送還日記

劇場公開日:

解説

30年以上もの間、“転向”を拒み囚人として収監されていた元北朝鮮のスパイの老人を中心に、歴史に翻弄された元スパイの人々をカメラにおさめたドキュメンタリー。監督のキム・ドンウォンは、12年間にわたって本作を撮り続けた。韓国の映画雑誌『CINE21』10周年記念号で過去10年の映画ベスト1を受賞。サンダンス映画祭での「表現の自由」賞を受賞。

2003年製作/148分/韓国
原題または英題:送還/Repatriation
配給:シグロ=シネカノン
劇場公開日:2006年3月4日

ストーリー

映画監督キム・ドンウォンは、ある神父から刑務所から出獄したが身を寄せる所のない二人の老人の面倒を見るよう頼まれる。非転向長期囚としての長い獄苦から解かれた二人の老人の名前は、チョ・チャンソンとキム・ソッキョン。彼らは“北”からのスパイだった。ドンウォンの子供たちを孫のように可愛がる反面、元非転向長期囚たちが集った野遊会で‘キム・イルソン讃歌’を歌う彼らを見て、ドンウォンは彼らに対する拒否感を自覚せざるをえない。その後、チョ・チャンソン老人は、拷問に耐え切れず転向してしまった昔の同僚たちに再会する。その場に居合わせたドンウォンは、彼ら転向者が、身に深く染み込んだ自愧の念で肩身の狭い思いをしながら生きていることを知る。ドンウォンは、彼らを‘北’に送還させる為の運動に協力したいと思うようになり、‘北’に居る彼らの家族を撮影する計画を立てた。ところがこれが‘南’の当局の神経に触れ、‘北’行きは駄目になってしまう。さらにドンウォンは、当時大きな威力を振るっていた国家検閲制度を楯に取る‘南’の当局によって、許可なく映画の制作・販売を行ったということで逮捕される。1999年から送還運動は本格化し、2000年の‘6.15南北共同宣言’を機に、送還が現実の問題として近づいてきた。折りしも、元長期囚たちの間でさまざまな葛藤が醸し出されてくる。獄中で非転向を貫徹したが、もともと‘南’出身の元長期囚が‘北’へ行くべきかの問題、反対に故郷が‘北 ’なのに獄中で転向した為、‘北’へ行く資格を持たない元長期囚の問題、中には電撃的に結婚して南に残ると宣言して同僚たちの非難を受けた人もいた。チョ・チャンソンは送還を前に30年前に逮捕された慶尚南道のウルサンを訪ね、昔死んだ同僚の霊を弔い、彼の家族に渡す一握りの土を持ち帰った。こうして2000年9月2日、非転向長期囚出身の63名は‘北’へ送還された。

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