陽だまりの庭で

劇場公開日:

解説

第2次大戦末期のパリ解放をテーマに、老人と孫娘が織りなすファンタスティックなヒューマン・ドラマ。監督・脚本は「リオの男」「カトマンズの男」のフィリップ・ド・ブロカで、反戦諷刺劇の傑作「まぼろしの市街戦」に通じる心優しき演出の眼差しは健在。製作はヤノーシュ・ソンブリアイ、イヴ・パスキエ、アラン・クレール、ハラルト・レイヒュブナー。撮影はヤノーシュ・ケンデ、音楽はシャルル・クール、美術はフランソワ・ド・ラモット、編集はマリ=クロード・ラカンブル、衣裳はソフィー・マルクー。主演は「ソフィー・マルソーの三銃士」「愛の報酬」のクロード・リッシュと子役のサロメ・ステヴナン。

1995年製作/92分/フランス
原題:Le Jardin des plantes
配給:オンリー・ハーツ配給(オンリー・ハーツ=レントラックジャパン提供)
劇場公開日:1997年10月10日

ストーリー

44年、パリ。動植物園の管理人フェルナン・ボナール(クロード・リッシュ)はもうすぐ60歳になろうとしている。第2次大戦の戦況はひどくなってきていたが、彼は戦争の恐ろしさから身を隠すようにして、妻とそして動物たちと静かに暮らしていた。彼の息子のアルマン(サミュエル・ラバルト)が孫娘のフィリピーヌ(サロメ・ステヴナン)を連れて遊びにやって来た。今日は彼女の8回目の誕生日。だが、清貧に暮らす理想主義者のフェルナンに対して、闇商売で設けて裕福に暮らす現実主義者のアルマンは激しく衝突。大口論の末に戒厳令で外出禁止の街へと飛び出した末に、彼はナチに連行されてしまった。フェルマンは急いでナチの収容所までを引き取りに行くが、アルマンは見せしめのために銃殺された。息子の死を目の当たりにしたフェルナンは、最後のお別れとして、彼の死に顔を写真におさめるしかなす術はなかった。まだ幼いフィリピーヌに父の死を知らせることができないフゥルナンは、彼女に父親はレジスタンスとして前線で働いていると嘘をついてしまう。息子をレジスタンスの英雄に仕立てて、彼の代わりに陰でレジスタンスもどきの所作を仕組むフェルナン。老人と孫娘の日常は、次第にレジスタンスごっこめいたものになっていく。自転車に乗って気球に乗って、戦場の彼方の父を夢想するフィリピーヌ。ところがある日、フィリピーヌは父の死に気づいてしまう。少女は祖父に内緒で、密かに父の弔いをする。フェルナンを悲しませないため、今度は彼女が嘘をつかなければならなくなてしまった。やがて夏が訪れようとしていた。パリでは次第にレジスタンスが勢力を伸ばし、解放の兆しが見えてきた。フェルナンとフィリピーヌも本格的にレジスタンスに協力し、動植物園は市民の隠れ家になる。そして解放の日がやって来た。2人の活動はレジスタンスの英雄アルマンの功績として讃えられ、ついにフィリピーヌは父の代わりに勲章を授与された。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0レジスタンスとは

2018年12月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

 パリ動植物園に隣接した実家。闇取引や女のことで口論する父と祖父。ちょっとした諍いの直後の悲劇だった。母は女優で娘フィリピーヌを放ったらかし。祖父は父がフランス軍大尉として前線で活躍していると嘘を付き通す。

 植物園、博物館、動物園、ドイツ軍は民間人と仲が良い。フィリピーヌとも一緒に遊んでいるし、祖父とも仲がいい。レジスタンスごっこでかつての地下坑道を探検したり、個人授業をしたりする祖父。ナチス占領の悲惨さを伝える場面は父の銃殺シーンのみで、レジスタンスとは程遠い平和な家庭。凄惨なシーンを用いる反戦映画とは違い、メルヘンチック、ファンタジーをメインにした映画。繋がれた爆弾入り飛行船にぶらさがって散歩するフィリピーヌが幻想的でもある。

 息子の死に顔に細工をした写真に孫は気づき、事実を逆手にとってレジスタンスに伝えると、駅を爆破せよという命令が・・・ここからのシーンでわかるように、ナチスを敵として描くのではなく、むしろレジスタンスが悪人のように描いた対ドイツ親睦映画なのかもしれない。ラストはなんとなくコメディに思えた・・・

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kossy
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