異邦人

劇場公開日:

解説

ノーベル賞作家アルベール・カミュが1942年に発表し、人の心理に潜む不条理の意識を巧みに描いた小説「異邦人」を、イタリア映画界の巨匠ルキノ・ビスコンティ監督が映画化。第2次世界大戦前のアルジェ。会社員のムルソーのもとに母の死の知らせが届く。葬儀で涙も流さない彼は翌日、元同僚の女性と喜劇を見に行き夜を共にする。その後、友人とトラブルに巻き込まれたムルソーは預かっていた拳銃でアラブ人を射殺してしまう。太陽がまぶしかったという以外、ムルソー自身にも理由はわからず、非人道的で不道徳だと非難された彼は裁判で死刑を宣告されるが……。生きることに無関心なムルソーをマルチェロ・マストロヤンニが好演した。1967年に製作され、日本では68年9月に英語版で公開された。その後は短縮吹き替え版などがテレビ放送され、権利関係の問題でソフト化などもされずにいたが、2021年3月に復元されたイタリア語オリジナルの「デジタル復元版」で劇場公開が実現する。

1968年製作/104分/G/イタリア・フランス合作
原題または英題:Lo straniero
配給:ジェットリンク
劇場公開日:2021年3月5日

その他の公開日:1968年9月21日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)Films Sans Frontieres

映画レビュー

4.0サラリーマン風の夏の背広を来たマストロヤンニは立ち居振る舞いが限り...

2023年8月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

サラリーマン風の夏の背広を来たマストロヤンニは立ち居振る舞いが限りなく美しいくセクシーだ。タバコをくわえる角度、脚の開き方。こんなにハンサムな男だったんだ。

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yoyo

3.5美しく狂気もはらんだムルソー

2023年8月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

まず思ったのはマストロヤンニってこんなに美しかったのかということ。 自分の裁判だというのにある種他人事のような視線で見ているムルソーの姿が印象的。なぜ殺したのかと聞かれても太陽のせいだというのみで、言葉も少ない。 神を信じないというだけで普通ではないとみなされるような時代。 母の死に涙を流さなかったり、葬儀翌日に恋人と喜劇映画を観に行くということが普通ではないとみなされるのは今の時代と変わらないかもしれない。 いつ死刑が執行されるか分からない、その状況で彼はどんな境地に至ったのか。最後の神父との対話はよく分からなかった。

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カメレオン

4.0絶妙なものを観ることができた

2023年4月14日
Androidアプリから投稿

一見普通に生きているけれど (本人にとっては一見も糞も正真正銘ふつうなのだけれど)どこかで一般ピープルとずれている…。 そういう人間を演じるのって凄く難しいと思うけれど、この映画ではとても上手く演じられていて、絶妙なものを観ることができた、という満足感があった。 刑務所でのムルソーが、恋人と面会する場面あたりに、テーマは集約されていくと思う。 この肌感の違い。感覚の違い。 感じろと言われても、感じないものは感じないのだ。 個性の差といってしまえばそれまでの、生きている世界に対する感性の違いといった絶妙なものを、具体的に映像で見せてくれたのは面白かった。

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あま・おと

3.5汗と神

2021年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アルジェリアの話なのですね。 ぼうっとして観てたので、アラブ圏の話なのか、イタリアの話なのか、どこが舞台になっているのか最後までよくわかっていませんでした(原作も読んでいないので)。スミマセン。 それにしても、アルジェリアってイタリア人があんなに住んでいたんですか? いやいや、ちょっと調べたらアルジェリアはフランス領だったというじゃないですか。カミュもフランス人だし。 これって、フランス人の話をイタリア人に置きかえて撮ったようですね。ややこし。 さて、ルキノ・ヴィスコンティ監督『異邦人』。 主人公ムルソーは、どこか虚無的でありながら、美しい恋人や友人たちと人生を享楽するが、やがてそこに不穏な空気が漂いはじめ……。 シンプルなストーリーですが、テンポがあり、興味深く鑑賞できました。 最近の映画ではあまり用いられないような唐突なクローズアップを多用する撮り方にも、観ているうちにすぐに慣れました。 作中、象徴的に「汗」が映し出されますが、これが本作のキーポイントになっていると思います。 それから、終盤の法廷や監獄のシーンでは、「神」がわりと重要なポイントになってくると思うのですが、そのあたりのやりとりがちょっとわかりにくかった(ぼうっと観ていたからでしょうか)。 そんなわけで、(西洋的な)「神」に対して馴染みのうすい我々日本人には、本作が描こうとするものを完全に読み解くのはなかなかむずかしいのではないか、この映画は、キリスト教圏の人々と、そうでない人々が観るのとでは、その印象がかなり異なるのではないか、などという感想も抱きました。 機会があれば、もう一度鑑賞して、そのへんのことを注意深く検証したいと思います。 あと、本作は「不条理」がテーマになっているようですが、それもあまりピンとこなかった。 昨今の日本における様々な事象のほうがよほど不条理かと……。 タイトルの意味するところを確認するためにも、ぜひ原作も読みたいです。

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peke