天安門、恋人たち
劇場公開日:2008年7月26日
解説
1987年、学生たちの間に自由と民主化を求める声が高まる中、北京の大学で出会ったユー・ホンとチョウ・ウェイ。しかし、89年6月の天安門事件を境に2人は離ればなれになってしまう……。中国社会が激動した80年代末から2000年代初頭を背景に、恋人たちの出会いやすれ違いを描く青春ドラマ。天安門事件を学生の視点から描き、過激な性描写もあることから中国国内では上映禁止になったが、2006年カンヌ映画祭のコンペティション部門に出品され、評価された。
2006年製作/140分/中国・フランス合作
原題:頤和園 Summer Palace
配給:ダゲレオ出版
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る

- ×

※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイントをプレゼント。
2023年2月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
2006年の作品。
この邦題がついていて見逃していたので悔しい思いだったが、、シャドウプレイ公開にともなうK’s cinema のロウイエ監督祭(特特集)で満を辞しての鑑賞。原題は、まあ、当然かもしれんけど全然違う庭園?北京の夏の離宮ということであった。英語だとSummer palace.ロウイエ監督のタイトルの付け方は面白い。シャドウプレイも。必然と趣味、ウィットというのか、そういうものが入ってる。
そしてなかなかのスケールであった。最初の、故郷は朝鮮との国境の町。辺境のおおらかさで郵便配達員が仕事もしないで酒飲んで店番してる恋人女子高生ユーホンと仲良くしてる、そこへきたおばさんに、アンニョンハセヨというたから冒頭からガツンとかまされたけど、朝鮮国境近いど田舎から夢の北京の大学へ進学する才女だったのだ。
自由と刺激を求める女子ユーホン。大学での運命的出会いというのだろう、モテ男チョウウェイとの日々、氷と雪に凍てつく美しい旧世界の庭園、夕日をうけて輝くの大きな池。サマーパレスで、大学で、西側との交歓あり活気あふれる北京の街で、二人は自由な個人的生活を楽しむ。ここにいる学生たちは皆自由な個人を楽しみ、政治の季節民主の歌声が聴こえたと思ったらその時代もあっけらかんと過ぎて終わった。レッドチャイナ中国は数年単位で時代が変わり主人公も自分の持ち方も変わる。
邦題は、タイトルに天安門とあり実際に生々しく希望似満ちたデモに向かう学生たちの映像も差し込まれ、映画の登場人物たちがトラックに乗り込んで天安門に行く姿は、ヨーロッパで、レイブパーティに行くような感じ、そんな感じの熱量とノリで撮っていて、ロウイエ監督すげえな、と感動。
香港囲城などでみた最近の香港の若者たちの闘争に、今、2003年末にこの作品をみて、昨今の香港民主化関連作品と比べてみれば、民主を叫ぶ以外イデオロギー、思想、左右の闘争みたいなものは全くなくて、あっけらかんと祭りのように(現状香港の方がより管理ガチガチで非常に厳しい状況だが)1989年思い思いの格好で自由を謳歌するように天安門に馳せ参じていて、2006年この感覚どんな感じだったか、映画を公開できるものにするための工夫だったか、私には全くわからないけど、これもまた絶妙なロウイエ監督の嗅覚、バランス、審美眼かと恐れ入る。
目頭的にグッとくるのはこの辺りだけで、あとは自由に自分にこだわり文学的に刹那的に友情も裏切りも思いのままの本能で生きる若者たちの、意外とレッドチャイナに阻害も妨害も嫌気もな、それぞれのその後、末路。愛とか傷みとか、自分も2006年ではなく2023年になりそれなりの年令で見ているので、深淵なれど冷静に、眼差しの交差と不交差、性愛による救済と破滅を冷静に見届けるのみ。若者たちは、スクリーンの中でスケール大きく、3人組はベルリンに移り住みベルリンの壁崩壊後のベルリンの空気を吸い、ユーホンはひとり、深圳、武漢、重慶とまつろわない自分を持て余し彷徨い自分の魂をなだめすかし弔うようにして日夜を過ごしている、でも絶対死なない、なんかある、なんか見つけると闘志もある。だからラストシーンも、まさかのお酒買いに行ってた、、、ところもロウイエ監督すげえ!と最後までありがとう。シャドウプレイ公開記念の特集番組中の、k’s cinemaのお客さんがとにかく若い中国人でいっぱい。明かりがついて席を立つと、中国語の若者たちの会話があちこちから聞こえるし、今日なんか外に出て新宿の街も中国語話者に溢れていて、映画館の暗闇から新宿の路上で、思わずくらくらした。映画とは体験なり。
中国の大学生くらいの人たち、東京でロウイエやってるよ!てひろがってるのかしら香港の方々なのかとかいろいろクラクラしながら帰宅した。
本当のクラクラ目眩の別の原因は、、1989年韓国でも、北京でも、英領から返還離脱の香港も、民主と自由を求めて闘っていたんだよな、日本は東京は、それに呼応や連帯したのはほんのわずかで、肩身の狭い感じだったし、今となっては、この有様だなと。
北京天安門や、あの頃の香港や武漢や深圳やベルリンの風景が、かざらず偽りもない姿が記録され記憶されているのも大切にありがたく、この世界への情愛に溢れていた。
2015年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
中国本土の制作で、映画のテーマは「性愛」そのもの。
原題は「頤和園」。西太后が夏を過ごした北京の離宮。
途中で天安門事件に言及していなかったとしても、中国で上映が許可されなかったのは理解できる。
ある一部の人間にとっては性愛というものを抜きに人生や生活が成り立たない。たとえそれが社会生活に影響を及ぼすものであろうとも、そのようにしか生きられない。他の生き方では生きている意味がない。
「結婚は恋愛をしていない時だけ安定する。」
結婚と恋愛は別という言説は言い古されているが、主人公のこの言葉は、このような性愛中毒者たちにとっての真理であろう。
しばし現実を離れて愛欲に没頭する。そんな人生の夏の季節が何度か巡ってくる女性の半生を描く。
映画の中で1990年前後のニュース映像が引用される。
中国の天安門事件、東西ドイツの統合、ソ連邦の解体。映画では触れられてはいないが、我が国のバブル崩壊。アメリカを除く世界の大国がこの時期に相次いで大きな進路変更を経験している。
あれから四半世紀が経った現在、ずいぶんと世界は変わり果てたものだ。もはや大国の指導者たちが世界の人々の融和に向けて努力しているなどとは誰も思ってはいない。政治体制が変わったところで、その変化を切実に必要としている人々にとって何かが良くなることなどないこともみんなが知っている。
一体あの頃どのようなボタンの掛け違いを犯してしまったのだろうか。あの後間もなく社会に出た自分は、そのように変わりゆく世界の中で、何を見たり感じたりして今日まで生きてきたのだろう。
鈍感。であり、無関心であり過ぎた。と思う。
2013年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
何でこんなに悲しくなるんだろうかぁ
同じ世代の若者、勉強して普通に恋して楽しんでいる時もあるけど私達の生活とは全く違うから。
自由が欲しいと思った事なんて一度もない。
性描写が多くて少し驚きました。最近の中国の若者は開放的な人も増えたと聞くけど、ごく一部だろうなぁ。
原題は「頤和園」で恋人がデートしている場所が確かイワエンだったと思う。世界遺産に登録されている巨大な庭園