不覚にも泣いてしまった。
なんだかよくわからないけど、
こいつは、平成の『さびしんぼう』だ。
物語中、《いけちゃん》が
子どもの成長を自転車の練習にたとえて
独白するところがある。
「自転車に乗るためには、
最初うしろを持たれて走るじゃない?
でもそのうち、その手を追い越して
勢いがついていく。
おめでとう。今日キミは
本当に一人で漕ぎ出したんだ」
そうなんだよな…。
あんなにふらふらしてたのに、
いつのまにしっかりと漕ぎだして
もう追いつけないくらい先まで
遠くまで行っちゃうんだよな。
親は、それを
喜んでやらないといけないんだよな。
私の親たちも、私の後ろ姿を
そんな寂しい笑顔で見送った日が
あったんだろうか。
では、心に残ったセリフの抄録。
「世界中で、人より早く大人にならないと
いけない子どもっているんだよ」
「あのね、君はね。弱虫で、つよ虫で、
意地悪でやさしいの」
「いっそ死んでまえば伝説になって、
毎年あのカーブで
ヤンキーが煙草で焼香してくれるのに」
「あーあ、あたしもどっか飛んでいきたいわ。
この街に残ってる女はダメな側の女や。
わたしは出て行く側になる」
「ヨシオを神隠しにするのだけはご勘弁を」
「サヨウナラ。わたしたち
とても短い恋をしたの」
そうそう、忘れるところだった。
きょうちゃん、いいよなあ。