ベロニカ・フォスのあこがれ

劇場公開日:

解説

実在した女優シビレ・シュミッツをモデルに、人々に忘れられた女優ベロニカ・フォスの悲惨な後半生を描く。82年ベルリン映画祭でグランプリを受賞。製作はトーマス・シューリー。監督は82年6月に麻薬中毒のために死亡したライナー・ヴェルナー・ファスビンダーで、この作品は「マリア・ブラウンの結婚」(78)、「ローラ」(81、日本未公開)と並んで戦後ドイツ史三部作と称していた。脚本はペーター・メルテスハイマーとペア・フレーリッヒ、撮影はザヴィエル・シュワルツェンベルガー、音楽はペール・ラーベンが担当。出演はローゼル・ツェッヒ、ヒルマール・ターテ、コーネリア・フロベス、アンネマリー・デューリンガーなど。リアルト・フィルム、トリオ・フィルム、マラン・フィルムが製作に協力している。

1982年製作/115分/西ドイツ
原題または英題:Die Sehnsucht der Veronika Voss
配給:大映インターナショナル
劇場公開日:1983年7月30日

ストーリー

1955年、ミュンヘン。スポーツ記者のロベルト(ヒルマール・ターテ)は、どしゃ降りの雨の夜、茫然と濡れそぼっている女に出会った。若くはないが、妖しい雰囲気と端正な顔立ちが彼を惹きつけた。傘をさしかけ、一緒に電車に乗りこむ。他の乗客の視線に怯え、「私だということがわかるとまずいわ……」と呟く彼女にジャーナリストとしてのロベルトの好奇心が芽生えた。数日後、彼女からの電話を受け、恋人ヘンリエッタ(コーネリア・フロベス)をおいて約束のレストランに向かったロベルト。彼女の名はベロニカ・フォス(ローゼル・ツェッヒ)、映画女優であるという。彼女はロベルトから300マルクを借りると去っていった。同僚のグレーテによれば、ベロニカは戦前は大スターだったが、戦後は鳴かず飛ばずで、住所すら誰も知らないという。ロベルトはベロニカのふりまく謎の匂いに魅せられ、ベロニカを探し始める。古い住所には老夫婦が暮しており、隣りの女医カッツ宅を訪れるが、手掛りは得られなかった。アパートにもどってきたロベルトは、待っていたベロニカと別荘ヘ行く。情事のあとまどろんでいたベロニカが、突然とりつかれたような発作をおこす。主治医のところヘ運んでくれというベロニカを乗せてたどりついたのは、あのカッツ(アンネマリー・デューリンガー)の家だった。過去の名声にみちた華やかな生活と、現在のみすぼらしい生活との狭間を分裂症的にさ迷うベロニカは、薬でしか心の平穏を取りもどせないのだと、カッツは説明する。カッツの言葉と怪しげな黒人GI(G・カウフマン)の存在に、釈然としないものを感じながらも、その場を去るロベルト。やがて彼はベロニカの別荘がカッツの所有になっていることを知った。カッツはベロニカを薬漬けにして財産を奪い、殺そうとしているのだ。この犯罪を暴きベロニカを救うため、ロベルトはヘンリエッタを囮にするが、ヘンリエッタは何者かに殺されてしまう。ロベルトは刑事を同行してカッツの医院を尋ねた。だが、カッツに軽くいなされ、ベロニカ自身の証言もあって事件として扱われなかった。その後、ベロニカは睡眠薬の飲み過ぎで死亡。身も心も疲れ切つたロベルトには、もはや犯罪を暴く気力は残っていなかった。

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映画レビュー

3.0"UniversumFilmAG"

2021年12月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

知的

難しい事は置いといてヒッチコックやデ・パルマのようなサイコサスペンスの様相を踏まえながら、モノクロの映像に映える光が印象的でもある。 悪には太刀打ち出来ないバッドエンドな歯痒さがありながらも、冷たい視線で淡々と描くファスビンダーの知的さを含めた映像美に魅了されてしまう。 モデルになった実在の女優やドイツの歴史など知識を得てから観るべきか??

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万年 東一

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