で生まれ育ち、寂れた紳士服店で働きながら、『生まれてから小学中学高校、そして大人になった今も、自分の人生はこの狭い世界の中で完結してしまっている』と、自分の人生を見つめ直し、何とかして変えたいともがくミツヨ。
そんな2人が出逢い系で知り合い、かけがえの無い存在になって行く。
この設定を、どうやって思い付いたのかが謎だが、リアルでしか無い。
というか、リアルかどうかも判らない筈なのに、
あるあるだと思って見入ってしまう。
2022年の今だって、祐一とミツヨの様に、
自分の人生をどうにか変えたいともがいている男女はきっと居ると思う。
そして、そんな人達の方が相手の本質と向き合う事が出来るのかも知れないとすら思える作品。
兎に角、私の中では色々完璧な作品です。
殺される女と殺す男そしてすがる女。
2010年。李相日監督。その年のキネマ旬報のベストワン作品。
激情に駆られて女を殺す男・・が主人公・祐一(妻夫木聡)
この映画では殺される女・佳乃(満島ひかり)を情け容赦なく
断罪している。
ひとつ→出会い系サイトで出会った祐一と関係を持ち、金銭を要求していた。
ふたつ→デートの約束をした祐一が車で1時間半も掛けて待ち合わせ場所に来たのに、
見た目の良い金持ちの大学生の増尾(岡田将生)の車に目の前で強引に乗り込む、
・・・そう言う、当て付けを堂々とやる。
そして大学生の増尾。
この男もゲスの極み・・として描かれる。
テーマは「人間の善と悪」
殺した男には、殺す理由があり、
殺された女には、殺される理由がある。
そして増尾。
ドライブの途中、人気のない峠で、気に食わないとの理由で佳乃を、
助手席から蹴り落としている。
峠で車から降ろす→付けていた祐一もどうかと思うけれど、
佳乃の「レイプしたと訴えてやる!!」との言い草も、人間として度を超えている。
そしてもうひとりの主役。
紳士服店に勤務する光代(深津絵里)
佳乃と同じく出会い系サイトを通じて祐一と知り合い、殺人犯と知りながら、
逃避行に・・・。
自首する決意をして警察署に向かう祐一を、クラクションを激しく鳴らして、
引き止め「一緒に逃げよう」と誘う。
光代は善人代表なのに結果として祐一の刑期を長くする行動を取らせてしまう。
皮肉なことに、殺人犯の祐一より、大学生の増尾の方が極悪人に見えてしまうのだ。
爽やか系の岡田将生が軽薄で我儘で冷酷な男を演じて上手い。
佳乃の父親は増尾を恨み、スパナを握って増尾に迫るが、遂にスパナを振りおろす事を、
自制する。
怒りと恨みを、自制する佳乃の父親。
挑発されて自制心を失った殺人者・祐一。
柄本明の被害者の父親と、加害者・祐一の祖母役の樹木希林。
役になり切って実に上手い。
逃げ場がないほど祐一を追い詰める佳乃。
佳乃役の満島ひかりもズルい女が印象的。
モントリオール映画祭で主演女優賞を受賞した深津絵里。
37歳の光代は婚期も遅れた年齢で、初めて性に溺れたのかも知れない。
そうでなくては、逃避行の理由が見当たらない・・・
(5キロ圏内の人生に飽き飽きしていたのかも、知れないね)
筋運びと構成が実に巧みだ。
久石譲の音楽がかなり主張して鳴り響く。
我が愛する妻夫木聡は、嫌いになれない殺人者を淡々と、そして演技し過ぎず、
バランス感覚が素晴らしい。
殺人を想像することと、実行することには、
大きな乖離がある。
飛び越えてはいけない・・・
そんな気がする。
原作も良かったけど、映画もきちんと捉えられていて良かったと思う。 ...
原作も良かったけど、映画もきちんと捉えられていて良かったと思う。
キャストそれぞれの心情、背景もきちん表現されていた。
だからこそリアルなそれぞれの心情が胸を打つ。
キャストの演技が光り、人間を感じられる良作だと思う。
深津絵里の存在感
冒頭10分程での引き込まれ方は今観てもすごい。
あまり見ない役所の妻夫木聡が目新しいんですよね。
また役者陣がとても素晴らしい。
柄本明が良いし、樹木希林はいるだけで作品の深みが違ってくるからすごい。
それと何より主演の深津絵里。
その演技もだが存在感が群を抜いている。そしてすっごい可愛いらしい。
彼女の「本気で誰かと出会いたい…」の一言はとても深く、いわゆる出会い系に対する考えを少し改めさせられました。良いか悪いかでなく。
決して安息の時間が訪れることがない二人の時間。それを静かにじっくりと作りあげつつ、終盤の畳み掛けるような見せ方は良かった。
そして辿り着いた最後の場所で朝焼けを眺める二人。
そこから行く場所が無いことも、これからの二人での時間が無いことも、全部理解してしまったとても深みのあるシーンでした。
悪人。その言葉の本質と共に、何時迄も静かに響いてくる作品です。
ストーリー 6 芸術 5 演技 8 エンタ 5 総合 6 悪人一杯...
ストーリー 6
芸術 5
演技 8
エンタ 5
総合 6
悪人一杯出てきましたね。結局、善悪なんて主観でしかないところ、社会のルールを逸脱してしまった悪人、つまり犯罪者だけ裁くこと出来るという事実。小説の方がもっと奥深くえぐってるんだろうな、と思いました。読みませんけど。
だれが本当の”悪人”なのか・・・・・・・!?
人を殺した殺人者、男を嘲笑う女、女をモノの様にしか扱わぬ大学生、高齢者を騙し金儲けする輩、犯罪者の家族のプライバシーを容赦なく剥ぎ取るマスコミ・・・・・・・
だれが本当の”悪人”なのか!?
あまりにも重いテーマを「フラガール」の李相日監督が、見事な演出で一挙に見せてくれる。
また主演の妻夫木聡、深津絵里ほか豪華キャストの迫真の演技バトルも見もの・・・・・・・
現代の縮図を見るような「正直者が馬鹿を見る」構図は、この作品の端々から読み取れる。
作品終盤に被害者の親が語る、「今の世の中、大切な人がおらん人が多すぎる」はこの作品を物語るあまりにも重みのある独白だ!!
深津絵里がオバさんになっても
原作未読
2010年9月頃イオンシネマ北上で鑑賞して以来5度目の鑑賞
珍しく映画館では2度観た
朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第二期の主演を務める深津絵里を観てたら久々に観たくなった
まだレビューを書いていない深津絵里出演作品ですぐにピンときたのはこの作品
当時深津絵里37歳
妻夫木聡や深津絵里より満島ひかりの芝居が強く印象に残った
あと岡田将生も
もちろん妻夫木深津はとても素晴らしい
深津絵里はなかなか出てこない
登場は開始30数分過ぎてから
監督と脚本は『スクラップヘブン』『フラガール』『怒り』の李相日
原作は『パレード』『女たちは二度遊ぶ』『横道世之介』『さよなら渓谷』『怒り』『楽園』『太陽は動かない』の吉田修一
吉田氏は今回脚本にも携わっている
長崎県在住で金髪の解体作業員清水祐一役に妻夫木聡
佐賀県在住で紳士服の販売員馬込光代役に深津絵里
久留米の実家から独立して博多で保険外交員をしていた石橋佳乃役に満島ひかり
祐一が出会い系で知り合ったセフレの佳乃を殺害してしまう
それを聞かされた出会い系仲間の光代が意気投合して一緒に逃亡する話
悪人とは誰なのか
考えさせられる名作
舞台が九州なので全体を通して九州弁が飛び交う
祐一の祖母役に樹木希林
祐一の祖父役に井川比佐志
祐一の叔父役に光石研
祐一を棄てた母役に余貴美子
久留米で理髪店を営む佳乃の父役に柄本明
佳乃の母役に宮崎美子
容疑者の1人として疑われた福岡の大学生増尾圭吾役に岡田将生
福岡県警の刑事役に塩見三省
部下の刑事役に池内万作
佳乃の同僚役に韓英恵
増尾の友人役に永山絢斗
光代の妹役に山田キヌヲ
理髪店の客役に河原さぶ
光代の同僚役に広岡由里子
バスの運転手役にモロ師岡
タクシーの運転手役にでんでん
交番のお巡りさん役に山中崇←これはわかりにくい
悪徳商法の販売員堤下役に松尾スズキ
祐一が増尾の車を追い掛ける直前の効果音が好き
逮捕シーンなどのBGMも良かった
葬儀で一人別室にてまだ幼かった頃の佳乃の映像を眺める佳乃の父の姿が泣けてくる
みんなガラケーなので時代を感じる
イカの目玉から回想シーンが始まるのは斬新で意味不明だが嫌いじゃない
増尾の車から蹴り落とされガードレールに激突する佳乃
その直後に追いかけてきた祐一を罵倒する佳乃役の満島ひかりが彼女の真骨頂
まだこの作品を観ていな男の人たちに重要なお知らせ
今回深津絵里に所謂濡れ場のシーンがあるがセミ程度でヌードはない
突先は確認できなかった
満島ひかりも今回はヌードがない
必然性を感じられなかったのだろう
灯台のシーンが良い
ああいうマスコミはみんな死ねばいいのに
どんな悪人より嫌悪感を感じる
優しいだけの男よりわりと強引な悪い男の方が魅力的だね(但しイケメンに限る)
深津絵里は今回の作品で年相応の役をやっている
ここから余談になるが最近彼女は48歳にして18歳ごろの役を演じている
舞台ならまあよくあることだしドラマや映画でも回想シーンでほんのちょっとならそれほど珍しくはないが朝ドラの主演でメインとして演じるのは異例中の異例
いくら美しい顔を丹念に磨いてアンチエイジングしたところで首元はどう見ても若者のそれではない
ネットでは意外にもあまり叩かれておらず概ね好意的だがそれはきっとネット民の多くが深津絵里と同世代の団塊ジュニアでたくさんの同情を集めたんだろう
オファーがあっても本来なら事務所の後輩の清原果耶を勧めるところだが前作のモネで主演をやったばかり
ひなた(川栄李奈)の母親も演じる兼ね合いがあるわけだし
詳しくは知らないが断りきれない状況になったのだろう
だいたいにして役者が実年齢より若い役をやるなんて当たり前のこと
スミレ16歳が腹話術のおじさんだったことを思えば雉真るい18歳が48歳のベテラン女優でも受け入れることができるはずなのだ
人間って割と適応能力があるものでもうだいぶ慣れてきた
70点
映画評価:70点
なんだこの作品………!?
めちゃくちゃ考えさせられる。
タイトルも秀逸
《悪人》
一見、このタイトルが地味だし、
作品時間も2時間を越えてしまう事から
ずっと気になってはいたのですが
観ていなかったのですが、
私と同じ様に、
様子見していた方は
すぐにでも観てください!!
これぞ日本映画の真骨頂です。
何かしらの行動には
何かしらの要因がある訳で
目の前に人がいるから殺しちゃお、
みたいなノリは現実に中々ありません。
その情緒というか、奥ゆかしさというか、
その日本特有の空しさが心に響く
そんな作品でした。
役者陣も天才ばかり、
樹木希林さんや、柄本さん、満島さん、
そして妻夫木さん。
全員演技の天才です。
彼らの他の作品を観ても
同一人物が演じているとは思えない程
別人を演じます。
最近、妻夫木さんの出演作品をよく目にしますが
彼はカメレオンですか?
今回のキャラクターなんて、
妻夫木さんの華やかさが邪魔していたにも関わらず、現実にいそうな(実際知り合いと雰囲気そっくり)人物を彷彿とさせます。
深津さんも
目線や口、声の震えやトーンで
憂いや、戸惑いの様な、
目には見えない雰囲気を表現していて
本当に凄い女優さんなんだと改めて実感しました。
まだ内容に触れていないのに、
こんなに文字数が(驚)
前置きが長くなってしまいましたが、
今現在の感想を書きたいと思います。
ここからは少しネタバレもあるかもしれませんので、上記の感想で興味を持った頂けた方は
作品を観てから、また読みに来て下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
悪人。
どんな事情があるにせよ、
人を殺してはいけない。
当たり前
当たり前ですけど、
殺人を犯した人の中には
(身体的、精神的)防衛の流れで、
間違えてしまう人もいます。
誰もが殺意をもって殺す訳ではない。
これが前提です。
この作品のタイトルである
《悪人》は秀逸ですが、
ミスリードにもなります。
この作品が描きたかった事は
果たして誰が本当の悪人だったのか?
ではなく、
どんな悪人にも、
どんな奴にも、
大切な人がいたのではないか?という
巻き込まれていく人たちの情景を描きたかったのではないだろうか?
被害者について。
我が儘に生きてきて、
利己的で、嘘つき、あげく礼節に欠ける。
加害者について。
親に捨てられ、コミュニケーション障害を患い、
人への接し方や節度が判らない。
怒りに身をまかせ人を殺した。
女をドライブに誘っておいて、
その女がイラつくからと
無責任に山に置き去りにする男も
自分が満たされたいがために
依存や利用をしてしまった女も
端から見たらの話しですよね?
私からしたら、全員他人だし、
そもそも現実にいない映画の話し。
実際に起こった事件であったとしても他人事です。
そんな私たちから見れば
確かに上記の通りの人たちでしょう。
どう見ても、だいたい悪人ともいえます。
ですがね、
家族からしてみたら?
友人からしてみたら?
恋人からしてみたら?
そういう彼らを大切に思う人からしてみたら?
彼らはそう映りますか?
性格や態度、行動なんて
些細な事です。
でも、
世間的に見れば
殺人は悪い事だ。
どんな事情があっても。
例え本当は悪人じゃなくても。
殺された奴がどんな最低な奴でも。
世間様は起こった事しか知らない。
結果しかわからない。
でも開けてみると、
そこには大切に思っている人がいる
その哀愁が
この作品の肝だったと感じました。
作って頂き、
ありがとうございました。
ps.10年前ってこんな昔なの?
【2021.10.5観賞】
世の中悪人だらけなのか
妻夫木くんは、映画でみるのがよい。なんとも言えない雰囲気をかもし、スクリーンに映る
今回は残念ながら映画館ではないのだが
ほとんど喋らない、短いセンテンスのみ、いつもは饒舌に語るような目ヂカラもない、そして金髪。今まで妻夫木さあまりみたことがないキャラを、見るもに共感与える演技で淡々と、生きてることの苦しさを淡々とみごとだ。人殺しは彼なんだが、彼は悪人ではなかった。あとは、彼のおばあちゃんは悪人ではない、旅館のボンのお友達ひとりも、悪人ではなかった。妻夫木くんが無口なように彼もボンの取り巻きの1人として声を発することができない、、あとは大体ほんまもんの悪人、旅館のボンやらマスコミやら健康食品屋のヤクザやら、、か、利己的な気持ちか、マウントみたいなものが見え隠れする無意識の悪意の人ら。悪のないおばあちゃんに育てられた妻夫木さんは悪がない。親に捨てられても愛情を受けて育ってきた。、私は悪くない、頭なたは悪くない、私の子供は悪くないと思っていると、そうやって一生生きていくしかなくなる、、柄本明がボンにいうように。悲運のヒロインの深津絵里も、自分の幸せのために祐一を利用しただろう、それを愛だと思って、自分の人生変えようと思って。
国道のそばから離れられないでずっとそこで暮らすしかない人、海を目の前に暮らしていると逆に海に立ちはだかられどこにもいけない気分になる人、。人間関係にも土地にも閉塞されている生、人と比べたり人より偉そうにしなければ満足自己満足できない生。それでも人生には一瞬輝くモーメントはあるだろう、日の出を見るとき、スカーフを結ぶとき、自分が大切と思う人を守る時。
悪人とは主観
人の立場によって悪人かどうか異なる。
もちろん殺人を犯してしまった清水は悪人。
だが、視聴者からすれば置き去りにした大学生も、殺された女性も悪人だと感じるかもしれない。
柄本明が幻想の娘に、お前は悪くないと言っていたのが印象的。
誰が正義で誰が悪かなんて、結局は主観でしかないのかもしれない。ニュースで流れる犯罪を犯した人以外にも悪人はいる。
本当の悪人とは?
犯罪者だけが悪なのか?
犯罪さえ犯さなければ善なのか?
他人を見下す男
男のスペックによって態度を変える女
子供を捨てる母親
こういう存在は糾弾されずに、不器用ゆえに犯罪を犯せば即悪人なのか?
この映画を観ると考えさせられます。
てか、岡田将生は暴行罪にはならないのですか?笑
本作は2010年の映画ということで、2021年現在鑑賞してみると社会背景の移り変わりをとても感じます。
今はマッチングアプリという洒落た名前になっていますが、当時は出会い系=よく分からない人がたくさんいる怪しいモノ、というイメージ。当時を知る人が見れば「こんな時代もあったなぁ」とすんなり入ってきますが、デジタルネイティブ世代には理解しづらい内容かもしれないですね。
久々の当たり映画
最近暇すぎて映画ばっかり見てて、またよく分からない内容なんだろうなって見てたら、分かりやすく話が展開されていて、どんどん続きが気になっていく映画でした。それにしても、妻夫木くん若すぎる。
深津絵里さん変わらなすぎる。
昔の映画だから、脇役が今をときめく俳優さん、女優さんだから、より楽しめた。
たぶん妻夫木くんは悪くない。でも、結果的に暴力はダメだよね。でも、自分が好きになった人が殺人犯だったら、あんな感じで一緒に逃げれないと思う。
だって怖いもん。
でも、愛があるからかなぁー殺人犯じゃなきゃ、一生のパートナーだったかもしれないのにな。
好きかも。
見逃していたけど今頃拝聴。
泣けた。
本当の悪人は誰だろう
手を下さなくても間接的にきっかけをつくった心無い大学生か
罪悪感を感じる殺人者か
人の心を踏みにじるマスコミか
直接的な犯人でなくとも殺したいほど憎む被害者の親か
それとも自ら殺人に導かせたかのように描かれる被害者か
無垢な人からお金をだましとろうとするチンピラか
誰が悪かったのだろう
皆悪いんじゃないか
メディアに出るから悪人とされるけれど
メディアにさらされない悪はどうなのか
日々見過ごされる悪は何なのか
そう感じた。
それぞれの立場が明確に描かれていて
加害者の母親がスカーフを取り出すところ、
被害者のお父さんがご遺体のカバーを直すところや夫婦のケンカ、
イカの目だったり、
運転手さんの言葉だったり、そのあと頭をさげるおばあさんだったり
なんか細かい所に手が届くな
最後、殺そうとした意味はわからないけど
やはり犯人に感情移入しちゃうよね
置いてかれたと思った灯台で
母と同じで自分は捨てられたと思っただろう犯人が
帰ってくる恋人を見たときのシーンが良かったし
すごく泣かされた
あと静かな音楽もgood!
個人的にはかなり面白かったです。 原作との尺の違いは感じましたが、見応えはありました。 役者陣の演技も素晴らしかったです。
十分に面白かったです。
とはいえ、原作を読んでいる人間からすると、祐一が悪人なのか?という所がどう描かれるか?が一番のポイントだったかと思います。
その選択を一気に迫られるラスト。
残念ながら原作ほどの衝撃は感じなかったです。
エピソードとして、祐一が光代と出会う前に通い詰めた風俗嬢との再会シーンを省略してしまったことが気になりました。
彼女の証言から出る、無口な祐一が悪人を演じることで相手を庇う姿や、朴訥とした性格など、原作ではそこから祐一の人間性や、自分に負い目を持つ相手に対して敢えて自分が悪人の汚名を被って相手を守ろうとする優しさを描いていたように思います。
そういった意味では本と映画での尺の違いをクリアできなかったのかな?と思いつつも、もしかしたらラストまでその迷いを受け手に与えない為に敢えて映画から外したのか??とも思い、この部分は意見の分かれる所ではないかと思います。
原作を読んだ上とは言え、個人的にはラストで祐一が光代の首を絞めるのは、駆けつけた警察に対して、光代は自分を匿った人間ではなく、自分が誘拐した人間であることを見せつける為だと思っています。
それは、警察に対してだけではなく、光代自身にもそう信じさせて、自分が居なくなった後に完全に自分を恨むように仕向ける一つの優しさだと思いました。
だからこそ、ラストでの豹変ぶりで一気にその思いをぶつけて欲しかったのだけれど。
意を決した祐一の流暢な喋り口と狂気の表情はなかなかのいい演技だったとは思いながらも、やっぱり原作程の衝撃は感じなかったです。
モントリオール映画祭で最優秀女優賞を受賞した深津絵里の演技は素晴らしい物でした。
自分にも他人にも真面目過ぎて、人との踏み込んだ接し方が出来ずにどこか自信が無い雰囲気。
そういった女性が自分を受け入れてくれる男性を見付け、また秘密を共有することで、何処までも尽くしてしまう姿をしっかりと演じていました。
光代のように常識に満ちた真っ当な女性というのは身近に思い当たる人がいますが、彼女ののめり込む姿が浮かんでしまい、のめり込むほどに危うさを感じてヒヤヒヤとしながら観ていました。
他にも演技力に一定の評価のある役者を並べたこともあって、見応えのある演技にも圧倒される映画でした。
祐一の祖母の樹木希林、その祖母をだます松尾スズキ等。
個人的にはバスの運転手を演じたモロ師岡は小さな役どころながら、強烈に印象の残る演技だったと思います。
いつも観るのは途中まで
こういうストーリー大好きなので定期的に観たくなる映画です。
でも観るのはいつも3/4くらいまで。
なんとなく、その辺りから展開知ってるしもういいや、ってなります。
ただそこまでは面白いので、定期的に観たくなる映画。
灯台あたりのシーンはカットしてもう少し短くしても良かったと個人的には感じてます。
シリアスな中でも、真実の愛を求めた映画
「フラガール」の監督の李相日が手掛けた、ミステリーヒューマンドラマです!
ロケ地は福岡、佐賀、長崎の九州3県で行われたそうです。
リアリティ過ぎる内容はとても、他人事とは思えませんでした!
【”悪人世機” 人間の善性と悪性の狭間で生きる愚かしくも寂しき男女の姿を描いた作品。観る側に深遠な命題を問いかけてくる作品でもある。】
■感想
・登場人物のほぼ全てが、バランスの差異はあれど、”悪人”であり、”善人”である。
ー但し、湯布院の老舗旅館のバカ息子圭吾(岡田将生)だけは、善性が限りなき薄き、悪人であると思う。ー
・思いを寄せていた佳乃(満島ひかり:軽佻浮薄な女を好演している。)から侮蔑的な言葉を投げつけられた孤独で、閉塞感を抱える日々を過ごす祐一(妻夫木聡)が、咄嗟に起こしてしまった事。
ー佳乃の”悪性”が描かれる。そして、そんな女性に育てた両親(柄本明、宮崎美子)の責任。では、祐一に悪性はないのか・・。彼を育てた祖母(樹木希林)の”人を容易に信じてしまう姿が、印象的である。ー
・祐一と光代(深津絵里)が、お互いに惹かれた理由は明白で、”孤独で、閉塞感を抱える日々を過ごす”者だからである。
ー二人が、お互いを慰めるように、貪るように行う性愛行為・・。ー
・佳乃の父(柄本明)が、執拗に圭吾に詰め寄るのは、彼が誰が本当の悪人であるかを父親としての本能で察したからであろう。
ー 佳乃の父が呟く言葉が心に響く。
”今の世の中、大切なひとのおらん人が多すぎる・・”
この言葉が、この作品の根底を支えている。ー
<”人間の善性と悪性とは、何か・・”という哲学的な命題を観る側に突きつけてくる作品。重いテーマを真正面から取り扱った重厚な作品でもある。>
全204件中、21~40件目を表示