レイジング・ブル
劇場公開日:1981年2月14日
解説
1940~50年代に活躍しミドル級チャンピオンにも輝いた実在のボクサー、ジェイク・ラモッタの半生を、「タクシードライバー」のマーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロ主演コンビが映画化。後に「ブロンクスの猛牛」とも呼ばれるようになるジェイクが、八百長試合を強いてくる組織との関係などに悩まされながらも栄光をつかみとる。しかし、妻のビッキーやセコンドを務める弟ジョーイに対し猜疑心や嫉妬心を募らせていき、信頼できる人間が離れていくことで凋落していく。主演のデ・ニーロは引退後のラモッタの姿を再現するため27キロも増量して挑み、アカデミー主演男優賞を受賞。体型をも変化させる徹底した役作りを意味する「デ・ニーロ・アプローチ」という言葉を生むきっかけとなる。
1980年製作/129分/アメリカ
原題:Raging Bull
スタッフ・キャスト
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2020年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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ロバート・デ・ニーロとマーティン・スコセッシ監督にとって、1980年製作の「レイジング・ブル」はそれぞれのキャリアの一つの到達点で、俳優と監督の才能が見事に融合した映画史に残る作品。
1940年代から50年代に活躍し、ミドル級チャンピオンにまでのぼりつめた実在のボクサー、ジェイク・ラモッタの自伝を元にその半生を映画化したもの。栄光を手にしながら、次第に嫉妬心や猜疑心を募らせて破滅していくジェイクをデ・ニーロが体現。ボクサー引退後の姿を再現するために27キロも体重を増やし、体型をも変化させるその徹底した役作りから「デ・ニーロ・アプローチ」という言葉を生んだのは有名な話。この演技で第53回アカデミー賞主演男優賞を受賞した。
暴力的な人間の弱さや欠点を描き、目を背けたくなるシーンも多く、主人公に共感はできないかもしれないが、スコセッシ作品に通底する「罪と贖罪」というテーマが次第に見る者に迫ってくる。
さらに、そんなドラマ演出、名演を引き立てるのが、意欲的な撮影技法や編集、サウンドだ。ボクシングの試合のシーンでは、180度の切り返しのショットやシャッタースピードを変えるなど、カメラは絶えず動き、パンチの音、観衆の声、マスコミのカメラのフラッシュとその音が合わさった編集とサウンドはまるで飛び散る火花のようで、自分がリングで戦っているような錯覚に陥る。セルマ・スクーンメイカーが第53回アカデミー賞編集賞を受賞した。
本編の約1時間18分あたりから始まる試合直前の約1分30秒のシーンはワンカットで撮影。地下の控え室でジェイクが、ジョー・ペシ演じる弟ジョーイを相手にウォーミングアップしている。そこからバックヤードを抜けて超満員の観衆の中をかき分けてリングへあがっていくまでの間、ピエトロ・マスカーニ作曲の歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」の美しい曲が重なり、CG合成なしのこのシーンは、何度見ても鳥肌が立つ。
2022年11月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
そんなに名作かなぁ…?
成り上がりの熱く燃えるようなやつかと思ってたら全然違うんですね。事前の概説で町山さんも言ってたけど。
きっとボクシングの勝利への執着と同じように、妻への嫉妬心を払うことが出来ず、そのために身を滅ぼす主人公。
ボクサーとしては魅力的なんだろうが、一人の人間としては、ねぇ…
観ていて辛かったです…
ロバートデニーロが演じたいと渇望した映画
んー、なんとも男性的
暴力的で退廃的
まさにマーティンスコセッシの映画だ
変なところで妙に長回しするのが
癖になるっちゃなる
リングとか滴る血とか
素晴らしいシーンは多々あった
だいぶ前にDVDで観たけど、改めて映画館で観たら、ボクシング映画と言うより狂気に取り憑かれた男の心理ドラマの印象でした。妻や弟にすら疑心暗鬼になり、試合では相手を徹底的に痛めつける凶暴なプレイスタイルのボクサーである主人公の屈折した心理が、モノクロ画面で不気味に描かれています。観客に血しぶき飛び散る試合のバイオレンス描写も凄まじいけど、監督と脚本は『タクシードライバー』のコンビで納得。デニーロの体型改造演技もあって、引退してからは憑き物が落ちたような豹変ぶりも、どこか薄気味悪さがあります。役者ではデニーロの演技は言うに及ばずだけど、意外と目立っていたのはジョー・ペシで、目つきからして怖かったです。キャシー・モリアーティの妖艶さも凄いけど、15歳の少女役は無理では?