最高の人生の見つけ方(2007) インタビュー: 世紀の名優ジャック・ニコルソンが語る映画への情熱

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最高の人生の見つけ方(2007)

劇場公開日 2008年5月10日
2008年5月14日更新

カッコーの巣の上で」(75)、「愛と追憶の日々」(83)、「恋愛小説家」(97)で3度のアカデミー賞受賞(ノミネートは12回!)を誇る名優ジャック・ニコルソンが、同じくオスカー俳優のモーガン・フリーマンとコンビを組んだ人間讃歌「最高の人生の見つけ方」。本作のPRのため14年ぶりに来日した世紀の名優に映画評論家の森山京子氏が話を聞いた。(取材・文:森山京子

ジャック・ニコルソン インタビュー
「映画は一瞬を捉えるものだ。その時に感じた衝動で演じてもいいんだよ」

映画をこよなく愛する71歳の自由人 映画をこよなく愛する71歳の自由人

――この映画で演じたエドワードは、大人になりきれない駄々っ子みたいな男。最近のあなたはこういう成熟していない男を演じる事が多いですね。

「僕はセンチメンタルに観客の感情に訴えるやり方が好きじゃない。エドワードは『病気で死ぬより、見舞い客からバイ菌を貰って死ぬ人のほうが多い』なんて言うだろう。要するに人に好かれたいとか、愛して愛してとアピールしない。そこが好きなんだ。それと、9・11が起こってからは、ベトナム戦争の頃にしていたように、何が起こっているかを話したり、自分がそのことを理解しているつもりで行動するってことはやめた。ピエロになってコメディだけをやり続けているんだ。『ディパーテッド』だって、僕とマーティ(マーティン・スコセッシ)は、普通のギャング映画じゃなくてオペラをやってるつもりだったんだよ。みんな何かを知っていると思いたがる。そして必死になるけど、本当は知らないことが多いんだ」

素顔は物腰の柔らかい穏やかな紳士映画の中とは大違い!? 素顔は物腰の柔らかい穏やかな紳士
映画の中とは大違い!?

――今回は脚本にも参加しているんですね。

「ロブ・ライナー監督と一緒にセリフを作っていった。かなりウィットに富んだセリフを入れられたと満足しているよ。元々僕は脚本家だからね。僕が最初日本に来たのはオリンピックの前の年の1963年だけど、その時は『Flight to Fury』(64年/モンテ・ヘルマン監督)の撮影でフィリピンに行く船旅の途中でね、船の中でずっと脚本を書いていたものさ。脚本だけじゃなく、編集を手伝ってくれと頼まれることも多い。僕は自分をムービー・メーカーだと思っているから、監督に頼まれると出来る限り引き受ける事にしている。大抵は僕が出演している作品だけどね。そんな時僕は、共演俳優の一番良いパフォーマンスを選ぶようにしている。他の俳優の演技をいいものにする。そうすると映画全体が良くなるんだ」

――あなたと共演した女優がオスカーを獲るのは、あなたの編集の効果なんですね。

「フフフ、それはすごく誇りに思っているよ。マーロン・ブランドと共演してサバイバルした女優はいないけど、僕とだったらいい演技ができて賞をもらえる(笑)、でしょう?」

――実は昨夜「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(60)を見直していたんですが、若い頃のあなたはもっと高音でソフトに喋っていたんですね。

「僕の声はこの通り独特だろう? 実は作品毎に感じを変えているんだよ。でもほとんどの人は気づかない。それでいいんだ。僕は自分の技術を見せびらかしたくない。フレッド・アステアやスペンサー・トレイシーがそうだったように、何でもなく楽にやっているように見せたいんだ。昔アカデミー賞のリハーサルに初めて呼ばれた時、アステアがステージに駆け上がるのを35回も練習しているのを見た。本番だけ見た人はまさかそんなに練習していたとは思わない、何気ない歩き方なんだ。でも俳優にとってはそういうことが大事なんだよ。演技していることを観客に意識させないほうがいいんだ。舞台と違って映画は一瞬を捉えるものだ。その時に感じた衝動で演じてもいいんだよ。もし間違っていたらもう一回撮り直せばいいんだから。こうするべきだと考えすぎてしまって、自由に衝動で動けなくなることが一番の問題だ。監督によっては自由を与えない人もいるけど、僕が自分で監督する時は、俳優たちに自由にやらせるようにしている」

常に作品全体について気を配る“ムービー・メーカー” 常に作品全体について気を配る
“ムービー・メーカー”

――あなたに自由を与えなかった人は(スタンリー・)キューブリック(「シャイニング」)でしょう?

「ハハハ、それはそれで大好きだったよ。どうしてかって? それは、どっちにしたって僕の方が上手くやれるからさ(爆笑)」

――昔は何本も監督していたのに、最近やらないのは何故なんですか。

「うーん、それは……監督としてあまり成功していないからさ」

――エッ?「Goin' South」(78・日本未公開)も「黄昏のチャイナタウン」(90)もいい作品ですよ。私は大好きです。

「僕も好きだよ。素晴らしいと思っているけど、興行的に成功しなかった。誰も僕に監督の仕事をくれないんだ。誰も作らないような自分のオリジナリティーがある映画を作りたいというのが僕の信念だ。例えば『黄昏のチャイナタウン』の時は、サウンドの多くをカットした。1948年という設定だから、今我々が聞くような騒音はなかったからだ。でも誰もそういうことに気がつかない。ただサウンドトラックが貧弱だと批判するだけ。ま、最高レベルの監督たちと仕事してきたからね。彼らと違うものを探すのは大変だってことだ」

――あなたほどハリウッドで愛されている俳優はいないし、怖いもの知らずで何でも出来ると思っていましたけど、やはりやれないこともあるんですね。

「ま、そういうことだ。でもそういう話はこれっきりだよ、ハハハ」

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