まぼろしの市街戦

劇場公開日:2018年10月27日

まぼろしの市街戦

解説・あらすじ

「リオの男」「カトマンズの男」などで知られるフランスの名匠フィリップ・ド・ブロカが1967年に手がけ、戦争の狂気や愚かしさを笑い飛ばすかのごとく、ユーモアを交えて描いた名作。第1次世界大戦末期、敗走中のドイツ軍が、占拠したフランスの小さな町に時限爆弾を仕かけて撤退。進撃するイギリス軍の兵士プランピックは、爆弾解除を命じられて町に潜入するが、住民たちも逃げ去った町では、精神病院から解放された患者とサーカスの動物たちが解放の喜びに浸り、あたかもユートピアのような生活が営まれていた。プランピックは爆弾発見をあきらめ、最後の数時間を彼らとともに過ごそうと死を覚悟するが……。日本では67年に劇場初公開。2018年10月には4Kデジタル修復版でリバイバル公開。

1967年製作/102分/フランス
原題または英題:Le roi de coeur
配給:パンドラ
劇場公開日:2018年10月27日

その他の公開日:1967年12月16日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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(C)1966 - Indivision Philippe de Broca

映画レビュー

4.5 こんなに綺麗になるなんて!

2018年10月30日
Androidアプリから投稿

一部の映画ファンの間で密かに傑作として語り継がれてきたこの作品が、まさかこんな高画質で劇場のスクリーンで観られることになるとは!

なにせ昔出回っていたのは冒頭が切れているバージョンだったりして、それが堂々と流通していたのだから呆れる。

今観ると、精神病院の患者たちと戦争で人殺しをする人たちと、狂ってるのはどちらですかねというテーゼはいささか短絡的な気もするのだが、それでも動物園の猛獣と精神病院の患者たちだけが闊歩する町という設定のイカレ具合と、イマジネーションの豊かさには見惚れずにいられない。

もしかしたらクストリッツァの猛獣の使い方はこんなところから影響を受けてるのかもなんてことを考えられるのは、長い歳月を超えていく観直す特権なのかもしれない。

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村山章

4.0 【”ハートの王様”今作は、戦争の愚かしさを思いっきり揶揄した、ブラックユーモア溢れる反戦コメディである。】

2025年10月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

幸せ

■第一次大戦末期、敗走中のドイツ軍はフランスの小さな街に大型時限爆弾を仕掛けて撤退する。
 イギリス軍の通信兵プランピック(アラン・ベイツ)は爆弾解除を命じられ街に潜入するも、住民が逃げ去った街では精神科病院から解放された患者とサーカスの動物たちが喜びに浸っていた。
 そこで、彼は患者たちから”ハートの王様”と呼ばれ、愛され”町の外は恐ろしいから出てはイケナイ。”と言われるのである。
 プランピックは、苦労してドイツ軍が隠した爆弾を見つけ処理する。
 ドイツ軍は戦略が成功したと思い、町に戻り、様子を見に来たイギリス軍と鉢合わせし、至近距離から撃ち合い、全滅するのである。精神科病院の患者たちが見守る前で・・。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今作は、反戦映画なのであろうが、何処か牧歌的である。

・そして、何よりもシニカルなのは、精神科病院から解放された患者たちの方が、ドイツ軍、イギリス軍よりも余程人間らしく、生活を謳歌する姿であろう。

・プランピックはイギリス軍の同盟軍であるフランス軍のお偉いさんから勲章を貰い、”今から又、戦争だ!”と命令され、フランス軍と共に行進していくのであるが、彼だけが引き返して来て、精神科病院に戻った患者たちと”ハートの王様”として、幸せそうに暮らすのである。

<今作は、戦争の愚かしさを思いっきり揶揄した、ブラックユーモア溢れる反戦コメディなのである。>

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NOBU

5.0 人間を嘲笑う重たい作品だが、鮮やかな色合いに心が救われる。

2025年5月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

斬新

1966(日本は1967)年公開、フランス・イタリア映画。

【監督】:フィリップ・ド・ブロカ
【脚本】:ダニエル・ブーランジェ、フィリップ・ド・ブロカ
【原案】:モーリス・ベッシー

主な配役
【プランピック二等兵(ハートの王様)】:アラン・ベイツ
【コクリコ(王妃)】:ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド
【アレクサンダー・マクビベンブルック大佐】:アドルフォ・チェリ
【公爵夫人】:フランソワーズ・クリストフ
【エグランティーヌ夫人】:ミシュリーヌ・プレール
【ハンバーガー少尉】:マルク・デュディコール
【ヘルムート・フォン・クラック大佐】:ダニエル・ブーランジェ

※監督のフィリップ・ド・ブロカが、アドルフ・ヒトラー役で出演している。

1.子供の頃から何度も観た

本作を初めて観たのは、地上波の放送だったと記憶している。

淀川長治さんの番組か、はたまた、水野晴郎さんのそれか、増田貴光さんか、あるいは国営放送か。

※Wikipediaによると、1974年日曜洋画劇場らしい。
ということは淀川長治さんだ。

いずれにしても、複数回、地上波で観た。

戦争映画がとても好きだったので、
最初は肩透かしを食らった感じになったが、不思議な世界観に惹き込まれていく。

カルト映画に分類されることもある本作を、地上波で放送するのはなかなか良いセンスだ。

最近、改めてU-NEXTで観ることができた。

2.反戦のメッセージだけではない

◆平和の象徴である鳩(伝書鳩)を射殺したり、雑に扱う
◆暗号名:タラはフライが好き(codはからかう、騙すの隠語でもある)
◆教会でのニセ戴冠式
◆王妃になる女性の源氏名?はコクリコ(ひなげしの花言葉は思いやり、いたわり)
◆ハートの王様は、愛の象徴

人間が勝手に決めたシンボルや意味合い、儀式を笑いものにし続ける。

ドイツ軍とイギリス軍が、お互いに街の広場で規律正しく撃ち合って全滅するシーンあたりまで来ると、
本作の世界観を自分のものとして飲み込んでいるからなのか、
本当に鳥肌が立ち、背筋がゾクゾクしてしまう。

単なる反戦ではなく、人間の所業すべてを嘲笑う。
重たいメッセージだが、
色とりどりのコスチューム、小道具に救われる。

3.まとめ

全裸で鳩だけを持ち医療施設の前に立つ主人公。
子供の頃も、今も、
このシーンに心から安堵する。
コクリコの無垢な表情も素晴らしい。

これでいいのだ。
☆5.0

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Haihai

4.0 イエローのチュチュで綱渡り

2024年10月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

スラップスティック。

のちの、モンティパイソン、テリーギリアム、ティムバートンに連なるサムシングがみられた。
フィッシャーキング、ミス・ペレグリン

戦争場面がっつり、
能天気カーニバルバッチリ。

理念、しきたり、取り越し苦労で安心を希求し、
死に脅かされる
あたまでっかちな者たちと

情熱、刹那に身を委ねる、からだいっぱいに生を謳歌する
ひとびとの

コントラスト。

いやあ、撮影というか、建築の素晴らしさ。
隊列やパレードの色彩、音の違い、
構図の見事さ。

反戦映画として最高ですが、
それ以上に映画として最高

ジュネヴィエーブ・ビジョルド、のちのアメリのオドレイトトゥに似てる

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青樹礼門