劇場公開日 2010年4月23日

  • 予告編を見る

タイタンの戦い : インタビュー

2010年4月22日更新

特撮映画の神様レイ・ハリーハウゼンによる81年の同名映画を、「インクレディブル・ハルク」のルイ・レテリエ監督&「アバター」のサム・ワーシントン主演でリメイクした神話ファンタジー大作「タイタンの戦い」。全米では公開直後から大ヒットを記録した本作を引っさげてレテリエ監督とワーシントンの2人が来日し、インタビューに応じてくれた。(取材・文:編集部)

サム・ワーシントン インタビュー
「僕にとって『T4』『アバター』『タイタンの戦い』は3部作なんだ」

相変わらず謙虚で気さくなサム・ワーシントン
相変わらず謙虚で気さくなサム・ワーシントン

大ヒット作「アバター」のプロモーションから約半年ぶりの来日となったサム・ワーシントン。映画史上最大のヒット作の主演スターだけあって、昨年の来日時よりはさすがに有名になったと感じるという。

「『アバター』は、僕自身、そしてジム・キャメロンでさえも、あそこまでのヒットになるとは思っても見なかったからね。だから、今、多くの人が僕の顔を認識しているということが分かるんだ。これは僕にとっては確実な変化なわけで、今までに感じたことのないプレッシャーがあるんだ。プレッシャーと、これから自分なりにうまく付き合っていかないといけないんだろうね」

そんなプレッシャーを押しのけるべく臨んだ仕事が今回の「タイタンの戦い」だが、ワーシントン自身はどういった理由から、この仕事を選んだのだろうか?

「T4」「アバター」に続き またもやハーフのペルセウス
「T4」「アバター」に続き またもやハーフのペルセウス

「僕にとって、この『ターミネーター4』『アバター』『タイタンの戦い』は3部作なんだ。それは、『ターミネーター4』で人間が生まれ、『アバター』は9歳くらいの子供がティーンエイジャーになっていく過程、そして今回の『タイタンの戦い』がティーンエイジャーそのものというわけさ。僕自身の出演基準というのは、やはり僕が見たい映画であるかどうかだよね。そして、9歳になる僕の甥っ子が作品に対して何かメッセージを発するかどうか、あとは、観客に楽しい時間を提供できるかどうかということだね」

そう語るワーシントンが今回演じたのは、神々の王ゼウスの息子として生を受けるも、人間の子として育てられたペルセウス。彼は神々の怒りによって人類滅亡の危機が迫る世界を救うために立ち上がる。

「ペルセウスは怒れるティーンエイジャーだと思う。この映画は彼が両親を殺されて復讐の旅にでるということを描いているわけだからね。神の面と人間の面の両方を持つ彼の二面性はオリジナルでは描かれていたけど、今回のリメイク版は9歳の甥っ子や、ティーンエイジャーに愛されるキャラクターにしたいと思っていたから、神としてではなく、人間として精一杯頑張るキャラクターにしたかったんだ。

それに今回は楽しい映画だからね。別に歴史の授業を受けているわけではなくて、スカートを穿いた男たちがゴム製の剣を振り回して怪獣と戦う映画で、とにかくポップコーン・ムービーとして楽しんでもらえれば、それで嬉しいよ。多くの悩みを抱えている10代の若者に希望を持ってもらうための映画とも言えるね」

本作の見どころは、やはり大がかりなアクション。クリーチャーとの格闘シーンの撮影では少年時代に遊んだときの気持ちに立ち返って演技したのだとか。

「アクションシーンを撮るとき、僕は5歳児に戻るんだ。そしてその作られた世界に飛び込む。今回の映画に出てくるようなサソリや怪獣は実際にはいないし、『アバター』に出てくるようなロボットもいないわけだから、子供時代に思い描いていた空想のなかにどっぷりつかって演じるんだよ。恥とか、大人になったからみっともないとかそういった気持ちはかなぐり捨ててね」

5歳児に戻ったような気持ちで 楽しんだというクリーチャーとの撮影
5歳児に戻ったような気持ちで 楽しんだというクリーチャーとの撮影

このように、演技の上では童心に返るというワーシントンだが、精神は33歳の大人そのもの。映画の撮影には「僕自身が、全スタッフの中で一番下っ端の人間」と思って臨むという。

「映画作りっていうのは、監督やプロデューサーはさておき、剣を作る小道具係、ロケ場所を探してくる人、照明係だったり、本当にいろんな人が全員集まらないと出来ない。それにひきかえ、俳優というのは、プロダクションに一番最後に入ってきて、そこに立てと言われて演技するという、トレーニングを受けた猿でもできるようなことをやるわけだ。別に俳優という仕事を特に下に見ているわけではないけど、映画は俳優のものではなく、皆で協力して作り上げるものなんだ。だから映画製作の現場では、ブルース・ウィリスであってもケータリング係であっても、皆同等であるべきなんだよ」

この謙虚な心構えの影響か、新作のオファーがひっきりなしのワーシントン。本作も大ヒットを記録し、すでに続編の話が上がっているが……。

「『タイタンの戦い』の続編に関してはルイに聞いて欲しいね。だけど出演するかどうかはストーリーによる。それは『アバター2』『ターミネーター5』も同じ。

それから、僕にとってストーリーの次に大事なのは誰が監督かということ。『この監督と一緒に半年間無事に過ごせるだろうか? 殺し合いにならないだろうか?』と考えるわけさ(笑)。すごいキャリアの持ち主でも、その映画が良くなるかどうかは分からないところがあるのも事実で、性格が僕と合うかとか、その監督が何かすごく伝えたいメッセージを持っているかどうかとか、そういうことが大事だと思う。

あと、その映画が壮大なエピックか、小さな映画か、もしくはアクションかロマンスかわからないけど、シナリオを読んだときのインスピレーションも大事かな。僕にとってジャンルは何でも構わないんだ」

インタビュー2 ~ルイ・レテリエ監督が語るジャパニメーションの影響
「タイタンの戦い」の作品トップへ