ベント 堕ちた饗宴
劇場公開日:1997年10月4日
解説
第二次大戦中にナチス収容所内での同性愛者の男たちの悲劇。79年に初演され話題になったマーティン・シャーマンの同名作(原作・劇書房刊)を、映画は本作がデビューとなる、舞台監督として著名なショーン・マサイアスが映画化。製作はマイケル・ソリンジャーとディキシー・リンダー。製作総指揮はサラ・ラドクリフ、ヒサミ・クロイワの共同。脚本は「カーテンコール」のマーティン・シャーマン、撮影はテオ・アンゲロプロス作品のほか「太陽と月に背いて」のヨルゴス・アルバニティス、音楽は「海辺のアインシュタイン」のフィリップ・グラス、美術はスティーヴン・ブリムソン・ルイス、編集はイザベル・ロレント、衣裳はスチュワート・ミッチャムがそれぞれ担当。主演は「クローズ・マイ・アイズ」のクライヴ・オーウェンと「巨人と青年」のロテール・ブリュトー。ローリング・ストーンズのヴォーカリスト、ミック・ジャガーが女装の酒場歌手役で特別出演したことも話題に。
1997年製作/116分/イギリス・日本合作
原題または英題:Bent
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1997年10月4日
ストーリー
夜毎、官能に満ちた世界が繰り広げられるベルリンのクラブで働くマックス(クライヴ・オーウェン)。突撃隊の制服を着た金髪の青年ウルフ(ニコライ・ウォルドー)と一晩過ごした翌朝、マックスは同棲相手のダンサーであるルディ(ブライアン・ウェバー)の嫉妬の視線にさらされる。それを親衛隊の激しい靴音とドアのノックが打ち破る。ウルフはナイフで刺殺されるが、マックスとルディは間一髪アパートを脱出する。2人はグレタ(ミック・ジャガー)に助けを求めるが、彼はジョージと名前を変え、ゲイの生活を清算していた。そしてヒトラーの命により同性愛者は殺されることを知らされる。2人は各地を転々と逃げ回る。ゲイであるマックスの叔父(サー・イアン・マッケラン)がアムステルダム行の切符とパスポートを1人分だけ用意してくれるが、マックスは2人でなければ駄目だとこれを断る。ある晩、森の中でゲシュタポに捕えられ、収容所送りになる。インテリの象徴である眼鏡をかけていたルディは列車の中で拷問される。マックスは助けようとするが、ホルスト(ロテール・ブリュトー)という同乗者に止められ、現実ではないと自らに言い聞かすことでルディを見殺しにする。マックスは人間としての尊厳を捨て、生き延びるために取り引きしようと決意する。ゲシュタポに13歳のユダヤの少女を強姦し、ゲイでないことを証明しろと言われ、これに応じ、ピンクの三角(最下位の同性愛者であることを示す)ではなく、黄色のダビデの星を手に入れる。収容所に着いて、マックスが手にした仕事は石を運び、積み上げるとそれを元の場所に戻すという単純作業で、それもゲシュタポと取り引きしたものだった。さらにマックスはゲイであるホルストを相棒に呼ぶ。2人は互いに見つめあうことも触れあうこともできないが、言葉だけで愛を交わしあう。季節が猛暑から雪の積もる酷寒へと移り変わり、ホルストは咳をするようになり、彼の体力も気力も衰えていった。ホルストのためにマックスは新任の将校に近づき薬を手にするが、翌朝そのことが発覚し、ホルストは銃殺される。マックスはホルストの遺体からピンクの三角の付いた囚人服を脱がせ、自らの意志でそれを着て電気の流れる有刺鉄線につかまるのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ショーン・マサイアス
- 脚本
- マーティン・シャーマン
- 原作
- マーティン・シャーマン
- エグゼクティブプロデューサー
- サラ・ラドクリフ
- ヒサミ・クロイワ
- 製作
- マイケル・ソリンジャー
- ディキシー・リンダー
- 共同製作
- ショーン・マサイアス
- マーティン・シャーマン
- 撮影
- ヨルゴス・アンヴァニティス
- 美術
- スティーヴン・ブリムソン・ルイス
- 音楽
- フィリップ・グラス
- 編集
- Isabelle Lorente
- 衣装デザイン
- スチュアート・ミッチャム
- 字幕
- 清水馨
- 字幕監修
- 青井陽治