Mr.レディMr.マダム

劇場公開日:

解説

南仏サントロぺを舞台にオカマ・クラブを経営する中年男2人が繰り広げる奇妙な人間関係をコメディ・タッチで描く。製作はマルチェロ・ダノン、監督は「プレステージ」のエドゥアール・モリナロ。ジャン・ポワレの原作を基にフランシス・べべール、エドゥアール・モリナロ、マルチェロ・ダノンとジャン・ポワレが脚色。撮影はアルマンド・ナンヌッツィ、音楽はエンニオ・モリコーネ、編集はロべール・イスナルドン、美術はマリオ・ガルブリア、衣裳はピエロ・トシが各々担当。出演はウーゴ・トニャッティ、ミシェル・セロー、ミシェル・ガラブリュ、クレール・モーリエ、レミー・ローラン、べニー・ルーク、カルメン・スカルピッタ、ルイザ・マネリなど。

1978年製作/フランス・イタリア合作
原題または英題:La Cage Aux Folles
配給:ユナイト
劇場公開日:1980年5月10日

ストーリー

夜のサントロぺで人気を集めている純オカマ・クラブ“狂人の檻”。経営者は、この道20年というべテランのレナト(ウーゴ・トニャッティ)。店の看板スター“ザザ”ことアルバン(ミシェル・セロー)は、レナトの愛人で、店の上階には、2人の愛の巣がある。面倒を見ているのはオカマの黒人メイド、ジャコブ(ニー・ルーク)。最近、アルバンは、レナトが自分にかまってくれないことを嘆き、気分が沈みがち。レナトがアルバンをかまっていられないのには理由があった。レナトが20年前、たった一度のまちがい(?)からもうけたハンサムな息子ローラン(レミー・ローラン)がパリからやってきたのだ。化粧を落とし、息子と再会を喜ぶレナト。しかし、ローランが結婚したいと言ってから状況は一変した。しかも、相手が、道徳尊守をスローガンとする政党“明朗道徳党”書記長の一人娘というから、ますますややこしくなった。翌日、このことをレナトから聞いたアルバンは、自分が母親のようにして育てたローランが女に盗られるのは我慢できない、と断固としてローランの結婚に反対した。問題は、花嫁アンドレア(ルイザ・マネリ)の側にもあった。というのは、当の父親シャリエ氏(ミシェル・ガラブリュ)がこの結婚に猛反対しているのだ。しかし、そのころ、明朗道徳党首が、こともあろうに黒人娼婦のべッドでトン死するというスキャンダラスな事件が起こった。マスコミの攻勢を受けることになったシャリエ氏は、なんとかまるくおさめるために名案を思いついた。それは、娘の結婚を利用し、派手な祝宴でマスコミの目をごまかそうというものだ。とんだ事件でローランとアンドレアの結婚話が進展したが、まだ大きな問題が残されていた。アンドレアがローランのことを聞かれて思わずイタリア大使館付の外交官だと口ばしってしまったのだ。アンドレアから連絡を受けたローランは、レナトに事情を説明し、レナトは息子のために一肌ぬぐことを決心する。ワイセツ極まりない室内装飾は一掃され、母親として実際に生みの母である昔の妻シモーヌ(クレール・モーリエ)にも連絡をつけた。いよいよシャリエ一家がマスコミの追跡をまきながらレナトの家にやって来た。母親を装うアルバンに、シャリエ氏らはトンと気づかず、冷汗もののレナトもひとまず胸をなでおろした。しかし、騒ぎはそれからはじまった。シモーヌがローランの母よろしく現われたのだ。それに、階下のバーのゲイたちまでが上がって来たのだ。部屋はメチャメチャに混乱したが、シャリエ氏は外に出ることができない。外は追跡してきた報道人がつめかけているのだ。そこで、シャリエ氏は、何と女装して出ていくことになった。数日後、時れてローランとアンドレアの結婚式が行なわれた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第37回 ゴールデングローブ賞(1980年)

受賞

最優秀外国語映画賞  
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映画レビュー

3.5舞台のヒット作のケッサクコメディに観るセローとトニャッツィの上品な演技

2021年7月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ウーマン・リブ運動を反映した女性映画が確立しつつある今、ゲイの自由奔放で切実な生き方をコメディとして描いたフランス映画の斬新さ。元は舞台劇がヒットしたお蔭で映画化されたようだが、オリジナルでは確かに勇気が要ったと想像する。最近コメディのいい作品が無かったので十分楽しませてもらった。この映画を観ながら、ピエトロ・ジェルミの傑作「イタリア式離婚狂騒曲」を想起した。笑いの中に強かな人間表現があり、物語としても優れていたからである。
この映画において最も特筆に値するのは、主人公ザザを演じたミシェル・セローの文字通りのオカマ振りであり、役者として一流の演技を見せてくれる。と言って相手役のウーゴ・トニャッツィが見劣りがする訳ではなく、男性的な外見に一寸した女性の仕草を上手く表現している。彼が男らしいところをセローから要求されて、ジョン・ウェインの格好を真似るところは爆笑してしまった。兎に角この二人の上品な演技のお蔭で、舞台観劇のお楽しみに近い満足感が生まれたと言えるだろう。
エドアール・モリナロ監督は、ラスト15分の畳み掛けた笑いの連続の演出が良かった。ミシェル・ガラブルのアップのカットインは映画ならではの技法で、舞台ではできない表現である。
  1980年 5月25日  ニュー東宝シネマ2

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Gustav

4.0この時代ならではのお上品(?)なゲイが楽しめる

2017年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

とにかく女性より女性らしいアルバンがかわいいのなんの。
ヒステリックになるもそれだけ愛していて
何回もコロっと言いくるめられてしまうアルバン。
フランス語で鑑賞した後、
英語版もあったので聞いてみたがやっぱり合いませんね。
フランス映画独特の映像とBGMも○。
普段女性らしい姿のアルバンが最後スーツをビシっと決めている姿はギャップ萌え。
途中の男性になるよう心がける練習のシーンは爆笑。
二人共かわいいです。
この時代ならではのお上品(?)なゲイが楽しめる。

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Gomez

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