リキッド・スカイ

劇場公開日:

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リキッド・スカイ

解説

1980年代初頭のニューヨークを舞台に、宇宙人に寄生された女性の運命を独創的なストーリーとネオンカラーの鮮烈な映像で描いたSFカルトムービー。

ニューヨーク上空に小さな宇宙船が現れ、ファッションモデルのマーガレットのペントハウスに着陸する。麻薬による陶酔や人間のオーガズム絶頂時の快楽物質を追い求めるエイリアンたちはマーガレットに寄生し、彼女と関係を持った者たちは次々と奇怪な死を遂げていく。本作が映画初出演となるアン・カーライルが主演を務め、男女2役を中性的な魅力で演じた。

監督は、旧ソビエト連邦出身のスラバ・ツッカーマン。「奇想天外映画祭2022」(22年9月17日~10月7日/東京・新宿K's cinema)にて4Kレストアされたデジタルリマスター版が上映。

1982年製作/112分/アメリカ
原題または英題:Liquid Sky
配給:アンダソニア
劇場公開日:2022年9月17日

その他の公開日:1985年7月20日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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(C)Slava Tsukerman

映画レビュー

2.0頽廃的美学論

2024年3月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ディーヴォを思い出すようなコミカルで電子的な音楽で始まり、ジグ・ジグ・スパトニックみたいな髪型やファッションの人が登場、パンクっぽいと喜ぶも、

なかなか退屈で、なかなかツマラナイ…

内容も軽薄で低俗だし、特撮技術はコントで使われるようなギャグみたいなクオリティだし(笑)

だめだ、こりゃ…(笑)

早く終わらんかな、早く終わらんかな、と思いながら観てました。

最後まで観て思ったのは、くっだらない映画(笑)

本来なら最後は考察するトコでしょうが、まあイイや(笑)

ただ、ジャケットで分かると思いますが、色使いとかファッションとか、美的センスいい。

主演の女性は、マッケンジー・デイヴィスに似てる(笑)

この映画で、昔は好きじゃなかったディーヴォを思い出して久しぶりに聴いたんだけど、いま聴くとカッコイイ♪

最近ハマっております(笑)

個人的に、ディーヴォを再評価させディーヴォのカッコ良さに気付かせてくれた映画です(笑)

40点ぐらい(笑)

モンゴロ~イド♪モンゴロ~イド♪

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RAIN DOG

2.080年代カルチャーのタイムカプセルとしてのカルト・ムーヴィー。ただし出来栄えのほうは……。

2022年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

新宿K’s Cinemaの「奇想天外映画祭2022」、一本目。
まさに、これぞ「カルト映画」って感じですかね!?
だって、キャッチーでカルトな魅力はあるけど、
おおよそ、褒めるところがない(笑)。

以下の暴言の数々は、パンクやニューウェイブに関して、1ミリの共感も憧れも抱いていない人間による、あくまで極私的な感想としてお読みください。

とにかく、こんだけひっどいモンタージュの映画は、ほんとひっさびさに観たなあ……。
NYで暮らしてるレズのモデルと、お皿大の宇宙船の襲来と、西ドイツから来た宇宙人研究者の様子と、その他の登場するニューヨーカーの生活ぶりが平行モンタージュで描かれるのだが、ほんとうにただ「交互に呈示してる」だけで、いったい何がどうなっているのやら、観ていてもさっぱり伝わってこない。
劇場公開映画で、こんな原初的で原始的な平行モンタージュって、ありなん??
これさあ、映画の紹介欄やパンフに書かれている粗筋を、観ているだけでぱっと理解できる人って、そんなにはいないんじゃないだろうか。(って、ほぼおんなじような感想を、前に『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』でも書いた記憶があるな、俺)

出だしから、男にレイプされるヒロインと、飛んでくるUFOと、ディスコでへたくそなダンスをしてる若者たちが代わりばんこに映し出されるのだが、各シーンのつなぎ方がもう、この世の終わりのようにひどい。
テンポ感もだらだらとしていて、ナラティヴも適当。いま何が起きているのかを観客にわからせる気がまるでない。カメラワークもなりゆきまかせなので、観ていてはっとさせられるところがない。
そして、肝心のセックスしてたら昇天しちゃって快楽物質が結晶化される一連のプロセスも、毎回まったくおなじサーモグラフィ風映像が、何度も何度も何度も繰り返される。
眠い……、つらい……、退屈だ……。
けっきょく、画面に強度がないから、観てて飽きちゃうんだよね。

音楽に関しては、両論あると思う。
とにかくのべつ幕なしに、ピコピコ系のチープな電子音のミニマムな音楽が、ずぅぅぅっと鳴り続けている。いわゆる、テクノとかニューウェイブってヤツだと思うのだが、当方とんと疎いので良しあしがわからない。というか、ただの初期ファミコン音楽が際限なくかかっているようにしか思えない。
この手の曲が好きな人にとっては、サイケな色彩感覚の映像と、本当にひらすらだらだらかかっているピコピコ音楽の取り合わせで、逆にビビっとトリップできるのかもしれない。だから、ある種の「ドラッグ・ムーヴィー」として受け入れられているのかも。
でも、個人的には良さがわからないどころか、映像のチープさと退屈さと素人感を「増幅」させる効果しかなかった。なんぼなんでも、こんな一本調子で延々流す必要ねーだろ、と。

話のネタ自体は、たしかにキャッチーなのだ。
ヒロイン、マーガレットは、「不感症のモデル」。それでいて、男も女もひきつけてやまない中性的な魅力がある。この設定だけで、猛烈にそそられる。
そんな彼女を強引にイカせようとして、その実レイプを仕掛けてくる男たち。
しかし血走った目玉か神経のシナプスのような謎の映像で表現される「目に見えない宇宙人」の介入によって、そんなマーガレットにとある特殊能力が与えられる。
イカせた相手を腹上死させたうえで、脳内から快楽物質の結晶を抽出する力だ。
しかも、二度も死体の処理に困って、「死体なんか、なくなってしまえばいいのに」と心からの祈りをを捧げたら、死体をこの世から消失させる奇跡の力まで授けられることになる。
当初、自分に芽生えたおそろしい能力にとまどい、怯えを感じるマーガレットだったが、やがてその能力を使って、今まで自分を虐げてきたレイピストたちへの報復を開始する。
だが、彼女の能力は、やがて本当に親しい者にも向けられることになって……。

いわゆる、「ヴァギナ・デンタタ」(歯のついた膣)の神話的類型に属するお話である。
ヤると、食べられちゃうアソコ。
御免なさいの伝説的エロ同人誌がぱっと脳裏に浮かぶ俺はタダの変態だが、この手の「男喰い」の話は民話や小噺に山ほど類例があるし、映画でも、まさに「ヴァギナ・デンタタ」テーマそのものの『TEETH』ってホラーがあった。というか、『氷の微笑』や『スピーシーズ』あたりの「ヤリながら殺してくる悪女」が出てくるものは、すべてその同属だといえる。
本作の場合は、この「ヴァギナ・デンタタ」が、「パンク」と「不感症」と「宇宙人」と「ドラッグ」と結びついて、80年代NYカルチャーを象徴する作品となっているってのがミソなわけだ。

ね? すげー面白そうでしょ?
でも、ぜんぜん、観たらそんなことないんですよ、マジで(笑)。

この監督さん、決して「ビジュアルイメージ」への感受性自体は悪くないのだ。
むしろ、センスがあるといっていいと思う。
ちょっと『時計じかけのオレンジ』を思わせるような、マーガレットとドラッグ売人のレズ・カップルが住むフラットの内装。
その真ん中で後光のような蛍光灯を従えて、部屋を支配するお面(日本の能面を思わせる)。
三原色のネオンが支配する、サイケデリックな色彩設定(ダリオ・アルジェントみたい)。
マーガレットの独特のパンキッシュなファッション。
こて塗りのアシンメトリカルなメイク(ヒロインの不安定な内面と防御的な仮面性を表す)。
宇宙人をあらわす、不可思議きわまる抽象描写。
宇宙人から見た、サーモグラフィのような世界認識と、快楽物質生成と結晶化のアニメーション。
クツワムシが髪にとまるシーンや、暗闇でマーガレットがメイクしていくブラック・ライト効果を用いたシーンなど、鮮烈なビジュアル・インパクトを残すショットも結構出てくる。

要するに、部分、部分は、決して悪くない。
でも彼には、それを「つなぐ」能力、つないで「語る」能力が、決定的に欠如しているのだ。
それだけか、というかもしれないが、それだけで、映画は映画としての体を成さない。
映画はモンタージュ、とは、本当によく言ったものである。

……とまあ、あんまりけなしてばかりいても、こっちの感じが悪いだけなので、映画の出来についての感想はもうこれ以上はやめときます(あくまで個人的感想ですので、あしからず……)。

一方で、本作で扱われているテーマが、B級Z級のカルト映画らしからぬシリアスなものであり、しかも現代に直接的につながる部分が多いのは、まごうことなき事実である。
その意味では、真に先進的な映画だった。
そこは積極的に認めておきたい。

レズビアン、ゲイ、トランスといった、ジェンダーにまつわるテーマ。
不感症やドラッグによる快感増強といった、「性と快楽」についてのテーマ。
女性が強く生きることの困難。レイプと復讐といった、性暴力のテーマ。
こういった、ジェンダーとフェミニズムに関する告発的な内容をあからさまに宿した映画が、ロシア移民の監督夫婦の手で、80年代のアングラカルチャーのリアルを記録するタイムカプセルのような低予算映画として世に生み出されたのは、重要な事実である。

なにより、セックスとドラッグに、「死」のイメージが直接的に結び付けられている点は見逃せない。
なぜなら、本作の公開は1982年だが、その前年にあたる1981年に、アメリカで最初のエイズ患者が発生しているからだ。
まさにアメリカのパンク/ニューウェイブ界隈が満喫していた、本作で描かれているようなドラッグに支えられた乱倫カルチャーに、圧倒的で抗いがたい「死の影」がさしていたのが、80年代初頭の空気感だった。
死神の手が野放図な文化と放埓な性に「罰」を与えようとしている。
そんな「不安」に覆われ始めた時代の風潮が、本作にはまざまざと刻印されている。

フェミニズムの勃興と、エイズの流行の始まり。
この二つの80年代初頭を象徴する要素が、本作では「性を武器とするヒロイン」と「ヤレば確実に死ぬ」設定に、そのまま反映されているわけだ。
しかも、そこにパンクとニューウェイブという、アーティスティックな時代の様相も混淆している。
その意味では、文化史的に見れば、当時のニューヨーカーの心理的な閉塞感と不安感を、「宇宙からの侵略」というティピカルな陰謀論に置き換える形で描き出してみせた興味深い作例、といえるのかもしれない。

主演のアン・カーライルには、たしかに不思議な魅力がある。
整った美人顔だが、手長足長で中性的。
ただ、演技はしょうじきあんまりうまくない。というか、ぶっちゃけ棒で辛い。
むしろ、マーガレットの彼女であるドラッグ売人エイドリアンを演じるポーラ・E・シェパードのほうが、演技面ではアン・カーライルを圧倒している。無名の女優さんだが、ピーキーにぶっとんでいて、あり方そのものが80年代的なエイドリアンの「危うさ」をうまく表現していたと思う。
まあ、アン・カーライルは、あれはあれでよかったんだろう。無機質で中性的で殻にこもっているような彼女のあり方は、まさに当時の「最高にイカした」理想の美を体現していたわけだから。

なお、80年代の高層ビル群に蝟集するニューヨーカーたちを、対面するビルから、西ドイツから来た宇宙人研究者が望遠鏡で(ユダヤ人女性とともに)「観察する」という構図は、まさにNYとスラヴァ・ツッカーマン監督の関係性の反映でもある。
ニューヨーカーたちが、ディスコで踊り、ドラッグに興じ、リズムボックスに乗って乱倫に身を任せるいっぽうで、それを窃視するドイツ人とユダヤ人のコンビは、べったべたのヨーロッパ艶笑劇のようなダサい男女の駆け引きを繰り広げているというのも、おそらくは意図的な対比だろう。
最先端の享楽的なNYカルチャーに触れて衝撃を覚える、お堅い研究者肌の異邦人。
二つのビルのあいだでは、湛えられる空気も、流れている時間も、大いに異なる。

その二つのビルを、40数年後のまた別の空気と時間のなかで生きる私たちが、これは「カルト映画」だとの先入主をもって、眺めている。しかもアメリカからではなく、遠く極東の日本から。
失われた80年代カルチャーへの追憶と郷愁。
今もヴィヴィッドな、ジェンダーとフェミニズムにまつわる諸問題。
カルトという枠組みのなかで、過去と現在が交錯する。

そう考えると、作例としては、やはり興味深いし、とくに若い人にとっては、観る価値のある映画ではあるんだろうね。
できることなら、もう少し「うまくやってほしかった」というのが、正直な感想だが(笑)。

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じゃい

3.5性器で殺せ!

2022年9月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

萌える

シンセでエレクトロなピコピコ音が奇妙にもニューウェイヴ色が際立つ映像のLookに魅了されながら今の時代にも通用するようなファッションが奇抜に乱れる、ロンドンパンクを想起させるモデルのメイクにパンクスが殺されモッズとロッカーズの抗争をセリフに、ヘロインを求める姿無き宇宙人に女性の復讐が如く男たちをセックスで殺す両性具有的な魅力を男女二役で演じるアン・カーライルの存在感が素晴らしい。

家の電気カバーみたいなUFO、不気味なお面が印象的でネオン管の色彩が煌びやか、サーモグラフィーみたいな映像と陳腐なSF描写、ギリギリなエロが絶妙に劇中流れる音楽がインパクト大、物語は単純でありながら難解さが見え隠れ、この世界観と映像にキマってしまう不思議な感覚を味わえる!?

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万年 東一