インビクタス 負けざる者たちのレビュー・感想・評価
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やっぱり、イイな~。
“クリント・イーストウッド監督第30作”。南アフリカでの感動の実話を映画化。相変わらずエエ仕事しますな~!イーストウッド監督。
今回、イーストウッドは監督専任です(「グラン・トリノ」で“俳優引退宣言”しましたよね)。この人の映画は、イーストウッドご本人が出演しているモノは、“熱血”とか“根性”って感じの物がダイレクトに表現され、我々を熱い感動に包んでくれる気がします(「グラン・トリノ」や「ミリオンダラー・ベイビー」etc)。こちらは云わば『“動”の演出』とでも言いましょうか。他方、演出に専念している映画では、逆にもの凄く淡々とストーリーが展開し、決して派手ではない非常に抑えめな演出が為されているような気がします。そして観ている我々は、魂の底から打ち震えるような感動に浸らされるのです(「チェンジリング」、「硫黄島からの手紙」etc)。こちらは『“静”の演出』と言えるのではないでしょうか。そして本作は、当然後者に当てはまる映画です。この手の“感動実話物語”の映画では、よく『さあ、どうだ!これで泣け~!』と言わんばかりの“泣きの押売り”的演出がされている時があります。そういう映画に当たると吾輩は、非常に気が重くなります。『確かに泣けるかも知れんが、終わった後しんどいんだよ~!』って感じです。その点この映画は、南アで実際に起こった話を、実に淡々となお且つ感動的に撮り上げています。もお、何なんでしょうね?別にさして大したことの無い、普通のシーン(子供たちが、ボールを持って走る)がスクリーンに映し出されただけで、吾輩ウルルン状態になっちゃいました。これがイーストウッド映画の魔力…もとい魅力なんでしょうね。もう、ホント上手く説明できないんですけど、いつの間にか感動させられてしまいます。毎度のことですが。
上映時間、2時間14分の中で描き出すには、かなり難しい実話(内容が濃密過ぎて)だったと思われます。ですから『マンデラ氏の27年間の苦痛が、充分反映しきれてないかな?』とか『“恥”とまで言われたボクスが、何かえらいアッサリと勝ち進んで行っちゃうがな(いえ“恥”の時点でも、日本代表なんかよりは、遥かに強かったようですが…(>_<)』更には『黒人と白人の対立って、現実はもっと根深いモンなんだろうな~』と言った印象を受け、『チョット淡々と進行し過ぎちがう?』と思える部分もありました。『もう少し長くして、もっと掘り下げてくれてもいいのにな~』なんて思いながらも、実は充分に感動させてもらいましたので、これは恐らく吾輩の“贅沢な願望”なのでしょうね(^^;。
“アパルトヘイト”。昔、中学や高校の社会科の時間に習いました。当時『いまだに、そんなことやってる国があるんやなあ~』と思っていました。マンデラ氏が解放されたってニュースを聞いた時は、何か単純に嬉しかった覚えがあります。氏が解放されて、もう20年も経つんですね。ついこの前のことのような気がしますが、案外忘れてしまってますね(^^;。まして'95年のラグビー・ワールドカップのことなんて、殆んど知りませんでした(いや、当時はニュースなどで知ってたかもですが、これも殆んど忘れてます(>_<)。感動を受けつつ、こういった事実を改めて知ることが出来る…素晴らしい映画です。スタッフ、キャスト共にホントいい仕事してますよ!
最近のイーストウッドらしい作品
この作品、大変面白かった。
学がない私はこのストーリーがフィクションかノンフィクションかなどどうでもよい事です。
要は面白いか否か…。
レビューすら書く気がしなかった『アバター』よりも(ジャンルは全く違うと思いますが…)よっぽど優れた作品だと感じました。
最近の作品でしょうかはストーリーは二の次、CGの映像技術を観に行っているかの様な作品全盛の中にあってこのような作品があることに『ほっ…』とした次第です。
監督が何を言わんとするか判る…ような気持ちになります。
追伸
ボーイング747があのような形で絡んでくるとは…。
イーストウッド恐るべし…。
マンデラはマキャベリストか?
随分世評が高い。決して悪くない。冒頭のマンデラが、すわ襲撃、というシーンも上手いなぁと思った。だが、なにか釈然としない。
それはやはりマンデラの描かれ方に問題があるのだと思う。スプリングボクスのエンブレムやユニフォームの問題、あるいは白人のスポーツであったラグビーを人口の大半を占める黒人にも応援させて、黒人と白人の融和の象徴としてラグビーチームのワールドカップでの優勝を目指すという作戦もどれも、政治的判断によるということだ。映画でも語られていたが、アパルトヘイトを止めても、経済的実権は、南アの白人アフリカーナが握っていて彼らの黒人への恐怖心・反感を除去しないと南アの経済は改善されず、結果貧しい黒人層の窮乏は解消しない。そのためにも黒人と白人は融和せねばならないということだ。すると、彼がスプリングボクスのキャプテン・ピナールにインビクタスの詩を渡す感動的なシーンも、黒人と白人の融和そしてその先にある経済問題解決の為の手段というように見えてしまう。つまり、すべてがマンデラの真意としてでなく、極めて政治的・功利的判断からというようにも取れるのだ。
そのためには、もうすこしマンデラ自身がいかにして自分を20年以上牢獄に入れておいた白人たちを許すに至ったのか、つまり彼自身が融和を説くことができるようになるまでの葛藤をもう少し描いてあれば、印象は違ったものになったと思う。ないものねだりだが。
だから、『父親たちの星条旗』で硫黄島に上陸した米兵に黒人がいないとイーストウッドをスパイク・リーが批判し、スパイク・リーとイーストウッドの間で一悶着あったが、その時の思いが、イーストウッドをしてマンデラの映画を撮らせるようになったのではないか?なんてゲスの勘ぐりも頭をもたげたりもした。
期待しすぎたせい?
いや、もちろん良かった。それはそうなんだけどもっと何か胸にグッと来るものを期待していたのでその点ではちょっと物足りなかった。
マンデラ氏の言葉が印象的だったけど、肝心のラグビーのシーンはそこまで興奮しなかった。
やっぱり期待しすぎたのかな、と。
ネルソン・マンデラにみる真のリーダーシップ
単なるスポーツドキュメントではありません。一つの国際スポーツイベントを通して、崩壊しかねない危険な状態だった国が本当に一つにまとまったという実話。まとまるようにし向けたマンデラ氏の凄さと行動力に感銘しました。
同時に、私たち日本人には分かりづらい南アフリカの人種差別問題の深刻さについても理解が深まると思います。
私は10年ほど前、南アの隣国ジンバブエに住んでいましたが、大統領がとんでもなくひどく身勝手な輩であるため、国民の生活がどんどん悪い方向に傾いていく様を目の当たりにしていました。それだけに、アフリカの指導者にもこんなにスゴイ方がいらっしゃったという事実に、改めて心を打たれます。
これまでラグビーや南アフリカに関心がほとんどなかった人にこそ観て、何かを感じてもらいたい映画です。(ちなみに、9年後の2019年には、日本でラグビーのワールドカップが開催されることがすでに決まっています。)
また、ラグビーに限らずチームスポーツの指導者にとっても、「格上の相手に勝つためのチーム作り」という面で、多くのことが学べる映画だと思います。
熱い男達の映画でした
予告から気になっていて今日観てきました☺
人種を越えて国を一つにしたい、一人の男のその思いが人の心を変えていく。。。そんな実話をもとにしたストーリー🌀
最初は反発していた人々も次第にラクビーを通じてひとつになっていく感動のストーリーです。
ええ、感動のストーリーのはずなんですけど、熱い試合に熱中しすぎてついつい感動するのも忘れ応援してました😅
しかしなんでしょうね。。。いまいち誰に感情移入したらいいのか最後までわからなくて泣けなかったんですかね?まぁ泣いてる人もいませんでしたけど🌀隣の夫婦の旦那さんはイビキをかいて寝てるし、後ろのおじさんは座席を蹴ってくるしでイライラしてたのもあるんですけどね😅関係ないけどマナーは大切にしてほしいです💨
てかサントラが平原綾香さんのジュピターに似てるなと思ったのは私だけでしょうか⁉気になって気になって仕方なかったです。ちょくちょく日本語?みたいな言葉も聞こえてきて気になりました🌀耳の錯覚ですかね?
ガンバって、ガンバって、って聞こえてました。
ドラマ『スクール・ウォーズ』に夢中にだったので、ルールはぼんやりとしか分からないまでも、ラグビーが映画に出てきても怯まないかな。スポーツを題材にした作品は、そのスポーツのルールが分からなくても十分に楽しめる性質なので、ノー問題。
まぁ、ラグビーはあくまでも象徴として利用されただけだもの。『大脱走』はサッカーのルールを知らないと楽しめない訳じゃないもんね。
意外と思想的に危うくなってきている日本人にこそ、マンデラ大統領の心意気に触れることのできる本作は重要かもしれない。
インヴィクタス 負けざる者たち
映画「インヴィクタス・負けざる者たち」
ネルソン マンデラが27年間捕らわれていた獄中から出所した日から20年たった。この記念すべき日、2月11日 南アフリカでは 大規模な祝典と人々のマーチが行われた。マンデラとともに出所した かつてのANC闘士は マンデラの護衛官になったが、晴れ晴れした顔で、ニュースのインタビューに答えていた。
南アフリカ、この国の国歌は 3つの言語で歌われる。はじめに黒人の間で使われているBANTOUという先住民族の言葉で、次に 白人アフリカーナが使っているドイツ語をベースにした古いダッチの言語で、そして、最後に英語で同じメロデイーを歌う。黒人も白人もなく、マンデラのいう虹色のネーションが、声を合わせて 3つの言語で国歌を歌うのだ。
映画「インヴィクタス・負けざる者たち」(原題 INVCTUS)を観た。
79歳のクリントイーストウッドが監督、制作した30作目の作品。ネルソン マンデラが アパルトヘイトの南アフリカで大統領に選出され、それまでバラバラだった国民を一つにまとめる感動的な実話だ。原作は、ジョン カーリンの「PLAYING THE ENEMY」。
キャスト:ネルソン マンデラ:モーガン フリーマン
フランソワ ピナール:マット デーモン
ストーリー
1990年 ネルソン マンデラが27年ぶりに刑務所から出所するところから 映画は始まる。国民大多数の黒人が熱狂してマンデラの出所を祝う一方で、白人達は、テロリスト マンデラが出てきやがった、、、と舌打ちする。彼の出所は 長年の黒人達ANC主導の公民権獲得運動や、国際社会によるアパルトヘイトに対する嵐のような激しい非難と経済封鎖の結果だった。その後 事実上、アパルトヘイトは廃止され、初めて黒人に投票権が与えられ、民主選挙が行われる。圧倒的な支持によって、ネルソン マンデラが大統領に選出される。
マンデラはユニオンビル 大統領官邸に初出勤した朝、大慌てでデスクを片付けで出て行こうとする白人官邸職員たちを引き止めて、君達の能力と経験を新しい国作りのために、協力して欲しいといって、おしとどめる。白人の大統領護衛官たちも留まる。それには黒人護衛官たちは、納得がいかない。昨日まで自分達を拘束し、拷問し、獄中に送り込んでいた連中が マンデラを守れるわけがない。大統領の命を危険に曝すのか。怒る黒人護衛官を前に、マンデラは 懸命に説得をする。国を変えていくには、まず 憎しみを捨て、自分達が変わらなければならない のだと。
スポーツ協議会は 今まで事実上黒人に道を閉ざしていた 南アフリカ代表のラグビーチーム スプリングボックの廃止を決議するが、マンデラは それを覆す。スポーツを通じてこそ人々の心は ひとつに結ばれる。南アフリカはアパルトヘイトのために、長いこと国際試合から締め出されていた。マンデラは スプリングボックを1995年のワールドカップに参加させ、公式会場を南アフリカに招聘することで アパルトヘイトで病んだ国民の心をひとつに結び付けたいと考えていた。
まずスプリングボックの主将、フランソワ ピナールを官邸に呼んで話し合う。当時、スプリングボックは 国外試合に出てられるようになっても 惨敗を繰り返していた。また、フランソワ ピナールには はじめ、マンデラのラグビーで国民の心を統合するという夢が 理解できなかった。何故 ラグビーか。半信半疑のピナールはマンデラから手渡された イギリス詩人ウィリアム アーネスト ヘンリーの「インヴクタス=征服されない」という詩を読む。
やがてピナールは マンデラが収容されていたロヘ島の監獄を訪ね マンデラが27年間すごした監房を訪れる。そして、小さな監房でインヴィクタスの詩に支えられ気高い精神を維持し続けたマンデラの偉大さと彼のラグビーにかけた夢に、心をうたれる。
マンデラの 黒人でも白人でもない、虹色の国民が心を一つにして新しい国造りをするという信念にインスパイヤーされたピナールは 黒人のBANTOU語で歌われる「南アフリカに神の祝福あれ」という歌をチームの全員に手渡す。
1995年ワールドカップに向けて強化訓練が始まる。ゲームを南アフリカで、というマンデラの熱心な招聘要請の結果、ワールドカップの決勝戦は南アフリカで行われることになった。
チームはまず、オーストラリアを破り、遂に 決勝戦で、ニュージーランドのオールブラックとの最終決勝戦で勝ち抜き優勝する。熱狂するに虹色の国民たち。
と、いうストーリー。
本当にあったことで、本当に感動的な決勝戦だった。
この映画を観なければならない理由が3つある。
ひとつは
ネルソン マンデラの偉大さを改めて映像をと歴史的事実をとおして確認する、ということ。マンデラの自分が受けた弾圧や差別を憎まず、人種に拘らず 暴力に頼らず 差別を乗り越え国を造った という偉業に心打たれない人はないだろう。昨日2月11日のニュースで ノーベル平和賞のツツ司教が、「すべての国がマンデラをもっているわけではない。南アフリカはラッキーだった。」と述べている。本当にそうだ。
マンデラの精神の高さと、それに伴う実行力は、となりのジンバブエに比較すると よくわかる。ムガベ大統領とジンバブエ国民の悲惨な状況が悲しい。
またマンデラあとを引き継いだ、このあとの大統領でさえも、この悪名高いジンバブエに癒着して 腐敗が進んでいる。4人の妻を持つ現大統領の醜悪な姿、、、。暴力が 日常茶飯事で、ヨハネスブルグはいま、世界で一番治安の悪い土地だ。エイズの広がりも止められない。そんな時だからこそ、過去を振り返り マンデラの歩んだ道を明らかにすることに意味がある。
2つ目には、
この映画はクリント イーストウッドが79歳で30作目の作品だということ。イーストウッド すごい。
イーストウッドが「ローハイド」で ちょいワルのカーボーイだったころからのファンだ。「ダ-テイーハリー」に胸ときめかせ、「マデイソン橋」でよろめき、「ミリオンダラーベイビー」や「ミステイックリバー」で 監督としての彼を見直した。昨年の「グラントリノ」はいまだに私のなかで一番好きな映画のひとつだ。
彼は偉大だ。おもしろい話がある。
彼はワーナーブラザースに、もう40年も自分のオフィスを持っている。数年前、新しく社長に就任した男が イーストウッドに電話してきて、「挨拶にいって、僕から君にちょっとした注文をしたいんだけど、何時が良いかね?」と聞いたら、イーストウッドは、「いいよ。何時来ても パラマウントのオフィスにいるからね。」と答えたという。新社長の「ご注文」や「ご意見」など聞くつもりはない。社長に従わなければならないなら、さっさと辞めてパラマウント社に移るゼーィ というわけだ。製作者として 自信に満ちた 権威をきらうイーストウッドの姿勢をよく表したエピソードだ。かっこいい。
3つ目は
この映画がラグビーの映画だということ。
ラグビーは良い。最高のスポーツだ。子供の時から大好きだった。
正月の早慶戦は必ず見ていた。慶応が力をなくしてからは 早明戦が、全国一の勝者決定戦だった。早稲田の藤原、明治の松尾兄弟。忘れられない顔がつぎつぎとよみがえってくる。
ラグビーは肉弾戦で、格闘技に近い。それでいて走るのも早くないといけない。ニュージーランドのオールブラックでは 体重が100キロ以上なのに、100メートルを10秒で走るマオリの選手がぞろぞろいる。オーストラリアのワラビーズも同様だ。
この映画では ラグビー戦闘シーンの迫力がすごい。ラグビー好きな人は絶対観るべきだ。よく観客席でみていると、ボールを持った選手が わざわざ敵が待ち構えるところに突っ込んでいくのが、不思議に思えるが このフィルムを観て フィールドに、選手と共に立ってみると デイフェンスの壁を破るのがどんなに 難しいかがわかる。何と広いフィールド。固いデイフェンス。ボールをどこに渡したら前に進めるのか、、、。もう自分がラグビーをやっているような臨場感だ。カメラワークが素晴らしい。スクラムを直下から見た映像の迫力にゾクゾクする。後半戦のスクラムの繰り返し。選手達の背骨のきしむ音がする。荒い息、声にならない呻き。肩と肩がぶつかり合う鈍い音。まさに、これがラグビーだ。これほどラグビー選手に密着してフィルムを回せる人は他にないのではないだろうか。さすがに、これがイーストウッドなのだ。すばらしい。
現代史の奇跡みたいな人、人類の宝、ネルソン マンデラが ラグビーに夢をつないだ映画を イーストウッドが撮ったなんて、こんな ザ ベストがそろった映画を観ないで済ませる人がいるなんてもったいない。俳優のマット デーモンがよくチームで泥だらけになって 実際スクラムも組んでパスもしていた。オールブラックもワラビーズも出ていた。
フィルムの最後に本当の1995年に優勝したときの選手が出てきて それも良かった。というわけで、この映画は絶対お勧めなのだ。
スポーツには人々をひとつにする力がある!
マンデラ大統領ものを観るのは2作目だが、またまた偉大さに感銘を受けた。彼の考え方はすごいと思った。赦すことができる人。残念ながら、1期で辞めてしまい、彼の考え方が引き継がれなかったようだが、ああいう人ばかりが国の指導者だったら、世界から紛争がなくなるかもしれないと思った。モーガン・フリーマンがいつもと立ち居振る舞いが違っていた。マンデラ大統領の癖とかは知らないが、たぶん真似たのだろう。ラグビーの話だけど、さすがはイーストウッド。単なるスポーツ映画に終わらせなかった。私は、なぜかラグビー・チームが黒人の子どもたちにラグビーを教えるシーンで涙が出てしまったのだが、いろいろな細かいシーンの積み重ねに心が打たれた。ジャージーを受け取らない子どもとか、ピナールの実家の家政婦の話とか、国歌の歌詞を配るシーンとかそういった描写を重ねていくことで、深い感動を呼んだ。実話で皮肉な結末にならないこともうれしかった。イーストウッドの作品はハッピー・エンドは嫌いなのかと思えるようなものばかりなので、たまにはいいと思う。南アフリカの国歌はそうとは知らなかったが、何だか聞いたことがあった。歌詞もすてきで、有名な曲だったのだろうか? 自分としては、「アメージング・グレース」みたいなつもりでいたら、違っていた。国歌と知って改めていい曲だなと思った。
何故か今日観てしまった。
本作の主要テーマは赦しとうたっているのでこの件に触れても問題はないだろう。
実はマンデラが釈放、大統領になってその困難さは並大抵ではないと感じていたのを記憶している。その後は特に気を遣っていなかったので現在どうなったかはあまり認識していなかった。
国が混乱する事は判った事だ、白人は帰国するのだろうか?とぼんやり考えていた。しかし、この作品を観て少し判った。
あまりヒューマンタッチで赦すを美化するのはどうかと思うが、彼は当時の国情から国が分裂崩壊するのを危惧して過去を清算して未来をという方向性で国民を融和統一させようとしたのだろう。多分に赦す云々は感情的なものより怜悧な判断によるものだと思う。(人の上に立てば直ぐにリーダーシップがどういうものか判る)。
しかし、リアリストとしての判断から行った政治ではあるが随所で落涙した。兎に角、人間が大きいのだ。個人の恨みや苦痛など他所に置いて大局からすべき判断を確実に行った。少なくともここに独房で27年といったら何度絶望の淵に追いやられた事か。
しかし、運命を他人や神のせいにせず、運命は自分が切り拓くものだという考え。自分に照らし合わせると、往々に悪意や運命を恨む事がある。
彼の言葉は架空の想いではない。自身の人生でこれを証明している。
その人物の大きさに唯々脱帽するしかない。
もしかしてマンデラが、かなり成功して安住してきたら人間の悪い面が現れるのだろうか。気になるところだ。多くの人間は成功の地位に負けてしまう。
彼が本当の人格を形成したかどうかは時間と伴に判るだろう。
しかし、偉大な人物はその環境などに影響は受けない。
日本でもかつて大平正芳や伊東正義などの様に私心のない政治家がいたのだ。
いつまでも尊敬される人格でいて欲しいものである。
映画を観ながらそう思った。
ほろっ。
何気にもっとスポ根ものだと思っていましたが、なかなかの熱い内容でした。ラグビーのシーンより、そこにいたる迄のマンデラの一言一言がなぜか心にじわっとしみて、何度も泣けてしまいました。たまたま見た日がマンデラが釈放された日と同じ日で、勝手に運命感じました。帰ってきてから引き続き、録画してあった『マンデラの名もなき看守』を鑑賞。有意義なマンデラデイになりました。
イーストウッド、ザ・職人監督
観てみてモーガン・フリーマンの企画であることに納得。マンデラにもラグビーにも深い興味が無いことが演出から滲み出ており、見事に職人監督に徹している。『目撃』や『真夜中のサバナ』に相通ずる興味の薄い視点。でも、しかし、それが良い。90年代から傑作連発で神のように持ち上げられたけど、もともとアンバランスで不思議な味わい(「塩味」と書いた芝山幹郎さんて凄い)のあるオレ様娯楽作を作ってたんだから、たまにはこういう力を抜いた演出が観たかった。
脚本はビックリするぐらい捻りがなく、役者の芝居もそれほど凄いと思わなかった。この映画を再度観るかと言えばノーだろう。でも、久々に悪意の欠片もない、そのことに衒いのない、真摯なスポーツ映画であり人生の足しにはなった。
イーストウッドには、この調子でジャンルを問わずバンバン映画を撮って欲しい。主役作も。引退なんか永遠に似合わない。
マンデラ大統領の想像を絶する苦難
二十数年間、刑務所の狭い独房に入れられながらも、それでも自分を見失わず、絶望せず、どのよな迫害にあっても自分の人生を他人に操作させず生き抜いた彼に感動いたしました、とてもよい映画でした。
マンデラの指導者としてのすばらしさ
わかりやすいストーリー。
内容も素晴らしく、心に訴えてくる感じが好きです。
そして、マンデラの指導者としての素晴らしい魂。
マンデラのような政治家は、
日本にはいない。
もっと、マンデラについて調べてみようと思います。
サブタイトルの邦題はいただけない
2009年アメリカ映画。134分。今年9本目の作品。世の中、宮崎駿とイーストウッド監督の悪口はいえない空気がなんとなく漂っていると思った矢先のイーストウッド監督の最新作でございます。
ご縁があり本作の試写会チケットを譲っていただけ、誕生日に観にいくことができました。そして、試写会の日が誕生日だったのはまったくの偶然で、さらに本作の舞台となっている南アフリカは実は個人的に思い入れのある場所なのです。
内容は;
1、マンデラ氏が大統領になり、それまで分離されていた黒人と白人の溝を埋めようと考える。
2、そこで大統領は1年後に南アフリカで開催されるラグビー・ワールドカップを手段にしようと考え、影から弱小だったラグビー代表チームを支える。
3、ワールドカップが開催され、南ア代表チームは快進撃し、決勝にいく。
映画を観ながら、まがまがしいナショナリズムを扇動してしまう危険性があるとう意味で「これは下手すれば危険な映画になるぞ」と身構えてみてしまいました。しかし、それは杞憂でした。恐らくイーストウッド監督本人が、そこをちゃんと自覚していたと思います。
本作はとても素晴らしい映画なのですが、それはご自分の目で確かめたほうがいいし、そうするべきと思った作品です。ラグビーが苦手な人も大丈夫。というのも、本作でのラグビーはあくまで素材であって、熱血スポ根映画ではないからです。
イーストウッド監督の緊張感を持続させる演出はお見事。終盤にはなんとも心憎い、気づかない人もいるかもしれない演出が待っています。映画という媒体をつかって雄弁かつユーモアをもって語るというのは、こういうことかと思わされました。そして問題のワンシーンを振り返ると、あとから「してやられた感」があり爽快になれました。
昨年の「チェンジリング」と「グラン・トリノ」は個人的にはイーストウッド監督にしてはぶれているとおもった作品なのですが、本作はぜんぜんぶれていない芯の通った作品です。
みなさん、機会があれば是非ご鑑賞ください。
何事にも征服されない心。
1987年制作の「遠い夜明け」は、まだアパルトヘイト政策下の南アフリカだったけれど、
この「インビクタス」は、ネルソン・マンデラ大統領に代わった直後からの物語。
1995年のラグビーワールドカップで、弱小だった南アフリカのチームが、優勝を成し遂げた実話だ。
スポーツドラマではなく、マンデラ大統領を軸においた、社会性ある素晴らしい実話。
「実話」であることの、重みがヒシヒシと伝わってくる。
黒人はサッカー。
白人はラグビー。
スポーツの世界にも、アパルトヘイトは存在した。
27年間も刑務所に収容されていたネルソン・マンデラ。
両手を広げて伸ばせば、部屋の壁に当たってしまうような、日本で言えば畳2枚分の広さ、そんな狭い空間に押し込められながらも、ほんの少しの復讐心も持たない。
変えなくては、ならないもの。
変えては、いけないもの。
変わらなくては、いけないもの。
すべての人に、分け隔てなく接する大統領の話は、人種を超えて、人々を惹きつけて魅了していく。
国の指導者とは。
上に立つ者の技量とは。
また、その気持ちに応えようとする喜び。
オールブラックスとの決勝戦は、その場にいる観客になったかのように、応援してしまった。
黒人も白人も関係ない、民主主義国家の誕生だ。
場外の警備に当たっていて、試合を楽しみにしている白人と、その車から聞こえてくるラジオを聞きたい黒人の少年。
その距離が、少しずつ少しずつ、縮まっていく過程が、実に微笑ましい。
ネルソン・マンデラになりきった、モーガン・フリーマンはとても素晴らしい。
決勝戦の観客の中に、クリント・イーストウッド監督の姿を、チラッと見たような気がするのですが、見間違いかな~。
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