ボー・ジェスト(1927)
解説
パラマウント社の26ー27年度特作品でパーシヴァル・クルストファー・レン氏作の小説を映画化したもの。「ある乞食の話」「シンデレラ物語」等を監督したハーバート・ブレノン氏がジェン・ラッセル氏改作ポール・ショーフィールド氏脚色の台本によって監督した。主役は「ウインダミア夫人の扇」「夢想の楽園」等出演のロナルド・コールマン氏が演じ「沙漠颪(1926)」出演のニール・ハミルトン氏、英国から来た新進のラルフ・フォープス氏、「弥次喜多従軍記」出演のメアリー・ブライアン嬢、「心の合鍵」出演のノア・ビアリー氏、アリス・ジョイス嬢、ウィリアム・ボウエル氏、ノーマン・トレヴァー氏、ヴィクター・マクラグレン氏等の素晴らしいオール・スター・キャストが見ものである。
1927年製作/アメリカ
原題または英題:Beau Geste
ストーリー
北アフリカのサハラ砂漠中の砦ザンデルヌウフがアラビア人に襲撃され兵士が塵殺された時救援に来たフランス「外国人部隊」の一隊は奇怪事に遭遇した。第一に戦死兵が皆武器を持って立っていたこと、第二に砦を偵察に行った喇叭卒が失踪したこと、第三に軍曹と兵卒との死体がたちまちの間に消失したこと第四に救援部隊が引き揚げて暫時にして砦が炎上してしまったこと。この謎を解くために物語りは約20年昔の英国に戻る。ブランドウン荘の主人ヘクターは妻をめとると間もなく単身中国に旅してしまった。残された婦人は時々の夫への送金や姪イソベルと亡き姉の遺児3人とを養育するために苦心せねばならなかった。亡き姉の遺児ジェスト兄弟は長兄が夫人からボーと呼ばれるマイケル、次兄がディグビー、末弟がジョンと名付けられた軍人の子息だけに戦争ごっこが好きで仲の良い兄弟は、誰が先に死んでも海賊式火葬をして遣るという約束をしていた。夫人は彼らの養育費を捻出するためにあるとき家実の青玉を印度王族に売り、模造品を手元に残した。ボーは幼心にもその間の事情を察した。その後十数年を経て中国のブランドンは夫人に青玉を売り返して金を送れといって来た。夫人の困却を知ったボーはその夜家族が集まった席上に取り出された青玉を突然消灯して盗んでしまった。そして誰が盗んだが判明せぬまま一同は就寝した。その夜半ボーはディグビー宛に書き置きを残して家出した。ディグビーも兄の遺書を見ると直ちにジョン宛に書き置きを残して家出した。夜明け近くに2人の兄の家出を知ったジョンも兄を思って家を出た。恋人イソベルもジョンを止める暇もなかった。3人は3人共幼い頃ブラントン夫人の友のポオジョレエ少佐に聞いた人外境のフランス「外国人部隊」の兵卒となった。部隊の軍曹ルジオンはジェスト兄弟が宝石泥棒であることをイタリア人のボルディニから聞き、ディグビーを他部隊に遣り、ボーとジョンとを己の部隊に加えサハラ砂漠中のザンデルヌウフ砦に赴いた。軍曹の暴戻を憤った兵卒の間に氾濫が起ころうとした折りアラビア人が襲撃して来た。衛兵は次々に倒れボーとジョンと軍曹のみが生き残ったが間もなくボーは敵弾を受けて倒れた。貧欲な軍曹は青玉を盗んだが意外にもそれが偽物であることがボーの手記で判った。兄の骸を汚されて憤ったジョンは軍曹を刺殺して砦を逃れ出た。そのあとに偵察に来た喇叭卒はディグビーですべてを察した彼は約束にしたがって軍曹を殉死の犬に見立ててボーを海賊式火葬にした。かくて砦は燃え落ちたのである。ディグビーは偶然砂漠中で弟ジョンに邂逅し相共にボーのために泣いた。2人は更に戦友2名に逢ったが水の不足と1頭の駱駝の死とのため4人の旅行の不可能を知った。ジョンは英国に帰ってボーの遺した手記をブラントン夫人に示した。ボーは養育の恩ある夫人のため盗賊の汚名を被って死んだのであった。ジョンは自分のために命を捨ててくれた2人の兄に感謝しつつイソベルと幸福なる生涯に入った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ハーバート・ブレノン
- 脚本
- ジョン・ラッセル
- 脚色
- ポール・ショーフィールド
- 原作
- パーシバル・クリストファー・レン
- 撮影
- J・ロイ・ハント