ユキとニナ
劇場公開日:2010年1月23日
解説
フランス人の父と日本人の母を持ち、パリで暮らす9歳の女の子・ユキは、ある日、両親が離婚しようとしていることを知り、母からは日本で暮らそうと告げられる。親友のニナと別れたくないユキは、ニナとともに家出を決意する。しかし2人は森の中で迷子になってしまい……。「不完全なふたり」「パリ・ジュテーム」の諏訪敦彦と、「愛のあとに」「イヴォンヌの香り」の名優イポリット・ジラルドが共同監督を務める。
2009年製作/93分/G/フランス・日本合作
原題:Yuki et Nina
配給:ビターズ・エンド
スタッフ・キャスト
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2011年9月23日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
なんというか…見終わったあと言葉を失ってしまいました。
とにかく素晴らしいの一言。
少女時代の自分と重なる場面が多く、大分感情移入してしまいました。
特に、愛の妖精からの手紙のシーンでは思わず涙が…。
どちらかというと女性向けですね。
良作です。
ユキのお母さん役の方が美しかったです。
2011年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD
「不完全なふたり」など、フランスを舞台にした作品を積極的に発表している諏訪敦彦監督が、フランスの名優イポリット・ジラルドと共同監督の形で作り上げた、ガーリー映画。
確固とした物語の軸を敢えて作らず、小さな場面の断片を繋ぎ合わせる中で観客の創造力から自由に描かれる世界を表現する手法で演出される本作。諏訪監督のこれまでの作品にも用いられてきた技法であり、彼の過去の作品を追いかけてきた観客ならば、十分に付いていくことが出来る物語である。
しかし・・・どうも、心が落ち着かない。ざわざわするのである。基本的なコンセプトにガーリー映画というテーマのみ設定されており、両親の離婚という避けられない課題を前に困惑しつつも、力強く前に踏み出してく一人の少女の心の旅を描き出しているのだが、本作には決定的に違和感を抱かせる場面が存在する。それが、私をざわざわさせる。
フランスというお国柄も手伝い、登場人物たちは極めて冷静に、議論を幾重にも重ねて問題に対処する姿勢を貫こうとする。それは、大人も、子供も変わらない。だが、その中にあって主人公ユキの母親がとある場面で号泣するカットが長回しで粘着に描かれている。ガーリー映画であるはずの作品に突然挟み込まれた一人の大人の、爆発。これは・・どういうことなんだろう。
後半、二人の少女が迷い込んだ森に繋がっていた日本という世界。これはそのまま、日本人として生きていたユキの母親の記憶に繋がっている。ユキが小民家で興じる遊びも、現代の子供が行うものとはどうしても思えない古風な趣を強く感じさせる。子供の荒ぶる葛藤を見つめようとしながらも、作り手が本当に捕まえようとしていたのは、異国の地で、異国の精神を持ちながら異国人と暮らしてきた母親の心ではなかったのか。
統一されない母親のフランス語と日本語のちゃんぽんも、不安定な母親の立場と揺れを容易に想像させる。極めて意図的に幼い少女の物語を前面に押し出しつつ、一人日本人というスタンスに雁字搦めになっている大人の女性を見つめている複雑な構造は、観客の物語への理解を阻害していく。だから、ひどくざわざわするのだ。
国際結婚で本当に苦しむのは、誰か。子供か。いや、違うだろう。屈折した主張で諏訪監督が描いているのは、結婚という形で母国を捨てる人間への優しい眼差しだ。だからこそ、本作は異国人と生きていこうとする大人の貴方に、観て欲しいと考える。淡い色調のなかで、道徳映画と芸術の境を器用に泳いでいく本作の魅力は、尽きない。可愛いだけでは、ない。
「不完全なふたり」「パリ・ジュテーム」など親仏監督として知られる諏訪敦彦と、「愛のあとに」「イヴォンヌの香り」などで活躍するフランスの俳優、イポリット・ジラルドが共同監督を務める作品。珍しい組み合わせだと思うが、この2人は諏訪監督が撮った「パリ・ジュデーム」の一編で監督&俳優として出会っている。
子供が家出をするという話はよくあるけど、この映画の秀逸しているところは、子供が大人の都合よい解釈で描かれていないことだと思う。実に子供らしい子供が登場するし、実に子供のような振る舞いをする大人も登場する。でも、大人なんてそんなものだと思う。
マイク・リーのようだけど、諏訪監督は脚本に台詞を書かないそうだ。脚本の仕事を投げていると言われちゃうかもしれないけど、きちんと自分で監督してるんだからいいんじゃないかな? 素人をユキ役に抜擢したのは正解だと思う。
2010年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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新たな試みに彩られた、不思議な作品だった。
簡単な場面設定とアドリブ演技で成り立った映画。
子供たちの演技がかなりの自然体で(当り前だけど)
作られた不自然さがないのが見所だが、
普通に演じられてきた演技というのに観慣れていると、
素の方が不自然に感じられてしまうのが面白い。
両親の離婚。というかなりドラマチックなテーマだが、
印象的な音楽を流すでもなく、わざとらしい台詞もなく、
もし普通の子供だったら、こんな時どんな反応をする?
という、ちょっと自分や子供達に当てはめてみたくなる
映像や感情面の描かれた、そんな作品である。
フランス人と日本人の間に生まれたユキは、母の離婚に
伴い、慣れ親しんだフランスを去り、母親の実家がある
日本へ連れて行かれることになる。親友の二ナ(面白いv)
と別れたくないし、第一知らない国になど行きたくない。
既に両親が離婚している二ナは、この事件を自分の悲劇
と同様に捉え(あるよな~きっとこういうの)なんとか二人で
ユキの両親を仲直りさせられないかと手紙を書いてみる。
子供たちの真意に号泣する母だが、そこは大人の問題。
父母の溝が埋まることはなく、日本に連れて行かれそうに
なったユキは、二ナとともに家出を決行する。。。
なんかすごく、ありえそうな話だ^^;
そして家出なんかも、子供なら即やりそうなことだ。
考えられる全ての範疇を出ていない展開であるのだが、
なぜかこの子たちの「悲痛なのに明るい行動力」に
こちらまで励まされてしまうのだ。子供って、すごい。
勝手な行動をとっているのは、まったく大人の方である。
後半のフランスと日本の「森」でのシーンから、やや話は
ファンタジー化してくるが、双方の良いところを見せようと
気張ったら、ああなってしまったんだろうか…^^;
ともあれ、どちらの世界にも馴染めるのはやはり子供だ。
大人になると、まず頭で考えてしまう。
アドリブを要求されても、そこまでの経験上、どう反応し、
どう動けば良いのかは、おおよそ見当がつく。
だからアドリブが笑いや演技として成立してしまい、
流れを損なわない面白さを生み出せたりもするが、
例えば動物や子供相手ではなかなかそうはいかない。
母親の号泣や、友人との対立、一人ぼっちでのシーン、
ユキの即興演技そのものが彼女の成長と重なってくる。
あぁ…そうか。子供ってこうやって大人になったんだ。
かつて自分も経験したことなのに(立場は違えど^^;)
すっかり忘れてしまっていたあの頃の「素」晴らしさを
もう一度画面から発して体感させてくれる作品なのだ。
(お婆ちゃんと子供達、今時あんな??という懐かしさ^^;)