劇場公開日 2008年12月20日

K-20 怪人二十面相・伝 : インタビュー

2008年12月15日更新

佐藤嗣麻子監督 インタビュー

主演の金城も脚本段階から積極的にアイディアを出していたそう
主演の金城も脚本段階から積極的にアイディアを出していたそう

──それをどう面白くしようと思ったのですか?

「金城くんの主役は決まっていたんです。阿部さんからは『冒険活劇にしたい、正月映画なので明るく』という注文でした。脚本を書く時の注文って、いつもそんな感じで漠然としているんですけど、今回はセリフも笑える、コミックっぽい映画にしたいと思いました。脚本の段階から金城くんに見せているので、彼から『あれやりたい、これやりたい』という意見を受け入れて。楽しい映画になったのは彼のおかげです。もともとコメディだったのに、“より面白いコメディ”になりました」

よりコミカルに仕上がったストーリー
よりコミカルに仕上がったストーリー

──セリフは金城さんのアイデアが多いんですか?

「金城くんのアドリブも多かったですね。ハトを診察するのも彼のアイデアだし、焼きいもを手品で出すシーンのセリフなどはアドリブです」

──「レッドクリフ Part I」でも、金城武演じる諸葛孔明は白いハトを飛ばしますけど……。

「撮影の時、彼はぜんぜん言わなくて、『前もハトを使ったなあ』とこぼしていた程度でした。だから『レッドクリフ』を見た時はもう大爆笑。後で分かったのですが、ハトを扱う人物という設定は『レッドクリフ』より『K-20』の方が先だったそうです」

──金城武さんの身体能力は監督の目から見て、パルクールをやるのにピッタリでしたか?

「ものすごいですよ。俳優さんであそこまで動ける人を私は知りません。身のこなしもキレイだし、動きもキレがあって素速いですし。もともと、『Returner〈リターナー〉』を見て彼のアクションには確信がありました」

──國村隼さん演じる源治が、ジェームズ・ボンドにおけるQみたいで、武器を次から次へと発明して面白いですね。

「國村さん演じる源治は、原作でここまでの役柄ではなかったんですけど、大きくしました。金城くんと國村さんとでふたりともボケてる“バディ(2人組)もの”がいいなと思って、最初から源治役は國村さんだと思ってアテ書きしています」

──國村さんは『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』に出ていますから、金城さんとはジョン・ウー監督つながりですね。

「現場でもジョン・ウー監督で話が盛り上がっていたみたいですよ」

──手首のところからワイヤーを発射して、スパイディ感が増してきます。

撮影中に指示を出す佐藤監督
撮影中に指示を出す佐藤監督

「ワイヤーは手首から出してるんじゃないんですよ。動きとしては、原始的なので『スパイダーマン』よりは『ターザン』かな、と思っています。『バットマン』とも思いませんでした。お疑いのご様子なので、信じてもらえないと思いますが、実際ハリウッドのアメコミ映画は意識してないんです。原作の二十面相が、帽子をかぶって、マスクと、マントつけているので、それをイラストレーターの田島(昭宇)さんに彼風にデザインしてもらっただけなんです。その3点のアイテムが揃っちゃうとバットマンと言われるかもしれないですね。元々は怪盗ルパンなんですけど」

──物語の設定として華族社会が残ったままで、軍部が強い社会って暗めですよね。そういう話のなかで“明るさ”をキープするために苦慮したことは?

「キャラクターをとにかく明るくしました。泥棒長屋のところなんか、スタッフがみんなそうなので、『ALWAYS 三丁目の夕日』みたいにしましたけど(笑)。山崎貴監督ならこう撮るかな、と思いながら撮りました」

──脚本協力で山崎貴監督の名前がありますね。

大ヒットすれば続編の可能性もアリ?
大ヒットすれば続編の可能性もアリ?

「山崎くんとは同級生なんです。いま、彼は『BALLAD/名もなき恋のうた』という映画を撮っているんですけど、4日間だけ脚本を交換してお互いに添削したんですよ」

──山崎監督が直してきた部分はどういう箇所ですか?

「ストレートなセリフです。ネタバレになっちゃうので、その内容はいま語れないんですが、私ならちょっと恥ずかしいなと思うような感じの(笑)。でも、そのセリフのおかげで映画が分かりやすくなっていると思います。私は斜に構えてしまう方なので」

──作品の出来について、どんな感想をいだいていますか?

「とてもよく出来たと思います。これは面白いなと素直に思います」

──『K-20 Part 2』や『K-20 Part 3』が作れそうな話ですね。

「大ヒットして、そうなってほしいですね」

>>佐藤嗣麻子監督インタビュー 

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