劇場公開日 2010年2月5日

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「何故か今日観てしまった。」インビクタス 負けざる者たち ADAMさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0何故か今日観てしまった。

2010年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

本作の主要テーマは赦しとうたっているのでこの件に触れても問題はないだろう。
実はマンデラが釈放、大統領になってその困難さは並大抵ではないと感じていたのを記憶している。その後は特に気を遣っていなかったので現在どうなったかはあまり認識していなかった。
国が混乱する事は判った事だ、白人は帰国するのだろうか?とぼんやり考えていた。しかし、この作品を観て少し判った。
あまりヒューマンタッチで赦すを美化するのはどうかと思うが、彼は当時の国情から国が分裂崩壊するのを危惧して過去を清算して未来をという方向性で国民を融和統一させようとしたのだろう。多分に赦す云々は感情的なものより怜悧な判断によるものだと思う。(人の上に立てば直ぐにリーダーシップがどういうものか判る)。
しかし、リアリストとしての判断から行った政治ではあるが随所で落涙した。兎に角、人間が大きいのだ。個人の恨みや苦痛など他所に置いて大局からすべき判断を確実に行った。少なくともここに独房で27年といったら何度絶望の淵に追いやられた事か。
しかし、運命を他人や神のせいにせず、運命は自分が切り拓くものだという考え。自分に照らし合わせると、往々に悪意や運命を恨む事がある。
彼の言葉は架空の想いではない。自身の人生でこれを証明している。
その人物の大きさに唯々脱帽するしかない。

もしかしてマンデラが、かなり成功して安住してきたら人間の悪い面が現れるのだろうか。気になるところだ。多くの人間は成功の地位に負けてしまう。
彼が本当の人格を形成したかどうかは時間と伴に判るだろう。
しかし、偉大な人物はその環境などに影響は受けない。
日本でもかつて大平正芳や伊東正義などの様に私心のない政治家がいたのだ。
いつまでも尊敬される人格でいて欲しいものである。
映画を観ながらそう思った。

ADAM