ハレルヤ
解説
「ビッグ・パレード」「活動役者」のキング・ヴィダー氏が第1回の発声映画で黒人のみを俳優に使って監督した作品である。ヴィダー氏自身による原作から「活動役者」のワンダ・タショック女史が脚色し「大飛行艦隊」「キートンの結婚狂」のリチャード・スカイヤー氏が撮影台本を執筆し、新進のゴードン・エイヴィル氏が撮影に当った。主役を演ずるダニエル・L・ヘインズ氏が「ショーボート」で端役を勤めたほかはニナ・メー・マッキニー嬢、ウィリアム・フォンテイン氏、ハリー・グレイ氏、ファニー・ベル・デ・ナイト夫人以下全部映画には初めての俳優である。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:Hallelujah
ストーリー
ミシシッピー河畔の或る平和な村の綿花収穫期――綿花を栽培し生計を立てているジョンソンは牧師を兼ねて村人の尊敬を集め、今年は予想外の収穫で一家は喜びに溢れていた。長男のジークは次男のスパンクを連れて町に綿を売りに出掛けた。多額の金と引換えたジークは帰途、踊り娘チックに誘惑されて賭博したがチックは情夫のホット・ショットと共謀してジークの有り金を全部捲き上げてしまった。ホット・ショットの奸手段を知ったジークが争闘中、ジークが発射した弾丸が折柄兄の行方を探し求めていたスパンクに当って倒れた。悲観にくれたジークは自責の念に堪えられず弟の死骸を運んで1人淋しく家路に向った。家ではジーク兄弟が暁になっても帰らぬので一家は心配していたところだった。深く後悔したジークは父の言葉に動かされて熱心な信仰生活に入り、各地を伝導して歩いた結果、次第にその名は近隣に有名となり彼を慕うて集る信者も多くなった。ホット・ショットとチックは彼の変り方に驚いた。チックは初めジークを軽蔑していたがジークの真摯な態度に動かされ厳かな河中の洗礼式にも加わった。が、心身の極度の緊張のため彼女は失神した。チックを介抱したジークは再び彼女の魅力の虜となった。彼は煩悶した。しかし彼女を救うのは自分の責任であると彼は決心した。チックはジークに非常な興味を持ち始めた。ジークは煩悶の末チックの誘惑から逃れるために幼なじみのミッシー・ローズと結婚することにした。しかし彼の精神的努力もチックの誘惑には勝てなかった。遂にジークはチックを連れて駈落を企てるに至った。ジークは或る製材所の職工となりチックの歓心を買うに勉めたがジークに飽きたチックはもっと自由で華やかな生活を望みホット・ショットと謀し合わせて逃走を企てた。怒りに燃えたジークは両人の後を追った。チックの馬車が転覆して彼女は重傷を負いジークの腕に抱かれて絶命した。復讐の念に燃えたジークはホット・ショットを泥中に追って報復手段に訴えた。ジークは罪に問われて服役した。1年は経過した。ホット・ショットの死因に就いては證擔不充分でジークは自由の身となった。家に帰った彼はいつに変らぬ家人やローズの温い愛情に迎えられた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- キング・ビダー
- 脚本
- リチャード・シェイヤー
- 脚色
- ワンダ・タショク
- 原作
- キング・ビダー
- 台詞
- Random Ridcout
- 撮影
- ゴードン・エイヴィル
受賞歴
第3回 アカデミー賞(1930年)
ノミネート
監督賞 | キング・ビダー |
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