劇場公開日 2023年7月28日

ひまわり(1970)のレビュー・感想・評価

全132件中、1~20件目を表示

4.0デ・シーカの故郷への思いが宿るメロドラマ

2020年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ナポリの海岸で奔放に愛し合うジョバンナとアントニオだったが、アントニオが戦争に奪われたことで暗転。そこから始まるドラマは、ロシアに従軍したまま戻らない夫を探して、イタリアから現地へと向かうジョバンナの過酷なロードに追随する。製作されたのは冷戦時代真っ只中の1970年。本作は史上初めて西側の撮影クルーが鉄のカーテンを潜って旧ソビエト連邦に分け入った作品として記録されている。つまり、多くの人々にとっては未知の大国だったソ連の赤の広場や、奈落の底へと続きそうな長く深いエスカレーターが、スクリーンを介して初めて眼前に現れるのだ。そして、モチーフとなる広大なひまわり畑は、ウクライナに実在する。ジョバンナとアントニオのような戦争に引き裂かれた人々を、太陽に向かって懸命に伸びようとするひまわりに擬えた、これは反戦のドラマ。しかし、社会の劇的な変化に翻弄される庶民に暖かい眼差しを向けるそのタッチは、監督のビットリオ・デ・シーカが初期に発表したイタリアン・ネオリアリズムと根底で繋がる。故郷へと思いが迸るが如く。そして、戦争を超えていこうとするジョバンナとアントニオは、コロナ禍から這い出し、新たな日常を模索する我々の仲間でもあるのだ。

コメントする 1件)
共感した! 22件)
清藤秀人

3.5戦争がもたらすもの

2025年1月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

戦争が、一組の夫婦の視点から描かれていた。
戦争が、様々な不幸をもたらし、愛を引き裂くものだと、誰もが認識して、繰り返さないことを願う。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
由由

3.0エロシーン要らないな

2025年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まず主人公の男女二人の第一印象が最悪だったね。娼●とチャラいオッサンにしか見えなかった。そのためか、美しい過去の純愛シーンのはずが全然そうは見えなかった。50年前という年代の違いなのか、お国柄の違いなのか・・・そのせいで、セツない物語のはずが全然せつなくならなかったw
あとオッサンの記憶の状態がよくわからんかったな。嫁のことを忘れてしまうが、嫁を見て思い出したってことなのか?冬ソナ的に記憶を取り戻す物語かと思ってたら、あっさり記憶戻ったな~。
50年前の映画にチャチャ入れても仕方ないんだけどね。わざわざデジタルリマスター版として上映されるだけあって、★3ぐらいは楽しめました。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
PINO

5.0激しく強く愛した二人

2024年12月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

萌える

イタリアで、一緒に居られる時間を惜しむように、激しく強く愛し合った二人、キラキラと輝いていたのに、戦争で離れ離れに。

戦争が終わっても帰ってこない、死んではない生きていると信じて疑わない、強い女性。

生き延びた男。

愛する人を、家族を大切にする、イタリアを強く感じる映画。

最初のひまわりのシーンと音楽。
エンドロールもひまわりと音楽。
どちらも同じなのに、
切なさが増す。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
naomi

3.5ソフィア‼️❓ローレンローレンローレン‼️❓

2024年12月30日
PCから投稿

TOHOシネマズ午前十時の映画祭、半世紀前なら出逢うも別れるんですね、今なら、ロシヤの美女とも別れずソフィアローレンとも再愛を結ぶんだろう、少なくとも自分なら、ソフィアローレン今でも生きてるんですね、素晴らしい👍
ところで、ロシア少女が死にかけのイタリア戦士を助けるのは、多分、一目惚れなんでしょうね。
この映画は音楽が評価されたので、あのメロディが悲哀を物語る、たまには倫理観の悲愛も良いもんです、ソフィアローレンで涙がダダ漏れです😭😢

コメントする 14件)
共感した! 24件)
アサシン5

4.02024年ラスト

2024年12月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

この有名作品、こんなツッコミ所満載とは思いませんでしたが・・コレで締められたのは幸運でした。順番に、
イルポスティーノでは遠かったカメラが近い!ヒマワリのドアップ。
過去から順撮り?こりゃあ尺稼ぎ?
切られたブラそのまま追っかけてる。
赤旗はためく下、地獄の軍団の様なソ連軍。出兵の時から弱そうなイタリア軍。
ロシアで異彩のローレン、モブも考えてる?
今度はモブの中のマストロヤンニ、これも?
毛皮を貰ったから軟化、じゃないよね。
最後に、最初の立ち姿から大門未知子先生?彼女はいつかこんな役を演ると思う、現在も寄せてる?
皆さん、良いお年を。

コメントする 2件)
共感した! 6件)
トミー

5.0美しいひまわり畑

2024年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

美しい映像と悲恋の物語による反戦映画。とても、素晴らしい作品である。劇場で鑑賞出来た僥倖にただただ感謝したい。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
shanti

4.0面白かった

2024年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ソ連ロケ部分がもの凄い。厳しい監視や制限の中で撮ったのだろうが、都市と自然、そしてものすごい数の人、人、人が画面に溢れる映像に圧倒された。初見をスクリーンで見られてよかった。
あらすじはザ・メロドラマで、かなりざっくりと豪快に展開していくので随所にツッコミを入れつつ見ていくことになる。二人の俳優、特にソフィア・ローレンの、表情一発で説得力を生む演技があればこそ、このスケールで2時間未満という現代映画では到底不可能な短尺に収まっていると言える。余計な説明がなくとも背後の感情の機微を感じさせるスタアの力というか。マストロヤンニの前半、隠そうともしないスケベ男っぷりからの後半の落差も素晴らしい。
戦争とは、、、という重たい部分もありながら、王道のすれ違いモノをパーティームービー的に楽しむ見方が相応しいのでは、と思ってしまった。今のご時世では不謹慎だが。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
どんぐり

3.5一面に広がる墓地と、一面に広がるひまわりの対比が印象的。 お決まり...

2024年12月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

一面に広がる墓地と、一面に広がるひまわりの対比が印象的。
お決まりのストーリーで、正直メロドラマとしては、カサブランカやシェルブールの雨傘の方が好き。
前半、主人公のガサツさや横暴さに感情移入難しかったので、後半歳を重ねて落ち着いた2人を見てホッとした(?)

コメントする (0件)
共感した! 1件)
とも

3.0ひまわり畑

2024年12月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

 54年前初公開作品
高校生だった40年前に
名画座で観て、午前十時映画祭で
再見です。
 イタリア映画でした。
デ・シーカ監督作品でした。

知ってる俳優の演技を堪能し
そうでない出演者の顔にも
味がありました。

もはや 反戦は感じません。
国民総動員で素人が戦地に赴き
そこは冬季、厳寒の地
でも
夏になれば太陽が大好きひまわりが
花ひらきます。

戦地で死からすくい上げてくれた人は
女神です。
死の恐怖から解放され
日常がもどると、いろいろ考えますが
精神的に、以前の自分には
誰ももどれないのでは

今の日本は幸せの国と思います。

気になるのは
ロシア?ロケ地です。
駅の風景の後ろに発電所がありました。
全く違いますが、原発を思い出しました
汚染された土地の ひまわり畑
見たらどう思うか?

コメントする (0件)
共感した! 3件)
ヒポクラテス

5.0ひまわりは墓標 行方不明者を訪ねてロシアまで行った一人の女のはなし。

2024年12月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ひまわりは墓標だ。

死ななかったアントニオ=マルチェロ・マストロヤンニも
この凍土に立つ卒塔婆の根元に、かつての結婚を生き埋めに葬ったのだと思う。

けれどひまわりは戦火を超えて、永遠に太陽を見つめてその顔を上げるのではないか。
ソフィア・ローレンがひまわりだ。

短くしか映らないが、「スチール写真」として我々の目に焼き付けられているあの写真 =駅での女たちの顔。真ん中で写真を持つジョバンナ。
屍の大地で、そしてミラノの駅で、負けじと咲く女たちの花が、
その顔・顔・顔 が、
引き裂かれた者の悲しみをば胸元に掲げて、そこに咲いているのだと思う。

・・・・・・・・・・・・・

WWⅡにおける、ソ連での軍民の戦死者数は、最多の2,700万人。
そこにはロシア国内で戦死した外国からの兵士の数は含まれていない。

日本と、イタリアと、ナチスドイツは
三国同盟を結んで全世界=連合国側と戦争をした。

その第二次大戦では、総勢で 5,500万人が死んだのだそうだが、
イメージが沸かないこの数字だ。
イメージが沸かない我々のためにこんなYoutubeを作った人がいる⇒
【 Number of deaths in the WW2 per country 】(=第二次世界大戦における各国の死者数) という動画。

イタリア 514,000人
ロシア 27,000 000人
そして
アントニオが徴兵忌避したアフリカ戦線でも、実は知らなかったが、その動画を見るがよい。信じられない数の戦死者だ。
アフリカのほうが のんびりと駐留できて助かったのでは?と呑気に想像したが、そこでの死者の数には震撼する。

・・・・・・・・・・・・・

「ヒマワリ」
小学1年生がタネを蒔くのはアサガオ。そして2年生になると誰にでも簡単に育てられたのが「ヒマワリ」だった。
幼稚園では何を植えたか覚えて居られるか? お百姓さんの畑で、しゃもじを使ってサツマイモを掘ったあの楽しい思い出。
沖縄戦のあとには土が肥えて、沖縄の畑では大きなサツマイモがゴロンゴロンと穫れたんだそうだ。悲しいお芋だ。
ヒロシマやナガサキではどうだったんだろうか。
ウクライナのヒマワリ畑や麦の穀倉地帯では?
中国や亜細亜の各地では・・?

レビューしていてふと思い出した。
僕は小学校〜中学校と「学校の先生って女性専門の仕事なのだ」と思っていた。学校には男の先生がいなかったのだ。だから初めて男の先生を見たときには慣れていないので本当にびっくりしてしまった。
戦争でみんな死んだから、だから街に大人の男がいなかったわけだね・・
戦死者の数だけ、遺族と寡婦がいたわけで。
そして、うちの会社には「中国残留日本人の孫」が渡日して、いっとき片言の日本語で働いていた。

そうなのだ、
ミラノの駅や舞鶴の港では、いまだ待ち続ける女たちが、世界中に居るという事だ。
映画のエキストラの女たちは、みな本物の遺族の目。そして待ち続ける妻や母たちの目をしていた。

・・・・・・・・・・・・・

1970年
終戦から25年目のイタリアでの製作
監督ビットリオ・デ・シーカ
107分

本作、
ちゃんと鑑賞したのは今回が初。
名優マストロヤンニとソフィア・ローレンは言わずもがな。
あの義母と、ロシアの妻の、得も言われぬ悲しみの眼差しには
僕は胸が潰れそうだった。

コメントする 6件)
共感した! 13件)
きりん

4.5やっぱり名作

2024年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

40年ぐらい前に、テレビで偶然見て、見終わってすぐに立ち上がれず。その後もソフトを買ってみていましたが、午前十時というやつで上映ということで、初めて映画館で見ました。
前半の、見ているこちらが恥ずかしくなるぐらいのイチャイチャが、その後に効いてきますね。
ひまわり畑も小麦畑も、その下には戦争で犠牲になった人がまだ埋まっている、というセリフがありましたが、ウクライナでロケしたというひまわり畑に、更に埋まってしまう人が増えないことを祈るばかりです。
デジタルリマスターということで、どこまで修正されているのか分かりませんが、画質は確かにノイズもなくなめらかなものの、音、特に高音がビリビリしていて、映画館の音量が大きいこともありますが、せっかく盛り上がるテーマ曲が、聞きづらかったです。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
豊島区のはずれ

3.5戦争は悲劇しか生まない

2024年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

戦争による悲劇を描いた作品。
日本も満州や東南アジアに多くの男が出兵し、敗戦後に現地に留まった人が多くいたと聞く。
若き日の愛を貫くには、子供の存在は大きいかな。特に女性にとっては。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
koji

4.5午前十時の映画祭

2024年12月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭で初鑑賞

ソフィア・ローレン、名前は知っていたが出演作品を観るのは初

個性的な顔立ち、それよりもグラマラスな体型に目が…

奔放なイタリア男女二人が、戦争で離れ離れに、戦死したと思われていた男を追い、ソ連に行く女、そこで見たものは!?

8 1/2のマルチェロ・マストロヤンニが東部戦線で死にかけるのだが、雪の中救助してくれたのは果たして!?

映画だね〜(゚∀゚) オワリ!

コメントする (0件)
共感した! 2件)
うんこたれぞう

5.0個人的な時期も相まって死ぬほどいい映画だった。 愛の喪失があって、...

2024年12月22日
iPhoneアプリから投稿

個人的な時期も相まって死ぬほどいい映画だった。
愛の喪失があって、本当の愛の記憶があって、それをもう一度追い求めるけれども叶わなくて生きていくのだけれども、本当にあったものを超えることはできない。
ストーリーはどこにでもありそうだけど、
昔の映画の、ほんとうにシンプルで感情を伝える演出が何回見ても深い味わいをもたらすのだろうなと思う映画。
撮っている調度品や雰囲気、風景の選択も素晴らしいし、それらの撮り方も素晴らしい。
午後3時くらいに観る映画の鎮まりがあって、何度見てもこの世界に吸い込まれるんだろうなと感じた。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
kp

4.5地平線の彼方まで広がるひまわり畑と山いっぱいの墓標

2024年12月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

午前10時の映画祭にて鑑賞。

とても悲しい物語でしたが、映像、音楽、役者の演技全てが美しく、名作と呼ぶにふさわしい作品でした。

映像に関しては本編が始まってすぐに画面いっぱいに広がるひまわり畑がとても美しく、この景色を映画館で観ることができて良かったと思った。
また、見えている場面だけでも丘二つを超える数の戦死者を弔う墓標も、戦争の残酷さを見せつけられているようで圧巻させられた。
しかし、物語が進むとひまわり畑も戦争の被害者たちが埋められてできたということが分かり、第一印象が真逆だったひまわり畑も墓標群も見た目が違うだけで出来た経緯が同じだったということにとても衝撃を受けた。
それを踏まえて見ると今作のテーマ曲は冒頭で聴いた時は合わないなと思っていたがエンディングでもう一度流れた時はこの曲が本編の内容も含めてとてもマッチしていると感じた。

個人的に本作はソフィア・ローレンの泣きの演技がとても素晴らしかった。
ロシアで夫のアントが他の女と住んでいることが分かったところから泣きそうになり、子どもまでいることを知って現地の妻の前ではこぼれそうな涙を必死で我慢して離れた瞬間だけ泣きじゃくりながらも顔を洗ってごまかす演技がとてもリアルで痛々しかった。アントと再会しても耐えきれずに逃げ出してしまうシーンやラストのお別れでも演技なのに心から泣いているように感じてしまい自分も泣いてしまいそうになりました。

やはり戦争はあってはならないと再認識させられる映画でした。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
モっさん

4.0いにしえのひまわり畑

2024年12月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

累々たる兵士の屍を土壌の養分として繁茂しているひまわり。ロケ地ウクライナの廣野、辺り一帯を埋め尽くす、ひまわり畑の広大さにはあらためて圧倒される。滅多に同じ映画を観ないのだが、この年末、食指が動くものがなくて又観ようかと………

文字通り脚を棒にして、やっと探し当てた居所。ずっと浅黒く煤けたメイクのソフィア・ローレンに向き合うリュドミラ・サベリーエワは若く明るいロシア美人。少し意地の悪い演出に思えるが、監督はこれで由としたのか!?
マストロヤンニを迎えに行った駅で、すべてを覚ったソフィアが汽車に飛び乗るシーン(鞄、置きっ放しだけど)悲しみで胸がつぶれそうになる演技には、泣かされたし、今後も色褪せることはない名場面だと思う。
ただ、本作、当時のキネ旬年間ベストランキングでは25位と振るわない。
戦争という背景が、なくとも、あり得る話であり、男女間の機微に寄りすぎた感があったかも。いっそのこと、ラストでソフィアの再婚、子供(名前アントニオ)は事実ではなく、ホントはずっと独り身なのだが、マストロヤンニをサベリーエワの元に返してあげるための嘘の芝居にしたらどうか。『今は、私も幸せだから、安心して戻って』という思いやりのストーリーに換えたら緩すぎるだろうか?

“つはものどもが夢の跡”とかつての激戦場を無常観として捉えた芭蕉だが、後世、ウクライナのひまわり畑は平和裡に眺めたいものだ。

コメントする 4件)
共感した! 24件)
ノーキッキング

3.5なんか時代も相まってリアルやし映画にBGMは必要ないと思うけどこの...

2024年10月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

なんか時代も相まってリアルやし映画にBGMは必要ないと思うけどこの映画に関してはBGMあっていい
昔の映画って割と台詞が少なくて表現が豊か
ただただ切なくて結果切ないまま終わってくなんだこの終始悲哀に溢れた映画
ラストシーンあまりに悲哀が溢れすぎて逆にもうなんだこれって笑えた
ながら見でも切ないのに集中して観てたらその日一日気が滅入りそう
でも、これはすごく良い一度は観といて損はない

コメントする (0件)
共感した! 3件)
コルチゾるくん

4.0芸術作品ですね

2024年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

単純

何もかもが手放しで美しい。
一コマ一コマが絵画の様に美しく見ごたえのある映像。
俳優の演技も、流れるような感情の描写で片時も目を離せない。

ストーリーはやや冗長な感じもするが
このようなテーマを扱っていることを考えれば許容範囲かなと思う。
戦争がもたらす不条理を、ありがちな真正面から敵味方の関係だけで描いていないところが
素晴らしいと思う。
日本で生まれ育った自分の感覚で言えば、アントニオには感情移入しずらいが、不条理な事柄で愛をあきらめるしかない状況は理解できる気がする。

ただ、この感じ、フーテンの寅さんでも同じなんだよなぁ
音楽の雰囲気も含めてイタリア版フーテンの寅さん
なんて言うとファンから怒られるかも
まあ、この時期に見る作品としてはふさわしかったかな。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
なりなりなりたさん

5.0洞察力・読心力が必須の最高傑作! 矛盾を解決 魅力と注意点

2024年7月13日
PCから投稿

泣ける

悲しい

知的

この映画は数々のヒントから相手の心を読み解いていく必要があります
これが出来ないと泣けても名作の魅力が半減します

特に後半記述の ★重要ポイント★ は楽しめなかった人は必読です
その前に、矛盾を感じて物語が頭に入ってこなかったという人に見解です。4つ

■疑問1 カバンを投げ捨て汽車に飛び乗った。お金が無くて帰れるわけが無い…

来る時に彼女が列車の中で左ポケットからグチャグチャの札束を取り出して数えていました

戦後の外国、しかも旅人(超危険!) 旅費や貴重品は狙われるので身に付けます(腹巻のようにして)
危機意識の薄い日本人は今でも特に狙われます(カッターでカバンを切られ抜かれたり置き引き)

ちなみにアントニオが毛皮のマフラーを買う時に外国観光と思われ、目の前の人が高いわねぇと言っていた商品を更に十倍の値段にされて買っていました。言葉が分からず気付きませんでした。

■疑問2 全くの手がかりなしで探し出せる訳ないでしょ…

私の祖父は戦死ですが、○○部隊は○月○日にどこから出発してどこのルートを通ってどこどこに向かいました、という詳細がきちんと分かります。

彼女も省庁に案内してもらいました。最後はドン川の近くだと聞けてましたし。

(以降は見ていない人は読まないで)
※各場面を見ながらの解説を動画でもUPしました。Youtubeでの検索ワードは、「最高傑作ひまわりの本当の魅力とは」

■疑問3 助けたのが何故アントニオ? なぜ助けたの?

兵士と一緒にたくさんの農民、女性、子供が一緒に埋められているシーンがありました

家族を亡くした若い女性がたった一人で生きて行くには過酷すぎます

誰かに守ってもらいたい。寂しい。愛が欲しい。そして毎日恐怖の中でおびえています

そういう時に倒れた人たちの中に、かすかに白い息が漏れているのを見つけた。まだ生きている…

もしあなたが女性で顔を覗き込んで、クールでキュートな自分好みのステキな男性だったら、置き去りにして見殺しますか?助けますか?

現地は出兵で、おじいさんしか居ないんです

■疑問4 飲み込んだイヤリングがどうなったか気になって仕方ない…

ウン●と一緒に出てきます。私はパチンコ玉を飲み込んだけど、出てくる時はすぐ分かります。麻薬はカプセルに入れて飲んで飛行機に乗るそうです。ネジやイヤリングなら大丈夫。気を取られず映画に集中して!(これは映画のユーモアですよ)

※おまけ → 娼婦が持っている人形は目印です。口コミ商売なので、客に分かりやすくします。

皆さんが、気持ち良く映画に入り込めますように…

この映画の何が良いか分からなかったという人へ

◆注意点と魅力◆

この映画の注意点は表面の言葉だけをうのみにしていかない事です

ここでこんなセリフ要らないでしょ…ではなく、ここでこんなセリフや行動があるのはなんでだろう?本心を隠してる?遠回しに何かをアピールしている?何を心配している?などと、洞察力が必要です。

数ある伏線(ふくせん)を読み解けば、台詞が無いのに、表情やしぐさから導き出される心の移り変わりや、心の声が鮮明に聞こえてきて、答えを待つあいだの絶妙な“間”や緊張感がハンパなく楽しめます。

また、同じ場面でも見え方が全く変わってきます

例えばあるシーンで彼女が母親に八つ当たりしていると思っている人がいました

しかしその前に、母親が家に入りづらく外でじっと立っているシーンがあります。これはジョバンナが彼は死んでいたと伝えて真実を隠し、連絡を絶つ為に冷たい態度を取っていた事が分かります

彼女は真実を告げた場合の母の気持ちを想像します
奴らの幸せな家庭なんかぶっ壊してやる!ともなっていません

考えて内緒にした。ここはジョバンナの優しさが隠れている場面なのです。(死んだと嘘ついても母に優しくしていいじゃないか!)…そうしないその理由を考えて下さい。結局耐えれずに言ってしまいましたが。

最大の“つまらない” と “良かった” の分かれ道になりやすい、

★重要ポイント★ は、イタリア人男性になぜ家に帰らないのかを聞いたら どこの家に? と言われる所からです。

(以下の記述は少し長いですが、最後まで読んでもらえれば視点の違いと、いくつもの見落としがあったと気付いてもらえると思います)

ジョバンナはアントニオが生きていると自分に言い聞かせてはいるが、帰らぬ理由を考えると不安もあります。記憶喪失、病気やケガなど。

特徴あるイタリア人を探して情報を求めに行ったが、イタリア人である事を隠そうとされる。

ここでしっかりと“何故?”にすぐクローズアップ出来るか出来ないかで、この映画の評価が変わってきます。

そして、やっと帰らない理由を聞き出した最後の返答が “どの家に?”の一言だけ。しかしジョバンナの背中に戦慄(せんりつ)が走ります。

“どの家に?”→“女が出来た?”と感じた視聴者には、かなり不安を抱えた状態で、緊張感があり、見せ場の見方が人と異なってきます。

事実、おばあちゃんに“あの家かも、行きましょう”と言われても、不安で彼女の足が止まります。

彼女も視聴者も、悪い予感が当たらない事を祈ります。

そしてやっとアントニオらしき家を見つけてニコッと笑った表情から一転、洗濯物の陰から若くてきれいな女性の姿を見つけます。

ここは息をのむ瞬間… と、その前にジョバンナはイタリア人の特徴がかなり強い、という部分が重要な着眼点です。

マーシャがジョバンナの姿を見ればどこからどう見てもイタリア人女性だと分かるので、こんな所に何をしに来たのかはすぐ察しがつきます。見つけた瞬間のマーシャの表情や仕草によっては、アントニオが帰らぬ理由の答えが分かります。

最初のリアクションを心構えて注目して見ている人と見ていない人で、緊張感が全く違う別物の映画になります。

この段階でこの映画を食い入るように見ている人は、

イタリア人を何故隠す?
ひょっとして女が出来た?
若い女性の最初の反応!

この三つの段階を押さえている人であり、それに気付いていない人は、なんかダラダラ淡々と話が進んでいる感じになります。

ジョバンナを見つけた時のマーシャの心の声も、
“あら?見慣れない顔ね?” なのか、

“えっ嘘でしょ!まさか、お願い、こっちに来ないで!通り過ぎて!!”
なのかで全く変わります。

ここからは、ポイント押さえた人たちには、張り裂けそうな心持ちで、二人の声無き会話や心情が双方から鮮明に聞こえてきます。

場面進んで、マーシャは一瞬暗い表情を見せながらも笑顔に変えて動揺を隠し、何事もなかったかのようにスルーして家の中に入ろうとしますが、願い叶わずジョバンナが写真を差し出します。

沈黙の後、言葉を発しようとした瞬間、意表を突いて横から小さい女の子が挨拶をしてきますが、イタリア人だと分かったようで、ロシア語ではなく、たどたどしいイタリア語で、ボンジョルノ(こんにちは)と言ってきた事がポイントになります。ここに気付くか気付かないかでも、誘う涙に違いが出ます。

切ない笑顔で ボンジョルノ と言い返すと、挨拶が通じたのでウフフッとかわいく少女が喜んだあと、ジョバンナの気丈の中にも涙顔がほんの一瞬だけ見えた時、こちらの感情も大きく揺れます。

生きている⁉と喜んだのに、今度は一瞬で人違いであって欲しいと心が急変する。しかし横からイタリア語で少女の挨拶。そして無情にも中に案内される。

少女の挨拶がロシア語だったらとぼけられた可能性も。

伏線に気付いた人にはこういう会話の無い中で、表情やしぐさから導き出される心の変化や、答えを待つあいだの絶妙な “ま” や緊張感が半端なく良い所だと思うのです。

ジョバンナがマーシャの家に通された時も心の会話がなされます。いきなりマーシャは執拗に子供を叱り、子どもを持つ家庭の大変さを一生懸命アピールします。(アントニオを連れていかないで!)

直接は言われませんが、その訴えがジョバンナに強くのしかかってきます。
枕などは誰もが見て分かりますが…

このように見落としや視点の違いが明確に出やすい映画です。

ちなみにジョバンナがマーシャに口にしたセリフは一言でした。

ここは中盤、以降も集中・洞察・読心が必要です。

ほかにも見落としがちな所に、

・精神病院の広場の叫ぶ二人を見て笑った理由。(徴兵逃れの演技だから)
・トラックの上から葬儀の参列を見て何を思ったか。(年老いた母親)
・母の病気はキャンセル待ち取得の為の嘘。この時の二人の会話の違和感を読み解く(重要)
・ラストの再会の前に、すでに鏡で子供部屋が強くアピールされている。
・アントニオの思い出の品は全部捨てたはずなのに、ラストの再会直前に新婚旅行でもらったイヤリングを付けたシーン。

※子供の名前がアントニオなのは女々しさや未練からではありません。彼女は賢く行動力があり、芯のブレないキャラ設定です。「上書き消去法 シロクマ効果」で検索を…。

イヤリングも伏線に…
①当時ではとても高価な金のイヤリングを飲み込んで紛失させてしまった
②彼はそれを忘れずに汽車の中でイヤリングをプレゼントした
③彼の思い出の品は全部捨てたはずなのにイヤリングだけは残されていて、それを探し出し再会直前に付けた
④鈍感な生き物である男は恐らくそれに気付くことなく帰っていった

このイヤリングが強烈な切なさを醸し出すと思うのです

ちなみに私は男なので自虐的に「鈍感な生き物である男は...」と書かせてもらいました。
男性の皆様お気を悪くされないでくださいね。笑

いくつもの伏線が張られており、それに気付く気付かないで映画の評価が変わります

他にもありますが文字制限です
たくさんの人が名画を楽しめますように…

(最後に)

アントニオは間違いなく死んでいた。そして母もジョバンナも死を受け入れることになっていた

戦友に別れを告げたあの時に、本当にあの人生は一度完全に終わっている

しかしマーシャが抜け殻に、奇跡の息吹(いぶき)を吹き込んだ

“ この新しい命はこの子を守る為にさずけられた命だ ”

彼は懸命に彼女と生きる為に支え合った

彼が簡単に浮気をする人なら逆にこうなっていなかったかも?と考えると複雑な心境になります。みんなつらすぎる…

戦争が無くなりますように…

コメントする (0件)
共感した! 3件)
n4