欲望の翼

ALLTIME BEST

劇場公開日:2023年12月8日

欲望の翼

解説・あらすじ

ウォン・カーウァイ監督が1990年に手がけた長編第2作で、1960年代の香港で若者たちが織り成す恋愛模様を疾走感あふれる映像美で描き、カーウァイ監督の名を一躍世界に知らしめた青春群像劇。

ヨディはサッカー場で売り子をしていたスーに声をかけ、ふたりは恋に落ちる。しかしヨディは、自分が実の母親を知らないことに複雑な思いを抱えていた。スーと別れたヨディは、ナイトクラブでダンサーとして働くミミと一夜をともにする。部屋を出たミミはヨディの親友サブと出くわし、サブは彼女に一目ぼれする。夜間巡回中の警官タイドはスーに思いを寄せるが、スーはヨディのことを忘れられずにいた。キャストにはレスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、トニー・レオン、アンディ・ラウ、ジャッキー・チュンら香港映画界を代表する人気スターが集結。

日本初公開は92年。2018年2月、Bunkamuraル・シネマほかにてデジタルリマスター版が公開。2023年12月、特集上映「ウォン・カーウァイ ザ・ビギニング」にて4Kレストア版が公開。

1990年製作/95分/G/香港
原題または英題:阿飛正傳 Days of Being Wild
配給:ハーク
劇場公開日:2023年12月8日

その他の公開日:1992年3月28日(日本初公開)、2018年2月3日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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(C)1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited. All Rights Reserved.

映画レビュー

4.5地上に降りる影

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

ウォン・カーウァイ監督作品。

売り子のスー(マギー・チャン)が、一時は恋仲になるヨディ(レスリー・チャン)に言われる「夢で会おう」という言葉から、眠れず闇夜を彷徨うこととは対照的に、映像美によりまどろみへ誘われるそんな素晴らしい作品でした。

ヨディが口にする「脚のない鳥は飛び続け、疲れたら風の中で眠り、生涯で1度だけ地上に降りる。それが最後の時」は本当に重要なセリフだ。
本作は、ヨディを中心とした若者の恋愛模様を描いた群像劇である。彼/彼女らは、「愛されたい」「自分のものにしたい」そんな欲望を翼にして恋路を飛行する。その飛行はどこまでも遠く高くいけそうである。しかし地上を見下ろせば、別れや死の影が必然的につき纏っているのである。

マギー・チャンがとにかく好きだし、トニー・レオンの登場には驚いた。
『花様年華』を観直したくなりました。

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まぬままおま

4.0香港映画の“熱気”が伝わってくる奇跡的な傑作

2020年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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和田隆

5.0ウォン・カーウァイの作風が確立された傑作

2025年8月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:その他、映画館

斬新

癒される

ドキドキ

ウォン・カーウァイの監督第2作で、カーウァイの名前を初めて知った作品。邦題とポスターデザインのかっこよさにしびれて、直感的に「ぜひ観たい」と思ったんだが、当時僕の住んでた地方はその地方一の大都会だったにも関わらず劇場公開がされなかった上に、ビデオもなぜかレンタルビデオ店に置かれず……。東京の友人の家に遊びに行った時にレンタル店にあるのを見つけてうらやましいと思ったことを覚えている。その後、実家のある中小都市に帰った後、『恋する惑星』の大ヒットに伴い、ビデオが低価格再発売されてレンタル店にも置かれたため、ようやく観ることができた。その後になって地元映画館でも何度か上映されている。

映画は非常に素晴らしかった。映画の文法そのものを大幅に解体し、脚本を無視した明確な起承転結を持たない構成、説明描写よりも作品の空気や雰囲気を重視して観客の想像に委ねるスタイル、撮影監督のクリストファー・ドイルによるスタイリッシュな映像、マヌエル・プイグや村上春樹などの文学作品から影響を受けた詩的なモノローグとラテン音楽の多用、誰もが誰かに片想いという恋愛群像劇など、カーウァイ独自の作風がこの映画で確立している。

レスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、アンディ・ラウ、ジャッキー・チュン、トニー・レオンなどといった大スターの共演も後々まで続くカーウァイ映画の特徴だ。当時の香港映画界は娯楽映画一辺倒で彼らの演じる役柄は良くも悪くも非常に類型的なものばかりだったが、そんな中でカーウァイは脚本家出身でありながら脚本を無視して即興的な演出と編集で彼らの個性に合わせた役柄を創造していったのがとても新鮮に感じられた。実際、僕はこの映画を初めて観た時に、彼らは初めて彼ら自身にふさわしい役を演じ、一代の当たり役を得たと感じた。ただ、そういうある意味行き当たりばったりな作り方は製作を滞らせることもしばしばで、『楽園の瑕』や『2046』などのように完成まで3年も5年もかかってしまうことも多く、俳優側も大いに疲れるもののようだ。

もう1つのカーウァイ映画の特徴として、前記の通り劇中の恋愛のほとんどが成就しないというものがある。カーウァイ映画に出てくる恋愛はほとんどが片想いで、まれに両想いの場合もあるが、両想いの場合ですらその恋愛は成就しない。もっともそれはカーウァイ映画に限ったことではなく、日本や韓国を含めた東アジアの作品全体に当てはまることなのかもしれないが、カーウァイ映画では特にその傾向が強い。

個人的にはこの映画はカーウァイ映画の中でも1番の傑作で、低価格再発売VHSからDVD、そして4Kレストア版Blu-rayに買い換えて、今でも数年に1回は観返している。4Kレストア版で久しぶりに映画館で観れたのもとてもうれしかった。

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バラージ

4.0この空気感に浸る

2025年7月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

斬新

じめっとした部屋。汗、雨、闇。
けだるさ。
若い男女の恋愛模様。

台詞に意味はあっても、ストーリーは問題じゃない。
この映画が纏う空気感に浸れるかどうか。

汗ばむ部屋では投げやりになる。
雨に打たれれば自暴自棄になる。
夜道を歩けば打ち明け話もする。

継ぎ接ぎのようにつなぎ合わされた場面場面。どこかに自分も引っかかる場面がある。
そして、自分が何故マギー・チャンのことが好きなのか、この作品を観て分かった。とても個人的な過去の経験が呼び起こされた。

自堕落なのに女を惹きつけるレスリー・チャンの不思議な魅力とアンディ・ラウのキリッとした二枚目ぶり。
でも最後のトニー・レオンはずるいと思う。え、何?とぐっと身を乗り出して見入ってしまった。そしてやたらとタバコの箱をしまうのに笑ってしまった(笑う場面でないのに)。

もう今では絶対撮れない画。出せない空気感。
そしてまた、花様年華を観たいと思ってしまった(スーに会いたい)。

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TS