息子と恋人

劇場公開日:

解説

D・H・ローレンスの小説『息子と恋人たち』の映画化。「にがい勝利」のギャビン・ランバートとT・E・B・クラークが共同脚色し、「黒水仙」などの元キャメラマン、ジャック・カーディフが監督した。撮影は「年上の女」のフレディ・フランシス。音楽は「武器よさらば」のマリオ・ナシンベーネ。出演は「自由の大地」のトレヴァー・ハワード、子役時代に「印度の放浪児」があるディーン・ストックウェルのほか、ウェンディ・ヒラー、メアリー・ユーア、ヒーザー・シアーズら。製作はジェリー・ウォルド。

1960年製作/アメリカ
原題:Sons And Lovers
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1960年9月21日

ストーリー

1920年、イギリス。中部ノッティンガム州の炭鉱町ベストウッド。モレル家の当主ウォルター(トレヴァー・ハワード)は坑内夫だ。妻ガートルート(ウェンディ・ヒラー)との間に長男ウィリアム・次男ポール(ディーン・ストックウェル)、3男アーサーがある。長男はロンドンの商社に勤め、3男は父と同じ坑内夫だ。次男ポールは母親に愛され、画家になろうと思っている。父は坑内夫にしたかった。大酒飲みの夫に、妻の心は冷えていた。町の近くの農家の内気な娘ミリアム(ヒーザー・シアーズ)はポールの恋人だ。信仰にコリ固まった母のもとでのつらい生活をポールに訴える。その日、炭鉱が爆発し、アーサーが死んだ。葬式に、長男が帰ってきた。長男は帰り際に、ある女と婚約したと母に告げた。ポールはノッティンガムの絵画展に母を連れ、自分の作品である父の肖像を見せた。ミリアムもきた。母は2人の仲を喜ばなかった。ポールの絵は受賞し、金持ハドロックがパトロンになり、ロンドンでの修行をすすめた。酒を飲んだ父の仕打がひどくなり、ポールはロンドン行きを思いとどまった。やがてジョーダン商会に勤め、そこに勤める年上の女クララ(メアリー・ユーア)にひかれる。同じ勤めの彼女の夫ドウズは素行が悪く、2人は別居しているのだ。ある夜、ミリアムと水車小屋で結ばれるが、ポールは魂の愛しか判らぬ彼女に失望した。クリスマスに長男が許婚者を連れて帰ってきた。翌日、ポールはミリアムに別れようといった。街頭で婦選運動をしていたクララにあった。ポールは夕食に誘い、遊びまわり、彼女の家に泊まってしまう。クララは1週間の休みをとって秘密に旅行しようといった。海岸での満たされぬ休暇を終えたポールを、ドウズが待ちかまえ、彼を殴り倒した。傷ついてたどりついた家では母が病床についていた。春の水仙を見てから死にたいといった。ポールは水仙を描いた。それを見ずに、母は死んだ。ポールは父に励まされ、新しい人生をふみだす決心をした。ミリアムに別れを告げ、ロンドンへ発った。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第33回 アカデミー賞(1961年)

受賞

撮影賞(白黒) フレディ・フランシス

ノミネート

作品賞  
監督賞 ジャック・カーディフ
男優賞 トレバー・ハワード
助演女優賞 メアリー・ユーア
脚色賞 ギャバン・ランベール T・E・B・クラーク
美術賞(白黒)  

第18回 ゴールデングローブ賞(1961年)

受賞

最優秀監督賞 ジャック・カーディフ

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) トレバー・ハワード
最優秀主演男優賞(ドラマ) ディーン・ストックウェル
最優秀助演女優賞 メアリー・ユーア
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2.0 ポールにはミリアムという恋人がいたのだが、彼女の母親は厳粛なカト...

2021年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ポールにはミリアムという恋人がいたのだが、彼女の母親は厳粛なカトリック信者であるが故に体を許そうとはしない。ミリアム自身もそのDNAを受け継ぎ、精神的な愛によってポールを支えていけると信じていたのだ。ロンドン行きの話が持ち上がったことで、ポールを引き止めるため体を許すが、苦痛の表情しか見せないミリアムに対し愛も冷めてしまった・・・「セックスは子供を生むために耐える苦痛」と主張する母親の頑固さも印象的。

 ロンドンへ来ないかとスポンサーに誘われるものの、ポールは地元の婦人服工場で働くことになり、そこで知り合った人妻クララと恋に落ちる。クララは婦人の権利主張をする運動家でもあり、母親よりも強い性格に惹かれたのか、上手く行くことのない恋に溺れるポール。「自由恋愛っていいなぁ~」と実感しただけにとどまったようだ・・・

 ラストにはまたミリアムと仲直りか?と思わせておいて、母親の死が強烈にポールを閉ざされた闇に落としいれ、画家を目指す心さえもあやふやな青年になった。ミリアムがとても可哀想に思えるラスト。これが現実なんだと突き放すかのようなエンディングは冷たい風が吹いているようにも感じてしまう。終わってみると、何を言いたかったのかさっぱりわからない映画だったが、これから恋をする若者たちへの教訓でもあったのか・・・虚しくなるだけかも・・・

 まぁ、原作が『チャタレイ夫人の恋人』のロレンスだから、エロじゃないと面白くない内容なのかもしれないし、sonsと複数形になってることから、ポールだけを描いた内容では単なるマザコン息子としか映らないようでもあった。

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kossy

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