(いまぐぐってしらべたことにすぎないが)
海外(欧米英)では支払い即時に口座から引き落とすデビットカードでの決済が、クレジットカードよりも多いそうだ。
デビットカードには決済時に現金を引き出すサービスがある。
なので店舗のレジ係は支払いをするか、現金を引き出すかを客にたずねる。
そのとき使われるのが本作の原題。
Cashback?(現金を引き出しますか?)という感じで使われていた。
すなわち、ちょうどに支払うか、それとも過分に引き落として、おつりを渡しましょうか?──という意味であろう。と思われる。(そうではないかもしれません、よく知りません)
映画は失恋の痛手を負った美大生の独白で進行していく。
序盤は幼少にさかのぼって性への目覚めを回想し、その低回から脱して夜勤バイト先の子と新しい恋をはじめる──というストーリー。
主人公はひどい失恋から不眠症におちいっていて、眠れない睡眠時間を夜勤のアルバイトに充当したこと=時間を金に換えたことを原題のCashbackは言っている。──らしい。
Sean Ellis監督の長編デビュー作品。
ローテンションのコメディだが、なんとなく捨て置けない雰囲気がある。
(──Robin Askwithが出てくるむだに裸が出てくるむかしのイギリス映画(ドッキリボーイシリーズ)みたいな安さと、Mike Millsのようなノスタルジーが同居していた。)
ところでぜんぜんピンとこない原題Cashbackにくらべると、邦題フローズン・タイムはよくわかる。
とあるキーワードにたいしてエロを隠喩していると感じることはないだろうか。
たんにわたしがみなさんに比べて卑しい想像力のもちぬしなだけかもしれないが、たとえば「透明」という言葉のみで「透明になって気づかれずに女風呂を覗く」というところまでを予感してしまう。(もっとすごいことも予感します、はい)
そんな思考回路のなかで、フローズン・タイム=時間が止まるとくれば、とうぜんそれは女の無抵抗を意味している。わけである。
そんな卑しいことを考えるのは、わたしくらいだとおもっていたら、この映画の主人公もそうだった。
(つーかエロ予感をしないにんげんなんぞホントはひとりもいないとじぶんは思っている)
それはさておき、監督はこの長編デビューのあと躍進していく人で、なにかを持っているのはよくわかる。
ただ本作は延ばしている気配が濃厚だった。
『もともと『CASHBACK』という、原題と同じ18分の短編映画をエリスが製作したところ、第78回アカデミー賞の短編賞にノミネートされた実績から、長編映画化された。』
(ウィキペディア、フローズン・タイムより)
ようするに、この映画にある「Mike Millsのようなノスタルジー」を感じさせる、フラッシュバックや筋を逸脱した枝葉は、長編に延長するためにやっている感じが拭えなかった。
またこの映画、主人公のみがどうしようもない陰キャで、ほかの男女はみんな陽性で楽しい。したがって(個人的には)主人公のウジウジした気配がけっこうイヤだった。
余談だが、この映画はShawn Christensenが短篇Curfew(2012)を長編化したBefore I Disappear(2014)の「延ばした感じ」に酷似している。